ご両親や親戚など、大切な方が亡くなったあとは、必要な手続きや準備が沢山あり、期限も定められています。
このページでは、年金や保険などの公的手続きをはじめ、遺産相続手続き、葬儀や法要といったご供養など、ご家族が亡くなってからやるべきことをお仏壇のはせがわがご紹介します。時系列に沿ってまとめた「すること一覧表」も参考になさってください。
ご家族が亡くなってからすること一覧表
※横スクロールで画像をご覧いただけます。
1.亡くなってから葬儀までの手続き
ご家族が亡くなってすぐのタイミングは、葬儀関連の手続きが中心になりますが、最低限の公的手続きも必要になります。大切な方を亡くされたばかりで大変な時期にはなりますが、いずれも期限が定められているものになりますので迅速に対応しましょう。
1-1.死亡届・埋火葬許可申請書の提出【7日以内】
- 故人の本籍地または死亡地、届出人の居住地の市区町村役場
- 死亡届、埋火葬許可申請書
- 死亡の事実を知ってから7日以内
ご家族が亡くなると病院の医師から「死亡診断書(医師が記入)」と「死亡届(届け出人が記入)」がセットで渡されますので、役所に置かれている「埋火葬許可申請書」とあわせて必要事項を記入し、7日以内に役所へ提出します。問題なく受理されると、納骨を行うために必須となる「埋(火)葬許可証」が発行されますので受け取ります。
ただし、近年は葬儀社が一連の手続きを代行し、遺族は許可証のみを受け取るパターンが一般的です。
死亡届は、戸籍法にて7日以内の提出期限が定められており、期限を過ぎてしまうと5万円以下の過料が発生する場合がありますので気を付けましょう。
1-2.葬儀施行、初七日法要【7日以内目安】
- 葬儀社、菩提寺または葬儀社紹介のお寺
- 7日以内が目安
葬儀施行
まずは近親者に連絡を入れ、葬儀を依頼する葬儀社を選びます。もし故人様が葬儀に関する要望を持っていた場合は配慮しつつ、葬儀のプランや費用、その他の対応(ご遺体の搬送や死亡届の代行など)の観点から検討し、信頼できる葬儀社を選びましょう。
依頼先が決まったら葬儀社に連絡を入れ、ご遺体を自宅や斎場へ搬送します。その後、打ち合わせをして葬儀日程や会場などを決定し、葬儀(通夜式、葬儀式・告別式、火葬)を行います。
初七日法要
仏教では、亡くなってから7日目のタイミングで「初七日法要(しょなのかほうよう)」を行う場合が一般的です。ただし、近年は日付通りに執り行うのが難しい場合も多いことから、葬儀と同日に初七日法要を行う「繰り上げ法要」や、葬儀自体に繰り込む形で法要を行うケースも増えてきています。
もし個別に法要を行う場合には、お斎の手配、お経上げいただく僧侶の手配などが必要になりますので、菩提寺(普段お世話になっているお寺)または葬儀社に紹介いただいたお寺に連絡を入れ、早めに依頼する必要があります。
葬儀の流れ(日程)・所要時間とは?|亡くなってから葬儀後まで解説
ご家族が亡くなると、限られた時間の中で葬儀の準備を行わなければなりません。このページでは、初めて葬儀を執り行う方に向けて、ご家族が亡くなってから葬儀までの流れを日程別に解説いたします。また、各手順の所要時間や、葬儀後に行うべき法要・手続き、葬儀に関する基礎知識についても触れています。
2.【期限あり】亡くなってからすぐにやるべき公的手続き
葬儀が終わって一段落してからは、年金や保険に関する公的手続きが本格化します。手続き内容によって期限は大きく異なりますが、いずれも後回しにせずなるべく早めに対応するようにしましょう。
2-1.年金受給停止の手続き【10日または14日以内】
- 年金事務所または年金相談センター
- 年金受給権者死亡届(報告書)、年金証書、死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書コピーや、死亡の記載がある戸籍など)
- 厚生年金なら死亡後10日以内、国民年金なら死亡後14日以内
故人様が年金受給者だった場合は、受給停止手続きが必要になります。この手続きを怠ってしまうと、本来もらえないはずの年金を受給することになり、不正受給と見なされますので気を付けましょう。
ただし、マイナンバー登録済みであれば手続きは不要となり、死亡届の提出時点で完了となります。
年金受給停止の手続きを行うと「未支払給付金請求書」という書類が発行されますので、この流れで未支給年金の請求手続きも行うと漏れがなく安心です。(未支給年金請求の期限自体は5年以内)
※詳しくは「2-9.未支給年金の請求【5年以内】」の項目をご参照ください。
※外部サイト(日本年金機構)に移動します。
2-2.各種保険の資格喪失手続き・保険証の返納【14日以内】
- 故人の居住地の市区町村役場(国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険の場合)
加入先の保険組合(社会保険の場合) - 資格喪失届、保険証、死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書コピーや、死亡の記載がある戸籍)など
- 死亡後14日以内(国民保険・介護保険・後期高齢者医療制度の場合)
死亡後5日以内(社会保険の場合)
日本では、国民全員に対して公的な医療保険に加入する義務(国民皆保険制度)が定められています。加入していた方が亡くなった場合は、保険の資格喪失手続きと保険証の返却を行う必要があります。
-
国民健康保険に加入していた場合
故人様が自営業などで国民保険に加入していた場合は、故人様の居住地の市区町村役場に「国民健康保険資格喪失届」と必要書類を提出して、保険証を返却する必要があります。市区町村によっては、死亡届を出せば保険の資格喪失手続きは不要になる場合もありますが、その場合も保険証の返却は必要になりますので注意しましょう。 -
社会保険に加入していた場合
故人様が民間企業の会社員などで社会保険(全国健康保険協会や組合健保)に加入していた場合は、加入先の保険組合に「被保険者資格喪失届」と必要書類を提出して、保険証を返却する必要があります。会社に手続きを行ってもらえる場合が多いため、まずは加入先(勤務先など)に連絡を入れ、必要な手続きを確認しましょう。
また、もし故人様の扶養に入っていた方がいる場合は同様に資格を失うため、死亡後14日以内に、国民健康保険への切り替え(新規加入)が必要になります。 -
後期高齢者医療制度に加入していた場合
故人様が75歳以上で後期高齢者医療制度に加入していた場合は、「後期高齢者資格喪失届」と必要書類を提出して、医療保険証を返却する必要があります。もし故人様が住所を老人ホームに移していた場合は、老人ホームの住所を管轄する市区町村役場に提出する必要がありますのでご注意ください。 -
介護保険に加入していた場合
故人様が65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた場合は、「介護保険資格喪失届」を提出して、介護保険証を返却する必要があります。
加入先によっては、葬儀に関する費用(葬祭費・埋葬料)が支払われる場合があります。こちらから請求しない限り支給されませんので、死亡連絡の際にあわせて請求方法を確認し、忘れずに請求手続きを行いましょう。
※詳しくは「2-5.埋葬料・葬祭費・高額医療費の請求」の項目をご参照ください。
2-3.世帯主変更届【14日以内】
- 故人の居住地の市区町村役場
- 世帯主変更届(住民異動届)、届出人の本人確認書類、印鑑、委任状など
- 死亡後14日以内
故人様が世帯主だった場合は世帯主が変更になりますので、世帯主変更届が必要です。ただし、次に世帯主になる方が明瞭な場合や、世帯に誰も残っていない場合などには手続きは不要となります。提出が遅れてしまった場合、5万円以下の過料が課せられる場合もありますのでご注意ください。
世帯主変更を行う際は、多くの市区町村では「住民異動届」という書類を用いて届け出る形になりますが、地域によっては別の書類が必要になる場合もあります。不明な場合は役所窓口にご確認ください。
2-4.雇用保険受給資格者証の返還【1か月以内】
- 故人が雇用保険を受給していたハローワーク
- 雇用保険受給資格者証、死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書コピーや、死亡の記載がある戸籍など)、住民票など
- 死亡から1か月以内
亡くなった方が雇用保険を受給していた場合には、雇用保険を受給していたハローワークに「雇用保険受給資格者証」※を返還する必要があります。
※基本手当を受け取る資格が証明できる書類のこと。
2-5.葬祭費または埋葬料の請求【2年以内】
- 故人の居住地の市区町村役場(葬祭費の場合)
加入先の保険組合(埋葬費の場合) - 支給申請書、埋葬や葬儀を行ったことが確認できる書類(領収書の原本など)、故人の健康保険証、申請者の本人確認書類、受け取り金融機関の通帳など
- 葬儀を行った日の翌日から2年以内(葬祭費の場合)
亡くなった翌日から2年以内(埋葬費の場合)
故人様が国民健康保険や社会保険に加入していた場合は、亡くなった際に「埋葬料」や「葬祭料」と呼ばれるご供養に関する給付金を受け取ることができます。加入先によって手続きが異なりますのでご注意ください。
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葬祭費の請求
故人様が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬儀の喪主に対して葬祭費が支給されます。居住地の市区町村役場に「葬祭費支給申請書」と必要書類を提出して申請しましょう。 -
埋葬料の請求
故人様が会社員などで社会保険に加入していた場合、埋葬を行った方に対して埋葬料が一律で5万円支給されます。保険の加入先(全国健康保険協会や組合健保)に「埋葬料支給申請書」と必要書類を提出して申請を行います。この手続きは会社が対応する場合もあるため、まずは勤務先に連絡して手続き方法を確認するところから始めましょう。
亡くなった翌日から2年以内が期限ですが、健康保険証を返納するタイミングとあわせて早めに行うと安心です。
葬祭費も埋葬料も自動支給ではありませんので、各自で請求手続きを行う必要があります。手続きの期限は2年以内ですが、忘れないようになるべくすみやかに申請するとよいでしょう。
2-6.高額療養費の支給申請【2年以内】
- 故人の居住地の市役所役場、健康保険組合など
- 高額療養費支給申請書、医療費の明細書、故人との関係が分かる戸籍謄本など
- 医療費の支払いから2年以内
1か月の医療費負担が一定の上限を超えた場合、超過分が払い戻しとなる制度を「高額医療費支給制度」と呼びます。この制度により、生前に高額な医療費を負担した場合には、超過分の支給申請が可能です。申請手続きの流れは加入先によって異なりますが、いずれの場合も加入先に支給申請書と必要書類を提出する形で申請します。
2-7.国民年金の死亡一時金請求【2年以内】
- 故人の居住地の市区町村役場、年金事務所、年金相談センターのいずれか
- 国民年金死亡一時金請求書、故人の年金番号を明らかにする書類(故人の年金手帳)、故人と申請者の関係が分かる書類(戸籍謄本など)、世帯全員の住民票の写し、故人の住民票(除票)、申請者の世帯全員の住民票、受け取り金融機関の通帳など
- 亡くなった翌日から2年以内
故人様が国民年金の第1号被保険者として保険料を一定期間納めており、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受給せず亡くなってしまった場合には、生計を同じくしていた遺族は「死亡一時金」を受け取ることができます。
2-8.生命保険の死亡保険金請求【3年以内】
- 加入先の保険組合
- 所定の請求書、保険証券(証書)、故人の住民票、死亡診断書、受取人の本人確認書類など
- 亡くなった翌日から3年以内
故人様が生命保険(死亡保険)に加入していた場合は、保険の受取人が「死亡保険金」を受け取ることができます。まずは加入先の保険会社に連絡を入れ、案内に沿って手続きを行いましょう。
2-9.未支給年金の請求【5年以内】
- 年金事務所、または年金相談センター
- 未支給年金請求書、年金証書、故人との関係が分かる書類、故人と生計を同じくしていたことが分かる書類、受け取り金融機関の通帳など
- 亡くなってから5年以内
年金は2か月に1回後払いで支払われる仕組みのため(例:2~3月の2か月分が4月に支給)、支給されるべき年金が受け取れていない場合は、生計を同じくしていた遺族は「未支給年金」を受け取ることができます。年金事務所に「未支給年金・未支払給付金請求書」を提出して申請しましょう。
未支給年金の請求期限は5年以内と長めですが、年金の受給停止手続きと併せて行うと漏れがなく安心です。
※詳しくは「2-1.年金受給停止の手続き」の項目をご参照ください。
※外部サイト(日本年金機構)に移動します。
家族の死亡時に遺族が受け取れる給付金とは?金額・手続きを解説
ご家族が亡くなると、葬儀費用などの高額な支出が発生し、また生計を支えていた方が亡くなった場合は今後の生活費用などの不安も出てきます。この記事では、国や自治体の制度を利用して遺族が受け取れる各種給付金について、受給資格や手続き方法、いつからいくら貰えるかなどを具体的に解説します。
3.【期限なし】亡くなってからなるべく早めにやるべき手続き
公共料金を始めとした有料サービスの解約や、免許証やパスポートの返納手続きなども必要になります。期限はありませんが、放置しておくと料金が発生する可能性があり、また引き続き利用する場合にも、故人の口座が凍結されると強制的に停止されてしまうケースもあるため、速やかに対応しましょう。
3-1.公共料金など、生活に関するサービスの名義変更・解約・返納
名義変更も解約も基本的な流れは変わらず、各契約先に連絡を入れて必要な手続きを確認して対応する流れになります。ただし名義変更を行う場合は、あわせて引き落とし口座の変更手続きも必要です。以下に代表的な例をご紹介します。
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公共料金(電気・ガス・水道など)の解約または名義変更
故人名義で公共料金を支払っていた場合、引き続き利用する場合は名義変更、使用しない場合は解約手続きが必要になります。電気は電力会社、ガスはガス会社、水道は市区町村に連絡を入れて手続きを行います。 -
電話(固定・携帯)の解約または承継
電話サービスの提供会社によって異なりますが、電話・店頭・インターネット上のいずれかで手続きが可能です。料金の支払い履歴などから契約先を確認し、解約または承継を行いましょう。必要であれば、事前にバックアップなども取っておくと安心です。 -
インターネット・新聞の解約または名義変更
故人様がインターネットの契約をしていた場合、引き続き利用する場合は名義変更、使用しない場合は解約手続きが必要になります。相続人等が契約先(回線事業者・プロパイダ)にそれぞれ連絡を入れ、手続きを行います。ただし、マンション住まいなどであらかじめ引かれている回線を利用していた場合は、プロパイダとの手続きのみで完了です。 -
クレジットカードの解約
故人様がクレジットカードを契約していた場合、クレジットカードは相続できませんので、必ず解約が必要です。カード裏面や支払い履歴などから契約しているカード会社を確認し、亡くなったことを伝えて解約手続きを行います。もし未払い金がある場合には、相続人が支払う必要があります。 -
運転免許証の返納
免許証の効力は持ち主が亡くなると自動的に失われる仕組みになっているため、返納の義務はありませんが、クレジットカードなどと同様に返納する場合が一般的です。運転免許更新センターまたは警察署に置かれている「運転免許証返納届」に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出します。 -
パスポートの返納
パスポートの効力は、名義人が亡くなると失われますが、旅券法により遅滞なく返納することが原則となっています。故人様がパスポートをお持ちだった場合は、全国のパスポートセンターに置かれている「返納届」に必要事項を記入し、必要書類と一緒に提出します。
免許証・パスポートは返納しなくても罰則はありませんが、身分証として機能する重要なものになりますので、安全面を考慮し、基本的には返納することをおすすめします。
公共料金の名義変更・解約方法とは?家族が亡くなった後に必要な手続き
家族が亡くなると、一息つく間もなく、生前に使用していた公共料金の名義変更・解約手続きが必要になります。このページでは、公共料金(電気・ガス・水道)の手続き手順や期限を説明します。また、固定電話やスマホ、インターネット、銀行預貯金などの公共料金以外に手続きが必要なサービスもご紹介します。
4.遺産相続に関する手続き
葬儀が終わると、故人様の財産を配偶者や子が受け継ぐための「相続手続き」が始まります。相続内容によって必要な手続きは変わり、また手続きによって期日が異なるため注意しながら進めましょう。また、並行して遺品整理も対応していく必要があります。
4-1.遺言書の確認・検認、相続人の調査【なるべく早く】
基本的には遺言通りに遺産を分ける形になりますので、まずは最優先で遺言書の有無を確認します。もし遺言書がなかった場合には、誰が相続人になるのかを調査する必要があります。
遺言書の確認・検認
- 公正証書遺言の検索:公証役場
自筆証書遺言の保管確認:法務局
遺言書の検認:家庭裁判所 - 遺言書や故人の戸籍謄本や除籍謄本など
- なるべく早く
故人様の遺品や金庫を探す、公証役場での遺言検索や法務局に対する保管確認等を通じて、遺言書の有無を確認します。もし、自筆証書遺言(法務局保管を除く)が見つかった場合、偽造・変造を防止するため、すぐに家庭裁判所で「検認」のお手続きを行います。
遺言書の検認前に開封したり、検認をせずに遺産相続手続きを進めてしまうと、5万円以下の過料が派生する可能性がありますのでご注意ください。遺言書が見つかったら必ず検認を行いましょう。
相続人の調査
- 故人の本籍地の市区町村役場窓口
- 故人の戸籍謄本や除籍謄本(生まれてから亡くなるまでの分全て)など
- なるべく早く
故人様が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本や除籍謄本を集め、相続人の調査を行います。戸籍謄本や除籍謄本は本籍地の役所に申請して取得しますが、遠方の場合は郵送での取り寄せも可能です。
4-2.相続財産の調査【なるべく早く】
- 取引のあった金融機関や証券会社など
- 金融資産:金融機関の預金通帳、証券会社からの運用報告書、残高証明書、取引履歴など
不動産:固定資産税納税通知書、名寄帳、登記簿謄本など - なるべく早く
相続人が決まったら、次は故人様の総財産を調査し、遺産分割の対象となる相続財産を把握する必要があります。故人様が生前に取引していた金融機関や所有している不動産などを漏れなく確認し、所有していた財産を明確にしましょう。
4-3.遺産分割協議【なるべく早く】
- (相続人同士での話し合いがまとまらない場合)家庭裁判所
- なし
- なるべく早く
遺言書がない場合には、相続人が確定した後、相続人全員で相続財産の分割方法についての話し合い(遺産分割協議)を行います。遺産分割に期限はありませんが、速やかに行うことをおすすめします。
4-4.相続放棄【3か月以内】
- 家庭裁判所
- 相続放棄申述書、故人の死亡除籍・住民票、申述人の戸籍謄本など
- 自分が相続人になったことを知った日から3か月以内
故人様に多額の負債があった場合などには、相続人となった方が負債を引き継いで支払わなくていいように、相続の権利を放棄する「相続放棄」が可能です。家庭裁判所に必要書類を提出する形で手続きを行います。相続放棄により、負債以外の支払い(未払いの家賃や公共料金、通信料など)も支払い義務がなくなります。
相続放棄の前に一度相続財産に手を付けてしまうと(相続財産を使用する、別の財産に変えるなど)、法律的に放棄ができなくなってしまいますので注意しましょう。
4-5.所得税準確定申告・納税【4か月以内】
- 管轄の税務署
- 確定申告書、確定申告書付表、源泉徴収票、医療費の領収書、保険等の控除証明書など
- 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
故人様が確定申告をすべき方だった場合※には、相続人の確定後に代理で確定申告を行う必要があり、これを「準確定申告」と呼びます。準確定申告は通常の確定申告書と同じ様式のものを使用しますので、書類を作成して必要書類と一緒に税務署へ提出します。
※個人事業主であったり、給与所得が2000万円以上であった場合など。
期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税などの追微税が発生する場合がありますので、まずは準確定申告が必要かどうかの確認を行いましょう。
4-6.財産の名義変更【なるべく早く】
- 財産の種類による(法務局、金融機関、陸運局など)
- 確定申告書、確定申告書付表、源泉徴収票、医療費の領収書、保険等の控除証明書など
- 期限はないが、相続が確定した時点でなるべく早く対応が必要
※2024年4月1日以降は、不動産取得を知ってから3年以内の期限あり
遺産分割協議によって相続する財産が決まったら、相続した財産の名義を相続人に変更する必要があります。(必要に応じて売却も検討)。代表的なのは、銀行の預貯金口座、不動産、株式、自動車などの名義変更です。
中でも不動産手続きは「相続登記」と呼ばれ、名義変更をしないと、相続した不動産の売却ができないなどのリスクが発生しますので注意が必要です。相続登記の手続きは法務局に申請する形で行いますが、必要書類が多く手続きが複雑なため、難しい場合には司法書士に依頼するのもよいでしょう。
現状定められた期限はありませんが、2024年4月1日からは相続登記(不動産の名義変更)が義務化されます。不動産取得を知ってから3年以内に手続きをしないと、10万円以下の過料対象となる場合があるため注意が必要です。
4-7.相続税申告・納税【10か月以内】
- 管轄の税務署
- 相続税の申告書、申告内容の根拠が分かる書類(申告する財産によって異なる)
- 故人の死亡を知った翌日から10か月以内
故人様から預貯金や不動産などを相続した場合で、遺産総額が基礎控除(3,000万円+相続人の数×600万円)を超える場合には、相続税の申告と納税が必要になります。期限を過ぎてしまうと、延滞税や無申告加算税が発生しますので、まずは相続税がかかるかどうかの確認を行いましょう。
4-8.遺品整理【10か月以内目安】
- 遺品整理業者、または自分自身で対応
- 手続き内容による
- 期限はないが、相続税申告期限の10か月以内が目安
故人様が遺したもののうち、不動産以外のもの全て(家具や家電、日用品、愛用品など)を整理して【貴重品・形見・リサイクル・処分】のいずれかに分ける必要があり、これを「遺品整理」と呼びます。遺品整理はご自身で行っていただき問題ございませんが、難しい場合は業者への依頼も検討しましょう。
遺品整理の時期に決まりはないため、気持ちの整理がついたタイミングで問題ございませんが、一般的には、ご供養ごとが一段落する四十九日以降の親族が集まるタイミングで行われる場合が多く見られます。
遺品整理を事前に済ませておくと、相続財産の調査がスムーズに進みますので、相続税の申告期限である10か月以内を目安に終えるのが望ましいと言えます。
遺産相続手続きの流れは?期限・必要書類・代行依頼先など基本を解説
ご家族が亡くなると、息をつく間もなく遺産相続の手続きを始める必要があります。このページでは、何から始めるべきか分からず悩んでいる方に向けて、必要な手続きや期限、必要書類などを流れに沿って具体的に解説します。相続手続きが必要な理由や、手続きの代行依頼先についても触れています。
5.葬儀以降にやるべきご供養ごと
仏教では、葬儀が終わってからも、葬儀後の大きな節目の法要である「四十九日法要」をはじめ、様々なご供養ごとが必要になります。準備や手配に時間がかかるものが多いため、事前にやるべきことを把握してスムーズに対応しましょう。
5-1.香典返しの手配【葬儀後すみやかに】
- 葬儀社、ギフト専門店、デパート、仏壇仏具専門店など
- 葬儀後すみやかに
葬儀や葬儀後にいただいた香典に対するお礼として、「香典返し」の手配が必要です。一般的には、いただいた香典の半額程度の品ををお返しする「半返し」が通例です。四十九日法要後から1か月以内を目安に贈る形が多いですが、近年は葬儀当日に香典返しを行う場合もございます。
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5-2.本位牌の用意【四十九日法要までに】
- 仏壇仏具専門店、オンラインショップ、葬儀社など
- 四十九日法要に間に合うように用意
葬儀の際にいただく白木位牌は仮の位牌のため、四十九日法要までに、漆塗りなどの「本位牌」へ作り替えが必要です。四十九日法要に持参し、僧侶に「魂入れ」の読経を行っていただくことで故人様の依代となります。四十九日法要までに用意しておく必要がありますので、仏壇仏具店などに依頼して早めに用意を行います。
なお、宗派によっては、お位牌ではなく「過去帳」や「法名軸(ほうみょうじく)」の用意が必要になる場合もございます。もしご自身がどれを用意していいか分からない際は、お近くのはせがわや菩提寺にご確認ください。
お位牌は、ご注文からお渡しまで2週間ほどかかる場合が多いため、日数に余裕を持って依頼するようにしましょう。
5-3.四十九日法要・納骨法要の実施、返礼品の手配【49日目を目安に】
葬儀が終わってから行う最初の大きな法要は、「四十九日法要」と「納骨法要」の2つです。法要を行う際は、参列者が当日持参する香典やお供えに対するお礼である「返礼品」も手配しておく必要があります。
四十九日法要・納骨法要の実施
- 菩提寺または葬儀社紹介のお寺、霊園管理事務所など
- 亡くなってから49日目を目安に実施
故人様が亡くなってから49日目を目安に、無事に極楽へ行けることを祈って供養を行う「四十九日法要」を行います。四十九日法要の手配は、日程・会場の検討や参列者への案内状送付をはじめ、お斎の手配、お経上げいただく僧侶の手配など多岐にわたります。当日は、白木位牌と本位牌の両方を持参して、僧侶に「魂入れ」の読経をしていただく必要があります。
また、もし既にお墓を持っている場合は、お墓への納骨を行うために「納骨法要」も実施します。なお、もしお墓に「墓誌」※がある場合は、納骨法要の前に追加彫刻を済ませておく必要がありますので、お墓を作った際の担当石材店や施設の管理事務所に依頼しましょう。
※ご先祖様のご戒名や没年月日が刻まれた石板のこと。
納骨法要は、四十九日法要と同タイミングで実施するケースが一般的です。ただし、お墓の準備が間に合わないなどの場合は、百か日や一周忌、お彼岸などのタイミングでの実施でも問題はありません。
返礼品の手配
- 葬儀社、ギフト専門店、デパート、仏壇仏具専門店など
- 法要当日に間に合うように手配
返礼品の相場は、2,000円~5,000円程度を目安とする場合が多く、食品や消耗品などの消えもの、軽くコンパクトで持ち帰りやすいもの、常温で長持ちするものなどが一般的です。水引は、黒白または双銀の結び切りを使用し、表書きは「粗供養(あらくよう)」「志(こころざし)」「満中陰志(まんちゅういんし)」などとするのが基本です。
返礼品の掛け紙(のし)は、デパートなどでの購入時に表書きが印刷されたものを付けて包装してもらえる場合が一般的です。
5-4.お仏壇・お仏具の用意【四十九日法要までに】
- 仏壇仏具専門店、オンラインショップ、菩提寺など
- 四十九日法要に間に合うように用意
ご自宅にお仏壇がない場合は、四十九日後のご供養の場として新たにお仏壇とお仏具を用意します。おりんやお線香立てといったお参りの道具以外にも、手を合わせる対象であるお仏像・お掛軸(ご本尊・脇仏)の用意も必要です。なお、近年はお仏壇を置くスペースがないなどの理由から、モダンなミニ仏壇を検討される方も増えています。
お仏像・お掛軸は、本位牌と同様に魂入れ(お経上げ)が必要なため、四十九日法要までに忘れず用意しておきましょう。
※本位牌の準備について詳しくは、「5-2.本位牌の用意【四十九日法要までに】」の項目をご参照ください。
5-5.お墓の用意【なるべく早く】
- 石材店
- 期限はないがなるべく早めに
まだお墓(納骨先)をお持ちでない場合は、新たに準備が必要です。納骨期限はございませんが、故人様のご供養のためにもなるべく早めにご用意いただくと良いでしょう。
お墓の用意日数はお墓の形態によって異なります。屋外の一般的なお墓の場合は、墓地の見学からお墓の完成までに2~3か月程度、墓石を設置しないタイプの屋内のお墓(納骨堂)では2週間程度でご用意できる場合が多く見られます。
5-6.新盆・新盆法要の実施【新盆までに】
- 仏壇仏具専門店、デパート、ホームセンターなど
- 8月盆(8月13日~16日)または7月盆(7月13日~16日)に実施
「新盆(初盆)」と呼ばれ、故人様が初めてご自宅に帰ってくる機会であることから、通常のお盆より盛大にお迎えする風習があります。ご自宅の目印として「白紋天」と呼ばれる白提灯を軒先に掛け、お盆飾りをした盆棚や盆提灯をお仏壇のそばに飾ってお迎えするほか、「新盆法要」と呼ばれる法要も行うのが一般的です。
お盆用品はお盆直前だと品薄になることもあるため、余裕を持って購入しておきましょう。また、法要を行う場合は僧侶の手配や参列者への連絡、返礼品の準備なども必要なため、お盆の数か月前から余裕をもって準備を始めると安心です。
5-7.一周忌法要の実施・返礼品の手配【1年目を目安に実施】
- 一周忌法要:菩提寺または葬儀社紹介のお寺など
返礼品:葬儀社、ギフト専門店、デパート、仏壇仏具専門店など - 故人が亡くなってから1年目の命日を目安に実施
故人様が亡くなってから一周忌を迎えるまでの期間は「喪中」にあたり、一周忌をもって喪が明けることになりますので、節目の法要として「一周忌法要」を行います。四十九日法要と同様に、日程・会場の検討から参列者への案内状送付をはじめ、お斎(食事)の手配、お経上げいただく僧侶の手配、返礼品の手配などが必要になります。
5-8.日々のご供養、年忌法要の実施、お仏壇やお墓のメンテナンスなど
- 仏壇仏具専門店、クリーニング業者など
一周忌以降は、お仏壇やお墓のお参りやお供えを通じて日々の供養を行いつつ、節目ごとの法要も実施します。長年のお参りによってお仏壇やお墓に汚れや破損が発生した場合は、クリーニングや修理によるメンテナンスも行いましょう。
仏教では一周忌、三回忌、七回忌と決められた間隔で法要が行われ、三十三回忌または五十回忌法要で弔い上げ(一区切り)となります。近年では三回忌まで行い、それ以降は省略する傾向も見られます。
葬儀後の法要はいつ何をする?自宅での供養・お供えについても解説
葬儀が終わると、亡くなってから四十九日目や1年目などの節目ごとに、故人様の冥福を祈って法要を執り行います。このページでは、初めて葬儀後の法要を行う方に向けて、いつどんな法要をすればよいのかを早見表付きで解説いたします。 また、ご自宅におけるご供養(お供え)のほか、葬儀後の挨拶回り、法要における香典や服装などの基本マナーについても触れています。
この記事を監修した人
司法書士・行政書士法人オーシャン
横浜・渋谷・藤沢エリアを中心に、年間2,000件超の相続業務を担当する国内屈指の相続専門事務所。また、グループ内の株式会社では、相続遺言関連業務に特化した国内最大級の士業向け勉強会(相続遺言実務家研究会)を運営し、全国の士業に対する業務レクチャーも担当。
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