御霊供膳とは?いつなぜ飾る?
お盆、命日、法事など、仏様にとって特別な日には「御霊供膳」を使って精進料理をお供えします。ここでは、御霊供膳とはどのようなもので、いつ使うか、なぜ使うかといった基礎知識を解説します。
御霊供膳とは?何のために使う?
「御霊供膳(おりょうぐぜん・おりくぜん)」とは、仏様やご先祖様に精進料理をお供えするための小型のお膳です。
5つの器と箸がセットになっており、お仏壇や葬儀後の後飾り祭壇、盆棚などに飾って使用します。
※御霊供膳は「御霊具膳」と記載することもあります。また、「霊供膳(れいぐぜん・りょうぐぜん)」「陰膳(かげぜん)」「供養膳(くようぜん)」「仏前腕(ぶつぜんわん)」などとも呼ばれます。
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(御霊具膳・御霊供膳)※独自集計
御霊供膳で精進料理をお供えするのは、「飲食供養(おんじきくよう)」が目的です。飲食供養とは、食べ物や飲み物を仏様やご先祖様へお供えすることで、感謝と供養の気持ちを表すことです。一般的に、浄土真宗では御霊供膳は使用しません。
御霊供膳を飾る時期やタイミング
御霊供膳は毎日お供えすることが最も望ましいですが、難しい場合は、法事や仏教行事の時期・タイミングでお供えします。具体的には、初七日、四十九日、祥月命日、回忌法要、お盆・お彼岸などの仏教行事、お正月、開眼供養を行う場合などです。
中でも、特にお盆は重要です。浄土真宗を除き、ご先祖様が現世に帰ってくるとされていますので、御霊供膳を用いておもてなしをします。
御霊供膳の作り方・料理について
御霊供膳にお供えする精進料理のメニューに絶対的な決まりはありませんので、故人様が好きだった食材を使用して作ることがおすすめです。しかし、使うのを避けたいタブー食材がいくつかあります。ここでは、御霊供膳のメニュー例や注意するべき食材とその理由について解説します。また、料理が苦手な方でも簡単に精進料理が作れる「フリーズドライ精進料理」を紹介します。
御霊供膳の基本は一汁三菜
御霊供膳には、白米と一汁三菜を基本とした精進料理を小さな5つの器にお供えします。献立は、ご飯、汁物、煮物、和え物、香の物が一般的です。季節の野菜を使い、彩りよく盛り付けましょう。
◆精進料理のメニュー例
ご飯、わかめの味噌汁、煮豆、ほうれん草の胡麻和え、たくあん など
◆時間がない方・料理が苦手な方にも大人気の「フリーズドライ精進料理」
水を加えて電子レンジであたためるだけで手間なくお手軽に本格的な精進料理が作れます。汁物、煮物、和え物、漬け物が1食分セットになっており、レシピいらずです。
※ご飯は入っていません。
※器(御霊供膳)は別売りです。
精進料理に使ってはダメな食材とは?
精進料理の食材は、「三厭(さんえん)」や「五葷(ごくん)」とよばれるものを避けます。
三厭とは、肉・魚・卵などの動物性の食材です。 「生き物の命をむやみに奪ってはならない」という仏教の戒律(「不殺生戒(ふせっしょうかい)」)によるものです。煮物や汁物のだしも、鰹節や煮干しなどの動物性食材は用いず、昆布やシイタケを使いましょう。
五葷(または「五辛(ごしん)」)とは、ニンニク、タマネギ、ネギ、ニラ、ラッキョウといった辛味や香りの強い食材です。食べると煩悩を刺激すると考えられているため、精進料理には不向きな食材とされています。
■精進料理のメニューについて詳しくはこちら
お盆で定番のお供え物や精進料理のメニュー例、タブーとされる食べ物について解説しています。
【宗派別】御霊供膳の並べ方
配膳にマナーがあるのと同様に、御霊供膳もそれぞれのお椀に盛り付ける料理と配置が決まっています。ただし、並べ方は宗派によって異なる場合があります。ここでは、御霊供膳のお椀・料理の並べ方と置く向きを宗派別に解説します。また、お仏壇や祭壇に御霊供膳を飾る位置についても説明します。
各お椀に盛り付ける料理
御霊供膳の5つの器について用途を解説します。
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親碗(おやわん)
ご飯を盛り付ける器です。「飯碗(めしわん)」ともいいます。白米が基本ですが、開眼供養のようなおめでたい法事では赤飯をお供えすることもあります。 -
汁椀(しるわん)
味噌汁やお吸い物など、汁物を盛り付ける器です。 -
平椀(ひらわん)
煮物を盛り付ける器です。 -
壺椀(つぼわん)
胡麻和え、おひたし、酢の物など、和え物を盛り付ける器です。 -
高杯(たかつき)
漬物など、香の物を盛り付ける器です。「腰高(こしだか)」ともいわれます。香の物は3切れだと「みきれ=身切れ」を連想させ不吉なため、2切れを盛り付けます。高杯は「高月」「高坏」と記載されることもあります。
御霊供膳の基本の並べ方
基本の並べ方は、左上に平椀、右上に壺椀、中央に高杯、左下に飯碗、右下に汁椀、手前に箸を置きます。お仏壇や祭壇などにお供えする際は、箸を置いてある方を仏様に向けてお供えします。
仏様にとって、香りや料理の湯気がご馳走になるといわれていますので、器の蓋は取った状態でお供えします。(「香喰(こうじき)」)
平椀、壺椀、高杯は、宗派によって並べる位置が異なる場合があります。
また、置き方には地域差もありますので、菩提寺の僧侶や身近な人に確認されると安心です。
宗派による並べ方の違い
宗派による御霊供膳の並べ方の違いを一例として紹介します。
◆浄土真宗
浄土真宗では、亡くなった方はすぐに浄土へ往生すると考えられているため、御霊供膳はお供えしません。
御霊供膳の個数
御霊供膳は1つ、もしくは、地域・寺院のご意向によっては2つ並べてお供えします。
2つ並べるのは、仏様とご先祖様にそれぞれ料理をお供えするためです。御霊供膳が大小2つセットになっている場合は、大きい方を仏様の分として右側へ、小ぶりな方をご先祖様(故人様)の分として左側へお供えします。
仏壇や祭壇のどこに置く?
御霊供膳を置く場所について、お仏壇と祭壇それぞれのケースについて解説します。
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お仏壇
お仏壇内部の下段か、薄引き出し(膳引き)の上に置きます。小型のお仏壇など、お仏壇内に置き場所が無い場合は、脇や手前に台を設置してその上に置いても構いません。 -
祭壇
3段の場合は中段、2段の場合は下段に置く場合が多いですが、地域や寺院によって配置が異なる場合があり、絶対的な決まりはありません。僧侶や親族に事前に確認しておくと安心です。
◆置き場所を選ばない「略式御霊供膳」
お仏壇が小型で通常の御霊供膳が置けない場合、略式御霊供膳を用いると便利です。
器を3つに省略したもので、それぞれご飯、汁物、香の物を盛り付けます。通常の御霊供膳より奥行きが浅いため、コンパクトにお飾りしたい方におすすめです。
御霊供膳はいつ下げる?食べてもいいの?
御霊供膳はいつまでお供えしておくのが適切なのでしょうか。ここでは御霊供膳を下げるタイミングについて具体的にお答えします。また、下げた料理は食べるべきか捨てていいのかという疑問や、お供え物を片付けた後のお椀の洗浄・お手入れの方法についても解説しています。
御霊供膳はいつまでお供えするべき?
お供え物をいつ下げたらいいか、タイミングに決まりはありません。
仏様は料理の香りや湯気を召し上がりますので、長時間お供えせずとも、料理が傷む前(料理が冷める頃)にお下げするといいでしょう。料理を下げる際は、「お下げします」と一言添えると丁寧です。
下げた料理は食べる?捨てる?
下げたお供え物は家族で食して構いません。お仏壇・祭壇からお下げした食べ物をいただくことで、仏様やご先祖様と食べ物を分かち合いながら、日々食べるものに困らず生活できているということに対して感謝を表すことができます。食すのに抵抗がある場合は処分しても問題はありません。
お椀の素材とお手入れ方法
御霊供膳は主に、プラスチック製と漆器製があります。プラスチック製は比較的安価でお手入れしやすく、漆器製は高級感があって美しいことが特徴です。
お供え物を片付けた後は、通常の食器と同様に食器用中性洗剤で洗い、水分をふき取ります。漆器製は、強くこすらないこと、長時間水に浸けないこと、高温の料理をすぐに盛り付けないことを心掛けることで、長く美しく使用することができます。
◆お手入れ不要でいつでも気軽にお供えできる「ちりめん製の御霊供膳」
カラフルでかわいらしいちりめん製の御霊供膳もございます。
料理を盛ったり食べたりすることはできませんが、お供えするとお仏壇や祭壇を華やかで温かな雰囲気にすることができます。職人が心を込めて手作りしたはせがわオリジナル商品です。
よくある質問
御霊供膳に関するよくある3つの質問に回答します。
Q1. 御霊供膳はどこで販売していますか。
Q2. 白木の御霊供膳について教えてください。
A. 忌明け前や初盆(新盆)の場合、白木の御霊供膳(白木膳)を使用する地域もあります。
白木膳は葬儀社で購入できることが多いです。
Q3. 御霊供膳を処分する場合はどうしたらいいですか?
A. 御霊供膳は魂の宿る礼拝仏具ではないため、不要になった場合は一般ごみとして処分して構いません。
処分することに抵抗がある場合は、寺院にお焚き上げしていただくか、はせがわでお引き取りすることも可能です。
※お引き取りは有料で、事前申し込みが必要です。
■お仏壇・お仏具の処分について詳しくはこちら
お仏壇の処分方法4選と、それぞれの費用をあわせて解説します。はせがわによる仏具のお引き取りについても説明しています。