お仏具とは?どんな種類がある?
お仏壇のお参りにはお仏具が必須ということはご存知でも、お仏具自体が持つ意味まではご存知でない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
まずは、お仏具とはどういったものなのかについて簡単にご解説いたします。また、四十九日以降のお仏具の買替えの必要性についてもご説明します。
お仏具が持つ意味とは?「荘厳」って何?
お仏具は、元々は僧侶が寺院で使用する宗教用具でしたが、仏壇の普及に伴って、一般家庭で仏様を供養するために用いるようになりました。
お仏具をお仏壇などに美しく厳かにお飾りすることを、「荘厳(しょうごん)」と呼びます。お仏具がお仏壇に荘厳された状態は「お浄土(仏様の世界)」を表すと言われ、この考えはどの宗派にも共通しています。
つまり、お仏具は仏教の教えを形としてあらわしたものとも言えるのです。また、「信は荘厳より生ず」という言葉もあるように、心を込めてお仏具を整えることが、仏様への供養にも繋がるともされています。
後飾り壇で使用する仮仏具と、お仏壇で使用する常用仏具
お仏具は、四十九日までの仮仏具と、それ以降に使用する通常仏具の2種類に大きく分けることができます。ご自宅にお仏壇がない方は、お仏壇のご用意と同時にお仏具を買替える必要があります。
■後飾り壇で使用する仮のお仏具
葬儀社からいただくお仏具は、四十九日法要を終えるまで後飾り壇のお参りで使用する、仮仏具となります。白や青みがかった陶器製のものが多く、四十九日が明けたら、後飾り壇と一緒に処分する流れが一般的です。
■お仏壇で使用する常用のお仏具
四十九日以降は、お仏壇へのお参りに切り替わります。お仏壇がご自宅に無い方は、四十九日が明ける前にお仏壇とお仏具一式をご用意しておく必要があります。
お仏壇で使用するお仏具は、長く使用できるように素材を重視して選んだり、お仏壇の雰囲気に合わせてデザイン重視で選んだりと、選び方は様々です。
①お仏壇でのお参りに最低限必要なお仏具一覧
まずは、お仏壇でお参りする際に最低限必要なお仏具を一覧形式でご紹介します。また、各仏具の具体的な使用方法と置き方についても解説いたします。
礼拝(らいはい)の対象となるお仏具
お仏壇でのお参りには、手を合わせる対象となる「礼拝仏具(らいはいぶつぐ)」が何よりも重要になります。
これらのお仏具は購入しただけでは本来の役割は果たさず、僧侶へ依頼して「魂入れ(たましいいれ)」と呼ばれるお経上げの儀式を事前に行っておく必要があります。
以下に、礼拝仏具一式をご紹介いたします。※宗派によっては使用しないものもございますのでご注意ください。
ご本尊(ごほんぞん)・脇仏(わきぶつ)
「ご本尊」は、お仏壇の中心にお祀りする、各宗派の信仰対象となる仏様のこと。
「脇仏」は、ご本尊の左右に控える、各宗派の開祖や影響のある僧侶のことを指します。
ご本尊はお仏像と掛軸の2タイプがあり、宗派によっては指定がある場合もございます。
【置き方】お仏壇の最上段に3つセットでお祀りするのが正式な形です。
お位牌(おいはい)
故人様の霊魂が宿る依代(よりしろ)とされる、重要なお仏具のこと。ご戒名や没年月日、ご俗名などを刻んでお祀りします。
※浄土真宗では、基本的にお位牌は用いません。
【置き方】お仏壇の位牌段(上から2段目の段)に、右から順に置いてお祀りします。没年月日の古い順でお祀りする形が一般的ですが、地域や住職のお考えによって異なる場合もあります。
■お位牌関連ページはこちら
お位牌の種類や注文の手順など、お位牌に関する基本をお仏壇のはせがわが解説します。
法名軸(ほうみょうじく)
お参りの際に使用するお仏具
お参りの際に使用するお仏具は様々ありますが、まずは最低限必須とされるお仏具として、「三具足(みつぐそく)」と「おりん」、「仏飯器」、「湯のみ」の4つをご紹介します。
三具足①花立(はなたて)
お花をお供えするために使用するお仏具のこと。お花は、仏様の慈愛と忍耐を表すと言われています。
【置き方】お仏壇の下段、もしくは膳引き(引き出し部分)に置きます。三具足の場合、花立は左側に置く形が基本です。
三具足②香炉(こうろ)
お線香を焚くためのお仏具のこと。お香は、お参りする人の身を清めると言われています。
【置き方】お仏壇の下段、もしくは膳引き(引き出し部分)に置きます。三具足の場合、香炉は中央に置く形が基本です。
三具足③火立(ひたて)
ローソクを立てるためのお仏具のこと。灯は、仏様の智慧(ちえ)を表すと言われています。
【置き方】お仏壇の下段、もしくは膳引き(引き出し部分)に置きます。三具足の場合、火立は右側に置く形が基本です。
■三具足とは
「三具足(みつぐそく)」とは、花立・香炉・火立の3つの総称のことで、お仏壇でのお参りには欠かせないお仏具です。(花立と火立を対でお飾りした場合は「五具足(ごぐそく)」と呼びます)
※具足(ぐそく)とは…「物事が十分に備わっている」という意味があり、お仏具においては仏様へのお供えで使用する仏具一式のことを指します。
これらのお供えは「仏の三大供養」とも言われ、仏様へのお供えとして最も大切なものとされています。
おりん
お経の始めや終わりに鳴らして使用するお仏具のこと。おりん・りん布団・りん台・りん棒で1セットとなります。
※宗派によっては、りん台の形が異なる場合もござじます。
おりんの音色は荘厳な雰囲気を作り、邪気を払って諸天善神の来臨を乞うほか、お参りする人の心を鎮める意味があると言われています。
【置き方】お仏壇の右端手前に置いて使用します。りん台ごと床に置くのが正式な形ですが、近年ではりん台は用いず、りん布団を直接お仏壇の膳引きなどに置く場合も増えています。
湯呑(ゆのみ)
仏飯器(ぶっぱんき)
炊きたてのご飯を仏様へお供えするための器のこと。宗派によってはご飯の盛り方に決まりがある場合もございます。
仏飯器の足が高くなっているのは、敬いの心の表れと言われています。
【置き方】ご本尊と脇仏の前にそれぞれ1つずつお供えする場合と、湯呑とセットで1つ中段にお供えする場合があります。仏飯器は直接お仏壇には乗せず、仏器膳などに乗せてさしあげるのが丁寧な形です。
仏器膳(ぶっきぜん)
②あると便利なお仏具一覧
さて、ここまでお参りに必須とされるお仏具を紹介してきましたが、ここからは日々のお参りの中であるとより便利なお仏具をご紹介します。
なお、ご宗派によって要不要が異なったり、お仏壇が小さい場合には置ききれないお仏具もございますのでご注意ください。
お参りの際に使用するお仏具
前項でご紹介した必須仏具以外にも、以下のお仏具をご用意することで、日々のお参りがぐっと便利になったり、より丁寧な形でお参りができたりします。最初は必須のものだけ揃えたのち、後から買い足す方もいらっしゃいます。
過去帳(かこちょう)・過去帳見台(けんだい)
亡くなられた方の法名(戒名)を記載する、帳面タイプのお仏具のこと。見台(けんだい)と呼ばれる台に乗せて使用します。
※主に浄土真宗などで用いられますが、他の宗派でも、お位牌に加えて家系図のような役割として使用される場合もございます。
【置き方】過去帳見台に乗せて、お仏壇の下段などに置いてお祀りします。
高杯(たかつき)
お菓子や果物などのお供えを差し上げる際に使用するお仏具のこと。足が高くなっているのは、仏様への敬いの心の表れです。
また、お供えした際に、果物の果汁などでお仏壇が汚れてしまうのを防ぐこともできます。
【置き方】お仏壇の下段に、左右一対でお飾りするのが一般的です。お仏壇のスペースによっては1つだけ置く場合もあります。
常花(じょうか)
お浄土に咲く金色の蓮を表すお仏具のこと。お仏壇の中に飾ることで、厳かな雰囲気を醸します。
※主に浄土真宗以外の宗派でお飾りします。
【置き方】ご本尊の両脇、またはお仏壇の中段などに、左右一対でお飾りするのが一般的です。
吊灯篭(つりどうろう)
瓔珞(ようらく)
お仏壇マット
火災や汚れ防止のためにお仏具の下に敷くマットのこと。お仏壇の大きさに合わせてカットして使用できるタイプもございます。
【置き方】お仏壇の膳引き(薄い引き出し部分)に敷いて使用します。
ライター
ローソクに火を灯すために使用する道具のこと。火消しが一緒に付いているタイプもございます。
【置き方】お仏壇の膳引きに置いておくか、お参り以外の時はお仏壇の引き出しの中にしまっておく形が一般的です。
線香差(せんこうさし)
火消し・ローソク消し
ローソクの火を消すためのお仏具のこと。息を吹きかけて消すのはマナー違反となります。
【置き方】火立の脇など、使用しやすい場所に置きます。火を消してすぐにお仏壇へ直置きすると危険なので、できればお仏壇マットの上に置くと安心です。
マッチのカス入れ
経机(きょうづくえ)・供物机(くもつづくえ)
お経本や経典を置くための机のこと。現在では香炉や花瓶などを置いて使用する場合もあります。また、お供物を置く専用の机として「供物机」という種類もございます。
【置き方】お仏壇の前の床に直接置いて使用します。
法事などの際に使用するお仏具
御霊供膳(ごりょうぐぜん)
打敷(うちしき)
宗派ごとの紋が入ったお飾りのお仏具のこと。「内敷」とも書きます。法要やお彼岸などの際に使用します。
【置き方】お仏壇の中段か下段、膳引き部分に掛けて(お仏具の下に敷いて)使用します。
焼香炉(しょうこうろ)
導師布団(どうしぶとん)
■お仏具の選び方についてはこちら
多岐に渡るお仏具の中で最低限必要なものから、あると便利なものまで、お仏具選びの際に押さえて欲しい5つのポイントを解説いたします。
お仏具はどこのお店で購入すべき?
お仏具は、仏具専門店以外にも様々なお店で購入することが出来ます。ここでは、お仏具を購入できる場所のご紹介と、メリット・デメリットについて解説します。
仏壇仏具の専門店で購入する
お仏具の購入は、仏壇仏具専門店での購入が主流です。独立店舗の場合もあれば、ショッピングセンターなどの中にテナントとして入っている場合もございます。
■メリット
- 仏壇とお仏具をセットで見比べながら検討できる
- 専門知識を持つスタッフから提案してもらえるため、失敗がなく安心
- 購入後もアフターフォローがある場合が多い
■デメリット
- 商品数に限りがある場合もある
- 敷居が高く、足を運びにくい
ホームセンターで購入する
ホームセンターでも、お仏具の取り扱いがある場合が多いです。お仏壇や神具なども同じ売り場で販売されている場合もあります。
■メリット
- 気軽に足を運ぶことができる
- 実物を見ながら検討できる
- 価格帯が安価な場合が多い
■デメリット
- 専門知識を持ったスタッフがおらず、相談できない場合が多い
- 購入後のアフターフォローがない場合が多い
オンラインショップで購入する
近年は、実店舗ではなくオンライン上でもお仏具の販売が盛んになっています。仏壇仏具の専門店がオンライン展開している場合もあれば、ホームセンターが主体となって販売している場合もあります。
■メリット
- コロナ禍でも足を運ばずに自宅でじっくり検討できる
- 多数の取り扱い商品の中から選べる
■デメリット
- 実物を見ながら検討できないため、サイズや質感が想像と異なる場合がある
はせがわオンラインショップ
はせがわでは、実店舗のほかにオンラインショップでも商品をご提供しております。伝統型からリビングに合うモダン仏壇まで、1,000種類以上の組み合わせから様のライフスタイルに合わせてお選びいただけます。
オンライン上で気になった商品は、店舗で実物を見て検討することも可能です。(※店舗在庫がある場合に限ります。)また、ご不安な点があった場合には、ご購入前にオンライン上でご相談も可能になっています。
【画像付き解説】お仏壇への正しい置き方とは?
ここまで、用途別に仏具一式をご解説してきました。
次に、実際にお仏壇へお仏具をお飾りする際の正しい置き方について、画像付きで詳しくご説明いたします。
お仏具の飾り方の基本とは?画像付きでご解説
上記は、上置き仏壇のお飾り例です。
お仏具を飾る際は、最上段にご本尊(中央)と脇仏(両脇)、それより低い段にお位牌、さらに低い段に三具足※を配置する形が基本です。また、三具足の並べ方は、中央に香炉、右に火立、左に花立が一般的です。
宗派によって多少異なることはありますが、いずれの場合もご本尊をお仏壇の中心として、その下にお位牌やお仏具を並べるとよいでしょう。
※三具足の詳細は、三具足とは項目をご参照ください。
しかし、このように飾り方の基本はあるものの、近年では、お仏壇の大きさやスペースの問題もあり、全てを揃えられないケースもあります。
最終的には、「お線香をあげたい」「ご飯をお供えしたい」などどんな供養をしたいかでお選びいただくとよいでしょう。
はせがわオリジナルのモダン仏具をご紹介!仏具セット付のお仏壇も
最後に、近年人気が高まっているモダン仏具について、はせがわオリジナル商品を例にご紹介いたします。
また、仏具セットが付いたお仏壇についてもあわせて掲載しております。
はせがわオリジナルのモダン仏具
お仏具はデザインや色に決まりがない場合が一般的ですので、お仏壇の雰囲気やお好みに合わせて自由にお選びいただけます。※浄土真宗については、宗派用のお仏具を使用するのが基本となります。
はせがわでは、オリジナルのモダン仏具を各種ご用意しております。金属製や陶磁器製、木製、ガラス製など、材質も様々ございます。お近くのはせがわの店舗、またはオンラインショップにてお求めいただけます。
おすすめのモダン仏具はこちら
仏具セット付のお仏壇
「オンラインだと、購入したいお仏壇のサイズに合うお仏具がどれか分からないかも…」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
はせがわオンラインショップでは、そんな方のために、お仏壇と必須仏具のセット商品もご用意しております。お仏壇・お仏具選びの際にはぜひ検討ください。