祥月命日とは?意味や由来について
祥月命日とは故人様と向き合う大切な日です。以下では、故人と遺族両方にとって重要な祥月命日の、意味や名前の由来について解説します。
祥月命日とは?
祥月命日とは、故人様の一周忌以降1年に1回訪れる、故人様が亡くなった没年月日と同じ月日のことです。祥月命日という呼び方のほか、「忌日(きにち・きじつ)」「正忌日(しょうきじつ)」とも呼ばれます。祥月命日に営む法要のうち、定められた年に行われる法要が年忌法要です。
「命日」や「月命日」との違い
命日とは、故人様の亡くなった没年月日を指します。翌年以降の同じ月日を「祥月命日」と呼んで区別されますが、毎年訪れる故人様が亡くなった月日(祥月命日)のことを指して「命日」と呼ばれることもあります。
月命日(つきめいにち)とは、1か月に1度訪れる、故人様が亡くなった日と同じ日にちのことです。祥月命日を除くと1年に11回訪れる日です。
祥月命日…故人様の没年月日と同じ月日
命日…故人様の没年月日
月命日…故人様の没年月日と同じ日にち
祥月…故人様の没年月日と同じ月
例:2023年1月23日に亡くなった方の場合
祥月命日は「毎年の1月23日」
命日は「2023年1月23日」
月命日は「毎月の23日」
祥月は「毎年の1月」
「祥月命日」の名前の由来
「祥月命日」という言葉には諸説あり、以下では2つの説を紹介します。
「正月」から変化した説
「正忌月(しょうきづき)」と呼ばれていた祥月命日の月は「正月(しょうつき)」と省略して「正月命日」と呼ばれていたが、1月の「正月(しょうがつ)」を意味する言葉と同じ文字であるため、間違いが起きないように変化したという説です。
めでたいという意味を表した説
中国では、忌明けはめでたいことという考え方があります。忌明けの月を縁起がよい、めでたいという意味の「祥」を用いて「祥月」と表したことが日本に伝えられたという説です。中国で行われる、日本の一周忌や三回忌に近い祭事の「小祥忌(しょうじょうき)」や「大祥忌(だいじょうき)」にも、「祥」という文字が含まれています。
何を行う?祥月命日にすること
祥月命日には法要を行ったりお墓参りをするなど、故人様を大切に供養します。供養の方法は宗派の教えや地域の慣習、家庭によっても異なるため、菩提寺や地域に詳しい方、親戚などに確認しておくと安心です。
以下では、具体的に何を行うかについて解説します。
年忌法要の年には法要をおこなう
節目とされる年の祥月命日には年忌法要を行うことが正式な形とされます。
回忌法要は、仏教において重要な意味を持つ回忌に三と七の数字がつく節目の年に行います。故人様が亡くなって1年目の「一周忌」、2年目の「三回忌」、32年目の「三十三回忌」や、三と七がつく「七回忌」や「十三回忌」などを重要な節目とすることが多いです。
法要を執り行う施主や遺族は、読経を依頼した住職へお布施(法要に対するお礼を込めた金銭)を渡します。また、住職が法要会場まで移動が必要な場合は「御車代」、法事の会食(お斎)に住職が参加しない場合は「御膳料」をお布施と合わせて用意します。
■法要はいつまで続ける?
回忌法要は故人様が亡くなってから49年目の五十五回忌法要まで行うことが正式とされますが、故人様が亡くなってから32年目の三十三回忌法要を区切りとしての弔い上げ(完全に成仏したものと考え、最後の法要とすること)が多いです。
法要に対する考え方は、執り行う方や菩提寺、地域によっても異なるため、家族や親戚、住職とも相談し、亡くなってからどのくらいまで法要を行っていくかについて計画しましょう。
■法要について詳しくはこちら
年忌法要がない年にすること
年忌法要がない年の祥月命日に行うこととしては、お仏壇へのお参りのほか、お墓参りやお墓とお仏壇の掃除、普段と違うお供え物をする、などがあります。
お墓参りをする
お墓は、故人様との心の繋がりを感じるための心の拠り所として存在し、仏教において故人様を偲ぶ日である祥月命日は、お墓参りをすることが多いタイミングの一つとされます。
年1回の祥月命日にお参りする場合と、月1回の月命日にお参りする場合がありますが、現代では年1回ある祥月命日のお参りが一般的です。お墓を綺麗に掃除して、近況の報告や日々見守ってくださることへの感謝の気持ちを伝えましょう。
■お墓参りができない場合はどうする?
身体的な理由やお墓が遠方にあるなど祥月命日にお墓参りが難しい場合は、ご自宅のお仏壇を中心に気持ちを込めてお参りしましょう。
■お墓参りについて詳しくはこちら
お墓参りの意味や作法、適した時期や時間帯、マナーなどの基本を解説しているページです。お墓参りに行ってはいけない日などのタブー、お供えする花の種類なども紹介しています。
お仏壇やお墓を掃除する
仏教においてお掃除とは、心を磨くための修行としても使われており、お仏壇の掃除も同様に大切な行為とされています。祥月命日には、普段の簡易的な掃除では行わないお仏壇の中の掃除や毎日使うお仏具をお手入れして、気持ちよくお参りできる環境を整えてみてはいかがでしょうか。
■お仏壇の掃除について詳しくはこちら
お仏壇掃除のやり方や頻度、業者にクリーニングを依頼する場合など、お仏壇のお手入れ全般を解説しているページです。また、お仏壇の電球交換の方法も紹介しています。
普段と違うお供え物をする
お仏壇へのお参りの際には、普段と違う香りや食のお供え物をして、お仏壇のまわりを華やかにすることもおすすめです。故人様への感謝や願いを込めてお供えしましょう。
ペットの祥月命日には、新しいおやつやおもちゃを飾るのもよいでしょう。
詳しくは祥月命日にお供えするものとは?で解説しています。
■祥月命日には卒塔婆(塔婆)を立てることがある
卒塔婆(そとうば、そとば)…ご先祖様の追善供養のためにお墓近くに立てる、文字が書かれた木の板のことです。仏教では卒塔婆が「善」であるとされ、生きている者の善行が故人にとっての善になるという考え方があります。
お墓のある寺院や霊園に依頼をして用意するもので、一般的に年忌法要や納骨時などの法要、お盆やお彼岸の仏教行事などのタイミングで立てられますが、そのほか毎年訪れる祥月命日に卒塔婆で供養をする方もいらっしゃいます。
基本的に、浄土真宗では卒塔婆を立てることはありませんが、地域の慣習や寺院の意向によっては立てる場合もあります。
花は何を選ぶ?おすすめのお供え物
祥月命日には、故人様への想いを込めたお供え物をします。お仏壇へのお供え物やお墓にもお供えする供花は、どのようなものを選ぶとよいでしょうか。
以下では、おすすめのお供え物について解説します。
祥月命日にお供えするものとは?
お仏壇には日々の基本的なお供え物のほか、普段と違うお供え物をして華やかにします。故人様が生前に好んでいたお菓子やお花、季節の果物、普段と香りの違う特別なお線香などのお供えがおすすめです。
故人様は、食べ物とお花からでる香りや感謝を込めた気持ちを召し上がるとされています。食べ物のお供えを下げた後は、ご先祖様から分けていただいたものとして大切にいただきましょう。
お菓子のお供えを選ぶポイント
故人様と縁のある方が集まる法要では、お菓子をお供え物として選ばれることが多いです。
お供え物は長期間お供えされることが多く、お供えを下げた後に分けて食べるため、常温保存ができ日持ちするお菓子が適しています。また、個包装で種類の多い詰め合わせは、多くの方が参列する法事にて、法要後に家族や参列者へ配りやすくおすすめです。
故人様や家族、分ける方々に喜んでいただけるお供え物を選びましょう。
■お供えのお菓子について詳しくはこちら
お供え物のお菓子の選び方やおすすめのお菓子を紹介しているページです。また、置き方のマナーやお供えの期間、法事やお盆で贈る際の注意点も解説しています。
お供えにおすすめなお花を紹介
お花をお供えする理由は、「仏の慈悲」をいただくためや、故人様やご先祖様へ感謝の気持ちを表すためと伝えられています。
故人様にとって重要な日である祥月命日には、普段よりも華やかにお花を飾りましょう。法要を行う祥月命日には、白を中心に淡く落ち着いた色の種類を選ばれています。おすすめのお花は以下のものです。
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代表的な仏花
例:ユリ、菊、胡蝶蘭
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長く日持ちのするお花
例:かすみ草、カーネーション、トルコキキョウ
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季節のお花
例:マーガレット、スターチス(春のお花)
- 故人様が生前に好んでいたお花
■供花について詳しくはこちら
やってはいけないことは?
以下では、一般的に祥月命日で避けるべきとされることについて解説します。
仏教でタブーな食べ物のお供えや食事
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三厭(さんえん)…動物性の食品
例:肉・卵・魚
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五葷(ごくん)…辛味や香りなど刺激が強い食品
例:ニンニク・タマネギ・ネギ・ニラ・ラッキョウ
仏教では、殺生を想像させる・煩悩を刺激するとして三厭と五葷を使用したお供えや食事は控えるべきとされてきました。昨今では教えにのっとり、厳格に実践する必要はないという考え方もありますが、仏教において重要とされる法事で料理をお供えしたり食事をする場合は、できる限りこれらを避けましょう。
また、故人様が生前に好んでいたなど特別な想いがあってお酒をお供えする方もいらっしゃいますが、仏教の教えにのっとりお酒は避けた方がよいと考えられる場合もあるため、家族や親戚に確認したり、迷われる場合は控えるとよいでしょう。
派手な色やデザインの服装
祥月命日は故人様を偲ぶ日のため、黒や紺、グレーなどの落ち着いた色味でシンプルなデザインの服装を着ることが一般的です。可能な限り派手な色味や華美なデザインのものは避けましょう。
また法事の際は、一周忌までの喪主や親族は正喪服もしくはスーツやワンピースなどフォーマルな準喪服を着用します。
よくある質問
最後に、祥月命日についてよくお寄せいただく質問をご紹介いたします。
Q1.浄土真宗の祥月命日はどうする?
A.その他の宗派と同様に法事などを行われることが多いですが、寺院によっては決まりがある場合があります。
また、浄土真宗の年忌法要はその他の宗派と同様、一周忌から始まり三十三回忌あたりに弔い上げをすることが多いですが、時期や回数など寺院の意向によって決まりのある場合があります。気になる方は、菩提寺やお付き合いのある寺院に祥月命日の過ごし方や法要について確認いただくとよいでしょう。
Q2.お供えにタブーなお花はある?
A.昨今では、ご家庭や故人様の雰囲気に合わせ、どのようなお花をお供えしても問題ないとされています。
一方で、宗派や地域の慣習などによっては種類が決められていたり、香りや色が強い種類を控えるべきという考え方もあります。お供えしてもよいか気になる場合は、菩提寺の住職や地域に詳しい方、家族や親戚などに確認することをおすすめします。
Q3.法要をする際のお布施の相場は?
A.住職に渡すお布施の金額は法要の種類によっても異なりますが、年忌法要では3万円~5万円が相場とされます。
一般的な法要の相場は、以下の通りです。
一周忌 3万円~5万円程度
三回忌とそれ以降の法要 1万円~5万円程度
年忌法要でない年に住職へ読経していただく場合は1万円~3万円程度をお包みする場合が多いです。
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