開眼供養ってなに?いつからあるの?
「開眼供養」は新しくお墓やお位牌・ご本尊などを用意した際におこなう仏教儀式です。購入したばかりは魂がはいっていないとされ、開眼供養を実施することで仏様・故人様の魂が宿るとされます。物から礼拝物(手をあわせる対象)となります。
読み方は「かいげんくよう」です。ほかに「開眼法要」「入魂式(にゅうこんしき)」「魂入れ(しょういれ)」「性根入れ(しょういれ)」やお墓の場合には「建碑式(けんぴしき)」などともいいます。宗派ごとに言い方も異なりますので、詳しくは<こちら>もご確認ください。
開眼供養の歴史
日本での開眼供養は奈良時代までさかのぼるとされます。752年に東大寺の大仏殿にて盛大な法要が営まれ、インド・中国・韓国・ベトナム・インドネシアなどの各国来賓が参集する、当時の東アジア最大のイベントになったとされます。法要の導師を務めたのはインドよりきた菩提遷那(ボディセーナ)という僧侶でした。
タイミングはいつ?しなくてもいい?
開眼供養をする時期に明確な決まりはありませんが、よく実施されるタイミングを紹介します。四十九日や一周忌など節目の法要予定日と近い場合には同時にとりおこなうこともあります。また開眼供養をしない場合もあわせて紹介します。
開眼供養をする定番のタイミング
ご本尊・お位牌を購入したとき
仏像や掛軸などの宗派ごとのご本尊、お位牌を購入した際に開眼供養をおこないます。
お悔やみをきっかけの購入であれば、四十九日などの法要と一緒にされることが多く、間に合うように購入・準備をしましょう。お位牌には文字の加工が必要になり、2週間から3週間ほどかかるとされています。
お墓を建てた(購入した)とき
新しくお墓を購入した際に開眼供養をおこないます。お墓の場合は「建碑式(けんぴしき)」「墓開き(はかびらき)」ともいいます。お悔みがきっかけの購入は弔事とされ、生前の購入はお祝い(寿陵)とされています。
■寿陵(じゅりょう)とは
生前にお墓を建立することで、一般的に長寿を願うめでたいお墓といわれます。急激に進む高齢化社会を迎え、多くの方が早めに自分たちの墓地を用意したいと考えており、近年購入動機として増加しています。
お墓の相続は「祭祀財産」とみなされ、相続税がかからないため、税制上の対策にもなります。
引っ越しで移動をするとき
引っ越しで移動する前にご本尊やお位牌へ「閉眼供養(へいがんくよう)」をし、移動後には「開眼供養」をします。引っ越しに関しての供養を必要・不要は宗派や寺院によって考え方が異なりますので、事前に相談をするとよろしいでしょう。
■閉眼供養(へいがんくよう)とは
開眼供養とは逆に、ご本尊やお位牌に宿った魂をぬくことです。「魂抜き(しょうぬき)」「性根抜き(しょうねぬき)」ともいいます。
修理をするとき
ご本尊やお位牌は長くお祀りするなかで、修理や加工などをするために工房に預けることもあります。預ける前に「閉眼供養」、修理後に「開眼供養」をしましょう。
開眼供養をしなくてもいい場合
お仏壇のみ買い替える場合
開眼供養はご本尊やお位牌にするものと考えられているため、お仏壇への開眼供養は不要となります。宗派によっては開眼供養が必要と考える場合もありますので菩提寺に相談をしましょう。
同じ住居のなかでの移動
別の部屋への移動の場合、開眼供養は不要とされています。移動の前と後できちんとお参りやお掃除をして丁寧に移動をしましょう。
宗派によっては開眼供養が必要と考える場合もありますので菩提寺に相談をしましょう。
浄土真宗の場合
多くの宗派で実施されている開眼供養ですが、浄土真宗ではこないません。
理由として亡くなった後、すぐに仏様になるという「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」という考えがあります。そのため魂が宿るという考えもされていません。
入仏式といった新しい仏様をお迎えする法要は実施されています。詳しくは<こちら>にてご確認ください。
準備すること|手配からお布施の表書きまで
開眼供養を実施するために準備することを説明します。必要な手配や住職にお渡しするお布施の費用相場や封筒の書き方も紹介します。
住職に開眼供養の手配・相談をする
お位牌やお墓を準備することになりましたら、法要の手配が必要になります。菩提寺に相談をしましょう。お付き合いのある寺院がない場合は、葬儀を依頼した寺院に依頼をする、または仏壇仏具店で紹介してもらうとよろしいでしょう。
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日程や時間を寺院と相談して確定します。親族など参列者が集まりやすい土日がよく選ばれています。会食をする場合は午前や昼頃などの時間を予定しましょう。
法要場所も決めます。自宅・寺院・葬儀会館などの法要施設、お墓の場合は墓前などで開眼供養を実施します。
関係者への連絡
開眼供養の日時が確定したら、親族などの参列者へ連絡をします。お悔みの場合は故人様と親交の深い友人・知人を呼ぶこともあります。
案内状を送付するもしくは電話やメールなどで連絡をすることもあります。
会食の手配をする
法要後に会食をすることもあります。
会食会場は、法要場所の近くのレストランなど飲食店・葬儀会館・ホテル・自宅などの候補があります。移動がともなう場合には、移動手段(徒歩・タクシー・バスなど)も考慮し、手配をしましょう。
■法事の食事について詳しくはこちら
法事で食事をする目的・会場・食事の費用相場・タブーなどのマナーを解説。
返礼品の手配をする
開眼供養では香典やお供えをいただくことが多くあります。開眼供養に参加いただいたことへのお礼・香典やお供えをいただいたことへのお礼の意味をこめて返礼品を渡しましょう。
お菓子・タオル・カタログギフトなどが選ばれています。
法事ギフトはこちら>>
お供えの用意をする
お供えは「五供(ごく)」という考えをもとに用意するのが一般的です。「香」「花」「灯明(とうみょう)」「浄水(じょうすい)」「飲食(おんじき)」の5つです。普段・お盆・お彼岸でもこの考えでお供えをします。
■五供の例
・香…お線香などの香り
・花…お花
・灯明(とうみょう)…ローソクなどの火(明かり)
・浄水(じょうすい)…水やお茶
・飲食(おんじき)…炊き立てのご飯・お菓子・果物などの食べ物
※香・花・火の3つで「仏の三大供養」とされ、中でも大切なお供え物とされます。
開眼供養では、五供のほかにも盛大にお供えを用意するのが一般的です。海の物(昆布・ワカメ・スルメなど)・山の物(しいたけ・きくらげなど)・里の物(人参・キャベツ・キュウリなど)とよばれるものを準備します。
準備に悩んだ際には、菩提寺や仏壇仏具店などに相談をしましょう。お墓の開眼供養の場合には石材店が中心に準備をしてくれる場合もありますので、事前に確認をしておきましょう。
お布施の用意|表書き
お布施の金額に迷った場合は、寺院に直接ご確認をしても失礼にはなりません。地域などにより異なる可能性はありますが、1万円から5万円程度の用意をされています。また、ほかの法要と同時におこなう場合は1.5から2倍程度にするといった考え方もあります。
表書きは白黒の結び切りの水引に「御布施」または「入魂御礼」「開眼供養料」「開眼法要料」と上半分に記載します。お悔みではない開眼供養の場合はお祝いのため赤白の水引を使用し「内祝」「御礼」「開眼御礼」とすることもあります。下半分には施主のフルネームもしくは「〇〇家」を記載します。
連絡先(住所や電話番号)と金額は裏面左下に記載します。
中袋がある場合は、中袋の表面に金額、裏面に住所や氏名などを書きましょう。
文字は、毛筆または筆ペンを使用し、通常の濃い黒色を使用します。お札は新札でも問題なく、向きは肖像画の方が封筒の正面・肖像が上側に来るように入れます。
文字が記載された封筒(のし袋・不祝儀袋)は仏壇仏具店・スーパー・文具店・オンラインショップなどでも販売されています。
お近くの はせがわ店舗で購入する>>
オンラインショップで購入する>>
住職に出向いていただいた場合はお車代、会食を辞退された場合はお食事代も用意しましょう。
・御車代の相場…5千円~1万円程度
・御食事代の相場…5千円~1万円程度
開眼供養の当日の流れ
開眼供養の当日の流れを紹介します。地域性や住職の考えによっても流れはかわりますので事前に確認をしておくと安心でしょう。
お布施を渡す
用意しておいたお布施を住職にお渡しします。タイミングは開眼供養の前・後どちらでも問題ないとされています。
袱紗(ふくさ)にいれたお布施袋を取り出して文字が先方から見れる向きにして渡します。袱紗やお盆を台にして「お納めください」「本日はありがとうございます」など一言添えると丁寧です。
■袱紗(ふくさ)について詳しくはこちら
結婚式やお葬式でも使用する袱紗について、包み方から渡し方まで解説。
掃除をしてきれいにする
自宅でご本尊やお位牌に開眼供養をする場合、お墓で開眼供養をする場合ともにきれいにお掃除をしておきましょう。
お墓の開眼供養をする場合は石材店が準備をしてくれることもありますので、事前に確認をしましょう。一部の地域ではお墓に白い布(サラシ)が巻かれています。
一部の地域では新しく建てたお墓に白い布(サラシ)を巻くことがあります。開眼供養の前に邪気がお墓にはいるのを防ぐためとされています。
石材店にて準備をしてくれることが多く、開眼供養で住職が布を外します。供養後は妊婦さんの腹帯として活用すると安産祈願になると考えられています。
お供えを飾る
自宅の場合はお仏壇の近く、お墓の場合は墓前に机などを活用して祭壇を準備します。お供え物や焼香の用意をしましょう。お墓の開眼供養をする場合は石材店が準備をしてくれることもありますので、事前に確認をしましょう。
住職による読経・焼香の実施
住職による読経や焼香をおこないます。一部の地域では除幕(お墓に巻いた白い布を外すこと)もおこないますがタイミングは住職によってもかわりますので事前に確認をしましょう。
片付けをする
用意したお供えなどを片付けましょう。
一般的な外のお墓ではカラスなど動物がお供えを狙う可能性がありますので持ち帰り忘れのないようにします。お線香の灰などが落ちると固まりますのできれいにしましょう。ローソクやお線香で墓石が熱をもった状態で、水をかけると石が割れる可能性がありますので注意しましょう。
会食の実施・返礼品を渡す
会食をする場合は会食会場へ案内をしましょう。返礼品は会食後、会食を実施しない場合は開眼供養後にお渡しします。
宗派によって違う?浄土真宗などの考え方
基本的に曹洞宗や真言宗など、どの宗派でも開眼供養に関する考え方は同じとされていますが、名称に違いがあることもあります。また浄土真宗では開眼供養という考え方はされていません。
地域性や寺院の考え方でも名称が異なる場合もありますので、菩提寺に相談をしましょう。
浄土真宗
多くの宗派で実施されている開眼供養ですが、浄土真宗ではこないません。理由として亡くなった後、すぐに仏様になるという「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」という考えがあります。そのため魂が宿るという考えもされていません。
新しい仏様を迎え仏法(仏様の教え)にふれる生活がはじまることを祝う「入仏式」「入仏法要」「入仏慶讃(きょうさん)法要」「御移徙(ごいし・おわたまし)」「御遷仏法要」などといわれる法要をおこないます。
曹洞宗
開眼供養のことを曹洞宗では、新たに購入・用意した時には「開眼法要」、買い替えた時には「遷座法要(せんざほうよう)」ともよばれるようです。
臨済宗
開眼供養のことを臨済宗では「ご心入れ」「精入れ」ともよばれるようです。
天台宗
開眼供養のことを天台宗では「開眼法要」「精入れ」「仏壇開き」ともよばれるようです。
真言宗
真言宗では「開眼供養」ともよばれるようです。
日蓮宗
開眼供養のことを日蓮宗では「精入れ」ともよばれるようです。
マナー|持ち物や服装・香典の表書きなど
開眼供養に参加をするにあたり気をつけたいマナーを紹介します。事前によく確認をして当日に臨みましょう。
開眼供養の服装・持ち物
お悔やみでの開眼供養では喪服を着用します。生前の購入や買い替えでの開眼供養の場合はダークスーツ、ワンピースやアンサンブルなどの落ちついた服装がよろしいでしょう。
主催側・参列側ともに数珠を忘れずに持参しましょう。一人一つ持ちます。
開眼供養によばれた場合
友人・知人であれば3,000円から5,000円程度、親族であれば10,000円程度の金額を包みます。
開眼供養がお悔みによるものの場合は「御仏前」で白黒の水引です。生前の購入や買い替えのお墓の場合は「御建碑祝」「建碑御祝」で赤白の水引になります。
袱紗(ふくさ)に包み持参します。袱紗の使い方は<こちら>で確認をしましょう。
不祝儀袋の商品一覧>>
袱紗の商品一覧>>
石材店へのお礼は必要?
石材店などへのお礼については、あらかじめ料金の支払いをしている場合は不要と考えられています。お渡しをする場合には「志」と記載した封筒に5,000円から10,000円程度を包んでいるようです。