お斎ってなに?しないといけないの?
お斎(おとき)とはなにか、法事で食事をする目的(理由)、しなければいけないのかといった点を紹介します。
お斎とは
法事(法要)の後に実施される食事の総称を「お斎(おとき)」といいます。お斎は2時間程度で実施されています。
「斎食(さいじき)」という正しい時間に食べ過ぎないように食事をとる決まりが、食肉をしないこと、転じて仏事における食事をさすようになったとされています。
似た言葉で「精進落とし(しょうじんおとし)」「精進明け(しょうじんあけ)」があります。これは四十九日法要で実施される会食(食事)のことです。四十九日までは精進料理を食べる習慣があり、そこから通常の食事に戻るものです。
■法事と法要は何が違う?
「法要」は故人様の冥福を祈り、住職による読経や参列者の焼香など、ご供養をするために行う仏教の儀式のことです。
一方で「法事」は、住職に読経していただき故人様を供養する「法要」と、その後の会食などを含めた仏教行事全般のことです。また「法事」の「事」は、「食事」の「事」からきているとされています。
■法事について詳しくはこちら
法事と法要の違い、法要の種類、必要な準備やマナーを解説。
法事で食事をする目的
法事で食事をとることには大きく2つの目的(理由)があるとされます。
故人様を供養するため
日本には元々「直会(なおらい)」や神様と同じものを一緒に食べる「神人共食(しんじんきょうしょく)」という文化があります。食べながら故人様のことを偲ぶ・話すことが「食べることが供養になる」という考えになったとされます。
感謝の気持ちを示すため
住職や参列者に、都合をつけて参加いただいたことに対して感謝を伝える意味もあります。また普段会う機会の少ない親族と親睦を深めることにも繋がります。
しないといけない?しない場合のお弁当や返礼品
お斎はしなくてはいけないという決まりはありません。近年は葬儀などの小規模化により、法事も家族のみなど少人数でおこない、お斎を実施しないこともあります。しかし食事をセットでと考えている方もいる可能性がありますので、実施しない場合は事前にお伝えすると丁寧です。
お斎をしない代わりに、食事券や持ち帰り用のお弁当、返礼品などを渡すこともあります。お弁当を渡す場合は、梅雨や夏場は食べ物が傷みやすいので注意しましょう。返礼品は日持ちのするお菓子・洗剤などの消耗品といった「消えもの」が選ばれています。また受け取り側が自由に選べるカタログギフトも人気です。
法事ギフト
どこでする?お店や自宅など定番の会食場
法事での食事をする場所、各特徴を説明します。決まりはありませんので施主や参列者が、参加をしやすい場所を選ぶとよろしいでしょう。また大規模な会場では、落ちついて食事ができる個室がよろしいでしょう。
ホテル
食事だけでなく、法要自体も実施できるホテルもあります。同じ場所であれば移動も少なくすみます。遠方から参列者は宿泊もでき、交通至便のよいホテルも多くあります。
法要施設
葬儀会館(セレモニーホール)、霊園・納骨堂の法要施設などで食事ができる施設もあります。移動も少なくすみ、スタッフに法事関係の相談をすることもでき、スムーズな準備ができるでしょう。提携している飲食店がある場合もあり、お店の選定をする必要がない一方で、他のお店の利用ができない場合もあります。
事前に食事対応が可能か、飲食店の指定があるのかなど確認をしましょう。
料理店
寺院や法要施設の近くの徒歩距離にある料理店(レストラン・料亭など)が選ばれています。他の利用者もいる可能性もありますので、落ち着いて実施できるように個室を予約するようにしましょう。故人様が好きな料理を作っているお店、行きつけだったお店を選ぶのもよろしいでしょう。
近隣のお店以外の場合には、移動手段の検討が必要です。タクシーの手配、または送迎バスの対応をしているお店を選ぶのもよろしいでしょう。
自宅
参列者が集まるスペースがある場合は、故人様や親族が親しみのある自宅で実施することもあります。時間を気にせずに過ごすことができます。会場費用がかからないので、ホテルや葬儀会館などより費用を抑えることが可能です。
食事は、料理を作る・仕出し弁当を頼むの二通りがあります。故人様の好物を家庭で作りたい・準備をする人手がある場合には作ることがおすすめです。準備や片付けの時間や手間を割愛する場合には仕出し弁当がおすすめです。
食事の費用相場・住職に渡す御膳料と書き方
食事の費用相場について説明します。また住職にお渡しする「御膳料(ごぜんりょう)」の書き方などにもふれています。
会食の費用相場
費用は1人あたり3,000円から10,000円程度と幅があります。
家族のみの小規模では3,000円から5,000円程度、親族を含めた規模では5,000円から7,000円程度、会場や料理にこだわりがある場合は7,000円以上となるようです。
御膳料・封筒の書き方
お斎には住職もお誘いをしましょう。しかしながら、都合があわず食事を辞退されることもあります。不参加の場合は「御膳料(おぜんりょう)」または「御食事代」としてお金をお包みします。食事と同程度の5,000円から10,000円が包まれているようです。袋の表書きには「御膳料」と記載します。下半分には施主の名前をフルネームで記載、もしくは「〇〇家」と縦書きで記載します。文字は毛筆または筆ペンで通常の濃さ(濃い墨)を使用します。
裏面には住所や電話番号、金額を記載します。数字は大字(だいじ)とよばれる旧字を使用し、頭に「金」を付けます。10,000円の場合は「金壱萬圓」となります。
1…壱、2…弐、3…参、5…伍、千…仟、万…萬、円…圓
■その他の住職にお渡しするもの
・お経のお礼…「御布施」
・会場までの交通費…「御車代」
御膳料は袱紗(ふくさ)に包み持参します。法事の開始前、もしく終了の際に住職へ渡します。直接渡すのではなく、文字が先方に読める向きにして袱紗やお盆などの上に置いて渡します。
御膳料の袋、袱紗の選び方に悩んだ際には店頭での相談をして購入することがおすすめです。
はせがわ の店頭で相談する>>
御膳料
袱紗(ふくさ)
選ばれる料理・避けるべきメニュー
選ばれる料理、法事では避けるべき料理について紹介します。悩んだ際は、会場または料理店のスタッフに「法事の食事を頼みたい」といった旨をお伝えすれば、おすすめや定番の料理を提案していただけるでしょう。
選ばれる料理
食事は和食を選ばれることが一般的です。かつては精進料理が主流でしたが、近年ではその習慣は薄れてきています。和食のコースや懐石料理を選ぶとよろしいでしょう。前菜・魚の煮物・天ぷら・お寿司・茶碗蒸し・お吸い物などがあるでしょう。
■精進料理とは?
不殺生の教えに従い、魚や肉、酒は避け、植物性の食品を調理した料理のことです。ご飯、煮物、和え物、お吸い物、漬物などの内容になります。
■和食以外でもいい?
洋食(イタリアン・フレンチなど)や中華でも問題ありません。故人様が好きだった食べ物・通っていたお店を選ばれてもよろしいでしょう。
避けるべきメニュー
慶事の食材や華やかな料理はタブーと考えられています。金箔・紅白・松竹梅をあしらったもの、正月・結婚式で食べられる縁起を担いだもの(語呂合わせなど)も避けます。
【避けられる食材】鯛(めでたい)、伊勢海老、結びこんにゃく など
子ども用の料理
普段食べ慣れていないと和食や懐石料理などは、子どもが食べづらい場合があります。「お子様膳」とよばれる食べやすいものを選ぶとよろしいでしょう。決まりはありませんが、唐揚げ・フライドポテト・ハンバーグなどが多いようです。
お酒などのアルコール類
お酒には「穢れを清める」という意味があり、振舞われています。日本酒やビールが選ばれていますが、故人様が好きなお酒を準備するのもよろしいでしょう。
タブーはある?|挨拶や服装などマナーを紹介
法事の食事に関する注意したいマナーを紹介します。よく確認し、スムーズな準備・参加をこころがけましょう。
案内状を出す
案内を送付し、出席の有無を確認する形で参列人数を把握します。人数が小規模の場合は電話・メールなどで法要の連絡と出欠席をとることもありますが、案内状を作成して送るのがマナーになります。先方の都合もあるため約1ヶ月前には案内状が届くように準備しましょう。
食事を実施しない場合は案内の際に「諸般の事情により会食の席をご用意しておりません 大変恐れ入りますがご了承のほどお願い申し上げます」など一言添えると丁寧です。
■案内状の例
謹啓
春暖の候 皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます
さて 来る〇月〇日に〇〇〇居士(俗名 長谷川 〇〇)の〇〇法要を営みたく御多忙の中誠に恐縮に存じますが何卒ご臨席のほどお願い申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
記
一、日時 令和〇年月〇日(〇) 午前〇時〇分より
一、場所 〇〇寺 東京都〇区〇〇
一、電話 〇三(〇〇〇〇)〇〇〇〇
尚 料亭「〇〇」にて粗食を差し上げたいと存じます
〒〇〇〇-〇〇〇〇
東京都〇区〇〇〇〇
電話/FAX〇三(〇〇〇〇)〇〇〇〇
長谷川 太郎
誠に恐縮ですが 〇月〇日迄にご返信下さるようお願い致します
・切手を貼った返信用はがきを封筒に同封するか、往復はがきを使用します。出欠確認が必要になるため先方が返信しやすいように送ります。
・法要が滞りなく終わることを願って、「、」や「。」などの句読点は入れないのがマナーとされています。
挨拶
施主は開始や終了時に挨拶を実施します。法事が滞りなく進んでいること、参加いただいた感謝の気持ち、故人様への冥福の気持ちをこめます。料理が冷めてしまうため、なるべく短めに、長くても3分程度におさめるようにしましょう。
■開始の挨拶例
「本日はありがとうございました。こうして〇〇を偲ぶ席にお付き合いいただき、本当に嬉しく思います。
懐かしい方々のお顔を見ることができ〇〇も喜んでいると思います。思い出話をしながら、冥福を祈りたいと思います。それでは、献杯とご唱和をお願いいたします。献杯。」
■終了の挨拶例
「本日はお忙しい中、お集まりいただきまして本当にありがとうございました。懐かしい話を聞けて、〇〇も喜んでいると思います。
これにて最後のご挨拶とさせていただきます。これからもご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。ささやかですが、お手元にお礼の品を用意しております。お気をつけてお帰りください。」
献杯
献杯は家族のみなど小規模な場合は施主が実施をされる傾向があります。
施主以外が実施する場合は、親族の中で年配の方・本家筋の方・自治会方が実施をされているようです。
グラス同士を触れる(カチンと音をたてる)こと・高くあげることはせず、胸の高さ程度に軽く掲げます。また献杯の声は落ち着いたトーンにしましょう。
■施主以外の献杯例
「只今ご紹介いただきました(故人との関係性)の〇〇と申します。このように皆様にお集りいただき故人もさぞ喜んでいることと存じます。思い出話をしながら、冥福を祈りたいと思います。それでは、献杯とご唱和をお願いいたします。献杯。」
食事での服装
法要から食事まで一連の流れで実施をしますので、法要時に着用している喪服のまま食事をします。喪服には種類があり、法要の種類や立場(施主側・参列者側)によっても変わりますので検討をしてもよろしいでしょう。
■法事の服装について詳しくはこちら
法事に着る服装、喪服の種類、法事毎に着るべき服装まで解説。
席次
席の順番にも気をつけましょう。四十九日法要では、上座に住職、故人様と親しかった人など参列者、施主側の流れで座ります。四十九日以外の法要では、施主は住職の隣になります。
家族のみなど小規模の場合には明確な決まりはなく座ることもあります。
故人様に関係することを話す
法要や食事は故人様へのご供養のために実施するものになります。故人様と関係ない話はなるべく避けるとよろしいでしょう。
忌み言葉・重ね言葉は避ける
不幸が重なることやマイナスイメージを連想させるような言葉は縁起が悪くタブーとされます。注意しましょう。
【例】重ね重ね、くれぐれ、度々、苦しむ、迷う、数字の4(死)・9(苦) など
よくある質問(Q&A)
法事の食事に関するよくある質問を紹介します。より具体的なお困りごとがある場合には、はせがわ店舗でもご相談が可能です。はせがわ の店舗で相談する>>
一周忌法要の際、午後1時30分からと時間が半端です。また当日まで参加か不明な方もおり、お斎をするか迷っています。
お時間帯や人数の確定ができないことから考えると、特にお斎はしなくでもよろしいのではないでしょうか。
実施をしない場合は、食事代としてお食事券やお弁当、カタログギフトなどの引き出物を親族に渡すこともあります。ご家族のご意向もあるでしょうから、<こちら>も参考に、ご相談をしてから最終的にお斎をするかどうかを決めてみてはいかがでしょうか。
法事の後の食事はなんといいますか?
法事の後に実施する会食を「お斎(おとき)」といいます。住職の読経の後に、住職や参列者を招きます。故人様へのご供養・参列への感謝を示す意味があります。
法事の会食なしでもいいですか?
会食は、しなくてはいけないという決まりはありません。近年は葬儀などの小規模化により、法事も家族のみなど少人数でおこない、お斎を実施しないこともあります。参列者の予定もありますので、事前に実施をしない旨をお伝えすると丁寧です。
食事をセットでされる考えを持っている方もいますので、実施しない場合は事前にお伝えをしておきましょう。