過去帳とはどんなもの?
代々受け継がれている過去帳にはご先祖様のことが記されています。これにはどのような意味があるのでしょうか?以下では、過去帳とはなにかを解説します。
ご先祖様のことを記した記録帳
過去帳は、ご先祖様の戒名(法名)や俗名、没年月日、没年齢などを記す一族の記録帳です。葬儀や弔い上げ(三十三回忌法要や五十回忌法要など、最後の法要)などのタイミングで、戒名用紙や白木位牌、本位牌に記載されている内容を過去帳に記入します。
浄土真宗ではお位牌の代わりとして用いられますが、その他の宗派では、命日の記録、多くの位牌をまとめるなどの目的で用意することがあります。
過去帳は自身のルーツを知り、ご先祖様との命の繋がりを感じることができる大切なものです。後の世代へ引き継げるよう丁寧に取り扱いましょう。
過去帳・法名軸・お位牌の違いとは
浄土真宗では過去帳や法名軸、その他の宗派ではお位牌がお仏壇に祀られます。これらは全てご先祖様の情報が記載されているものですが、主には以下の違いがあります。
-
過去帳
ご先祖様の情報をまとめて記録するための帳面
-
法名軸
亡くなられた方の情報を記録するための掛軸
-
お位牌
魂の依代(よりしろ)、亡くなられた方を象徴とする置物
■過去帳について詳しくはこちら
はじめてご準備される方にも分かりやすく、過去帳とはなにかについて解説しているページです。過去帳とお位牌の違い、過去帳の種類、準備などから処分について紹介しています。
誰が書く?代行はどこに依頼すればいい?
過去帳に亡くなった方の記入が必要となった場合、書く人に決まりはあるのでしょうか。以下では、誰が過去帳を書くかについてご説明します。
過去帳は誰が書く?
基本的にどなたが書いても問題ありませんが、お寺のご住職のお考えによっては、檀家の過去帳への記入はお寺で行うという場合もあります。菩提寺があれば、一度ご相談ください。
過去帳は、菩提寺やお住まいの地域、各家庭によって決まった書き方をすることがあります。自身で記入を検討している場合は、菩提寺や仏壇専門店、宗派に詳しい方などへ書き方を確認されるとよいでしょう。
依頼はどこにする?かかる費用は?
菩提寺のご住職へ記入を依頼をする形が多いですが、お付き合いのあるお寺がなければ、仏壇専門店へ代筆を依頼することも可能です。
ご住職へ依頼をする場合は、依頼料として「お布施(お礼の金銭)」をお渡しします。過去帳の記入は1名様につき5,000円~10,000円ほど、法要と同じタイミングでお布施を渡す場合は30,000円~50,000円ほどが目安とされています。
■はせがわの文字書きサービス
はせがわでは、過去帳の記入(戒名・没年月日・俗名・没年齢など)を有料で承っております。作成に2週間ほど時間がかかりますのでご法事の日程から逆算して早めにご依頼するとよろしいでしょう。全国にあるはせがわ店舗で承っておりますので、お気軽にお申し付けください。
お近くのはせがわ店舗は<こちら>
【見本あり】過去帳の書き方とポイント
過去帳への記入は、先に記されているご先祖様の書き方を参考にして合わせることが多いですが、新しく過去帳を用意した際はどのように書くとよいでしょうか。過去帳の「表紙」と「ページ」それぞれの書き方を図とあわせてご紹介します。
表紙(表装)の書き方
表紙にはご自身の家の名字を書くことが一般的です。浄土真宗以外の宗派では「◯◯家先祖代々之霊」と書く場合があります。また、必ず名字を入れなければならないという決まりはなく、「過去帳」とだけ書くこともできます。
【記入例】
「◯◯家過去帳」「◯◯家先祖代々」
ページの書き方
ページに記入する内容
- 没年月日…亡くなった年月日
- 冠字(かんむりじ)…宗派の題目などを表す文字
- 戒名・法名…故人様の名前
- 俗名…生前の名前
- 没年齢…亡くなった時の年齢
そのほか、どなたかとの関係性や職業を書く場合もあります。
よくあるレイアウトの紹介
以下では、過去帳でよく書かれている2つのレイアウトをご紹介します。
2行で書く場合
片側の2行を使って、1名様を記入するレイアウトです。
必要な情報をコンパクトに記入することで、多くのご先祖様を記録することができます。この方法では、月命日が重なった2人目の方は、過去帳の折り目をまたいで記入となります。気になる場合は、3行を使用する以下の書き方もご検討ください。
3行で書く場合
片側の3行を使って、1名様を記入するレイアウトです。
文字を大きく書くことができ、片側に1名様となるため開いた時も見やすいです。月命日が同じご先祖様は、2名様までページに書くことができます。
■過去帳の「日付入」と「日付なし」とは
過去帳にはページ上部に日付があるものとないものがあります。日付がある場合は、故人様を月命日(亡くなった日と同じ日)のページに記入します。この際、ページへは亡くなった日を書かず、没年月までを記入することが一般的です。
一方で日付がない場合は、表紙の次のページから亡くなられた順番で記入していくため、先に記されているご先祖様がいる場合はその隣の行から記入します。
自身で書くときのポイント
下書きをする
墨やインクで書いた文字は、後から消すことができません。書き損じを防ぐために、鉛筆で下書きをしておくと安心です。
細い筆やペンなどで書く
過去帳への記入は、筆と墨で書くことが一般的です。文字がつぶれて見づらくならないように細めの筆を使うとよいでしょう。和紙で作られている過去帳は墨が滲みやすく、記入する部分も小さいため、手書きが慣れていなかったり不安な場合は、筆ペンやボールペンでの記入もおすすめです。
過去帳に書く内容とは
以下では、過去帳に記入することのある内容と書かない内容をご紹介します。
過去帳に記入する宗派の文字
お位牌と同じく、過去帳へ記入する戒名(法名)に関しては宗派ごとに違いがあります。戒名(法名)には宗派によって様々な特徴がありますが、その中に一つに「冠字(宗派の題目などを表す文字)」があります。浄土真宗や日蓮宗は、戒名(法名)の上に冠字が記されることがあり、過去帳へも書く場合があります。
過去帳に記される主な冠字
-
法名
浄土真宗における仏様の世界でのお名前のこと
-
妙法
日蓮宗の題目である「南無妙法蓮華経」のうちの2文字の言葉
過去帳に書かない内容とは
臨済宗や曹洞宗で戒名(法名)の上に記される「新帰元」や、戒名の下に記される「位」や「霊位」という文字は、一般的に過去帳へ書くことはありません。
また、真言宗・浄土宗・時宗では、戒名の上に「梵字(ぼんじ)」という各宗派のご本尊(信仰の対象)や菩薩を表す文字が、戒名用紙や白木位牌に記されていることがありますが、位牌には記載しても過去帳には書かない場合が多いです。
■戒名について詳しくはこちら
戒名の意味や基本構成、ランク別の相場など、戒名の基本を解説しているページです。また、戒名を自分で付ける場合や、墓石への戒名彫刻などについてもあわせて紹介しています。
没年齢
故人様が亡くなった時の年齢は、満年齢で書く場合と数え年で書く場合があり、基本的にはご先祖様の記入内容に合わせることが多いです。表記は宗派ごとで決まっておらず、お寺のご住職によってお考えが変わるため、書く前に菩提寺へ確認されるとよいでしょう。
- 「享年」か「行年」か
- 「歳」か「才」か
【例】享年 〇〇歳、行年 〇〇才など
「過去帳の書き方」に関するQ&A
最後に、過去帳の書き方に関してよくお寄せいただく質問をご紹介します。
Q1.月命日が重なって、ページに故人様を追加できない場合はどうする?
A.前後のページに記入する方法があります。
日付入の過去帳の場合、記されているご先祖様の数が多いと、月命日が重なって同じ日のページに次の方が書けなくなることがあります。その場合、前後の日付のページに記入されても問題ありません。
Q2.書き損じた場合の対処法はある?
A.書き損じた部分に和紙を貼って書き直す方法があります。
書き損じた後は元の状態に戻すことができないため、過去帳の素材に近い和紙を画材店などで用意して、書き損じた部分へ貼り付けます。どうしても気になるという場合は、新しい過去帳を用意して書き直す方法もあります。
過去帳に関する内容をはじめ、はせがわではご供養全般のご相談を承っております。ぜひお気軽にお近くの店舗までお越しください。
>>お近くのはせがわ店舗を探す