お供えは何を用意する?
四十九日は、葬儀後の節目となる法要です。故人様が七日ごとに生前の行いを裁く審判を受け、最後の四十九日目の審判で行き先(極楽浄土に行けるかどうか)が決まるとされているためです。このページではお供えを贈る場合の定番な品物から注意したいことまで説明します。
「消えもの」で考えよう
用意する際の基本は「消えるもの(消えもの)」であることです。理由としては、「不祝儀が残らないように」「悲しい気持ちを引きずらないように」というものです。消費できるもの、使えばなくなるものを選びましょう。
よく選ばれるお供えもの
消耗品であるお線香を中心に選ばれる傾向にあります。お花の場合も葬儀から忙しく、お手入れの時間がとれないかもしれないとご遺族を配慮し、プリザーブドフラワーをはじめとした生花以外を検討される傾向になっています。食べ物を選ぶ場合はかさばらず日持ちのするものを選びましょう。
お線香
法事をはじめ日々のご供養でも使用できます。香りも、伽羅(きゃら)や沈香(じんこう)などの香木を使用した趣のあるものから、桜やラベンダーなどお花の香りまでさまざまです。香りが故人様の食事になりますので、いい香りを選んでさしあげましょう。はせがわでは無料で包装・のし(掛け紙)もおこなっています。
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ローソク
法事をはじめ日々のご供養でも使用できます。蜜蝋(みつろう)などの特別な材料のローソクは自宅用で購入することが少ないことも多く、喜ばれます。花の絵柄のものはお花の意味も合わせて供えられます。また食べ物をあしらったローソクもあり、故人様の好物も喜ばれます。
フラワーギフト
祭壇やお仏壇を華やかに彩ります。四十九日が過ぎるまでは白を基調とした控えめな淡い色が好まれます。ゆり・菊・胡蝶蘭などが定番ですが、故人が好きだったお花も選ばれます。黒、赤といった色の花は避ける傾向にあります。生花だけでなく、造花やプリザーブドフラワーなど人気も高くなっています。そのまま飾れるアレンジメントされたお花がおすすめです。
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お菓子
和菓子、洋菓子ともに選ばれます。すぐに消費できない可能性もあるので、常温で日持ちのするもの(賞味期限の長いもの)を選びましょう。お供えした後におさがりとして分ける場合がありますので個包装が好まれます。
マドレーヌ、クッキー、羊羹、ゼリー、饅頭、せんべいなどが定番です。詰め合わせなど贈答品は百貨店などでも購入ができます。
くだもの
特にりんごやメロンなど球体のものが、魂の丸い形を連想できることから好まれます。また円形が「縁」と繋げることもでき縁起をかついでいます。
消費期限の長く、常温で保存できるものにしましょう。盛篭などのセットになったものが選ばれています。単体で購入する場合には4・9を除いた奇数にします。偶数は「故人との縁がきれる」という考えがあるためです。百貨店や青果店で購入ができます。
飲み物
お茶やジュースをはじめ故人様が好きだったものが選ばれています。ビールなどアルコールが好物であれば、用意されることもあります。ご遺族でお酒を飲まれる方がいない場合はおさがりでいただくのに悩まれますので注意が必要です。
飲料は重いので、持参よりも宅配便などで贈られる傾向にあります。
お供えに適さないもの
お供えに適さないものがあります。用意をする際には注意をしましょう。故人様がお酒が好きだった場合にはお酒のお供えもあります。ご遺族がお酒を嗜まれない場合にはおさがりが難しいので検討が必要になるでしょう。
- 賞味期限の短いもの
- 消費に困るもの
- 香りの強いもの
- 辛い物
- 魚介類や肉など殺生を連想させるもの
- 日持ちのしない食べ物
- トゲのある花
お供えの相場
お供えの相場には明確な決まりはありません。故人様とのお付き合いの程度や過去に先方のご親族とのお供えをやり取りをしたことがある場合には参考にされるとよろしいでしょう。
親しい場合には5,000円~1万円ほど、そうでない場合は3,000円~5,000円程度といった傾向があります。
お供えの渡し方
紙袋から中身だけを出し、「御仏前にお供えください」など一言添えてお渡しします。表書きが先方から見やすいように渡します。実際にお供えをするをするのはご遺族になりますので、勝手にお供えしないようにしましょう。
風呂敷で包んで持参するとより丁寧になります。お渡しをした後は、紙袋や風呂敷は小さくたたんで持ち帰ります。
コロナ禍もあり家族葬が増え、葬儀をはじめ法要も参加者をしぼっておこなわれるようになりました。直接のお渡しが丁寧ではありますが、時勢も考慮し郵送で贈られることが増えました。
掛け紙はどうする?
お供えは素で渡すことなく、包装紙で包み掛け紙をかけます。百貨店、仏壇店などで購入の際に、お供えであること、いつ持っていくのかを伝えましょう。表書きなどの提案、確認をしてくれます。ご遺族はいただきものが多い時期になりますので、どなたからいただいたか分かりやすいように外側(包装紙の上)に掛け紙をかけます。
「掛け紙」は「かけがみ」「掛紙」とも書きます。仏事で使用する表現で「御仏前」や「御供」などの表書きを記載します。近年は印刷が主流ですが、手書きの場合は筆を使用します。
似たもので「のし紙」があります。そちらで表現をされる方もありますが「のし」は結婚式などの慶事で使用する表現ですので注意しましょう。
掛け紙と熨斗紙についてはこちら
御仏前
四十九日以降は濃墨(黒色)で「御仏前」と記載します。法要の当日であれば「御仏前」の使用が一般的です。
四十九日までは薄墨(灰色)で「御霊前」と記載しますが、浄土真宗では亡くなった後は即成仏の考えて「御仏前」になりますので注意しましょう。
水引の色は白黒、または双銀が一般的ですが関西など一部地域では白黄を使用しています。
御供
先方の宗派や四十九日の日が不明な場合は「御供」「御供物」の記載でも問題ありません。名古屋など一部地域ではこちらの表現が主流な場合もあります。
キリスト教など仏教以外の場合は「御供」がよろしいでしょう。掛け紙自体に絵柄の印刷がある場合は蓮の花は避けましょう。仏教の表徴的な花になっているためです。
施主側:四十九日のお供えの用意は?
お供え法要の参列者だけでなく、ご遺族も故人様にさしあげるものです。四十九日法要までの自宅でのお供えの選び方は参列者のお供えの選び方と一緒です。くわしくはこちら
お寺より法要当日の用意の指示がある場合がありますので、確認をするとよろしいでしょう。
五供とは
仏教での基本的なお供え物の考え方です。お悔み後すぐも、先々のご供養でも共通したものになります。
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香
お線香のことです。お線香には場・お参りする人を清める意味と、香喰(こうじき)として仏様のご飯という意味もあります。
※「こうじき」は「香喰」「香食」とも書くことがあります。 -
花
故人様はお花の香りを好むとも考えれれています。葬儀に参列した際にもきれいなお花で祭壇をお飾りしています。花は仏の慈愛と忍耐を表現しています。 -
灯明(とうみょう)
ローソクなどの明かりのことです。仏教では世の中を照らす役割があり、その明かりで迷いがなくなっていくとされます。仏の智慧を表現しています。 -
浄水(じょうすい)
水やお茶を供えることです。喉がかわかないようにという意味と、心を清らかにするとも考えられます。宗派によっては、水やお茶を供えない場合もあります。 -
飲食(おんじき)
精進料理を中心に食べ物をお供えします。炊きたてのご飯やお菓子や季節の果物が多く用意されます。お供えが終わった後には、おさがりとして分け合っていただきます。
祭壇
四十九日までは自宅に祭壇を用意し手を合わせます。葬儀のプランに組み込まれていることが大半になり、白木または段ボールなどの材質でできた二段もしくは三段の棚になります。
白木位牌(仮位牌)・ご遺骨・遺影を上段に飾り、下段にはお供え・お花・お線香・ローソクを置きます。お線香をなるべく絶やさないようにしましょう。
設置場所としてはお参りしやすく、直射日光や湿度のない場所がよろしいでしょう。
「仮祭壇」「後飾り祭壇」、関西では「中陰壇」ともいいます。忌明け後は葬儀社で回収か自治体の区分での処分になりますが、お盆のお飾りでも使用できますので保管することをおすすめします。
お団子
「枕団子」「積み団子」とも呼ばれ、法要の際に用意します。数は明確に決まりはありませんが、仏教にゆかりのある個数で用意されています。ピラミッド状にお供えをします。
また故人様が浄土にいくまでに食べると考えられることから即成仏と考える浄土真宗では飾られません。
地域の習慣にもよりますので用意の有無、個数など確認が必要です。法要によってもお団子の名称がかわります。
お団子の数と意味
- 6こ…六道(死後の行き先である地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上のこと)
- 7こ…忌日法要が7日ごとあるため
- 10こ…十王(死後の裁判官のこと)
- 13こ…十三仏(三十三回忌まで見守る仏様の人数)
- 49こ…四十九日
- 故人年齢の数…故人様の長寿にあやかる
お団子の飛び方と法要
- 葬儀…枕団子、早団子
- 初七日・四十九日…枕団子
- お盆…お迎え団子、お供え団子、送り団子
- お彼岸…お彼岸団子、積み団子
施主側:お返しと挨拶状はどうする?
お供えをいただいたら、そのお返し(引き出物)をおこないます。基本的な考え方はいただいたものの半返し~1/3程度になります。いただいたものがいくらなのか判断は難しいため、お供えの相場から3,000円~5,000円程度が多いようです。
お返しの定番
仏事になりますのでお供えと同様に、消えもの(消耗品)を用意することが主流です。お菓子・コーヒー・緑茶や海苔・梅干し、洗剤・タオルなどが定番です。魚介類や肉といった殺生を連想するもの、慶事を連想する鰹、昆布、紅白のものは避けましょう。
近年では自分で選べるようにとギフト券やギフトカタログを用意することが増えました。ギフト券は値段がわかるものになりますので目上の方には失礼とされることもありますので注意しましょう。
品物にも意味が込められているものがあります。
- タオル…「不幸を拭い去る」、「悲しみを覆い、包み込む」
- 食べ物や飲み物…「悲しみや不幸を食い消す」
- 入浴剤や洗剤…「悲しみや不幸を洗い流す」
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(ギフト・贈答用仏具)※独自集計
お返しのタイミング
四十九日法要が終わった(忌明け)翌日から1か月以内に宅配便でお返しすることが大半です。
法要の後に手渡しをすることもあります。その場合は持ち帰ることも考慮し重くないもの、かさばらないものにする必要があります。手渡しは、会食があれば会食中に、法要のみの場合は法要後にお渡しします。
挨拶状
郵送の場合も手渡しの場合も、お返しには挨拶状を添えます。
生前から葬儀などお世話になった感謝、四十九日法要が無事に終わった報告、お供えをいただいたお礼をこめたものになります。はがき、カードタイプ、奉書紙などの形態がありますが、一番丁寧なのは奉書紙に手書きでしたためることになります。近年では自宅で印刷する以外にも葬儀社、印刷屋などで挨拶状の注文もできます。書式のマナーに沿ったものを提案してくれるので安心です。
書き方の基本は縦書きで、季節の挨拶は使用しません。重ね言葉(「度々)「重ね重ね)などは不幸が続くことを連想させるため)は用いず、句読点もいれないようにしましょう。文字の色は忌明けのため濃墨(黒色)で問題ありません。封筒は二重封筒でないものを使用します。
挨拶状の構成
- 拝啓などの頭ことば
- 法要の参列やお供えのお礼
- 法要を滞りなく終えた報告
- お返し(お礼)の品物を贈ったことを
- お礼が略式であることのお詫び
- 敬具などの結びのことば
- 日付
- 喪主の名前
お返しには包装をし、掛け紙をかけます。水引は白黒、表書きは濃墨で「粗供養」または「志」とし、その下には喪主のフルネームまたは「○○家」とします。関西地方では「満中陰志」「茶の子」などとも表現し白黄色の水引を使用することもあります。何のいただきものか分かりやすいように外に掛け紙をかけることが多いですが、表書きと合わせて地域性がありますのでお供えの購入店で相談をするとよろしいでしょう。
神式やキリスト教では「偲び草」「志」で記載します。
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