法事って?法要と何が違うの?
仏教では故人様が亡くなった日以降、節目ごとに法要を執り行うのが基本とされています。法要とは、故人様の冥福を祈り、住職にお経をあげていただくことを指します。
■法事と法要は何が違う?
「法事」は、「法要」から「会食」までの一連のことです。また「法事」の「事」は、「食事」の「事」からきているとされています。
葬儀以降に初七日・四十九日(七七日)・百箇日・一周忌・三回忌・七回忌とそれ以降も続き、お彼岸・お盆などもあります。一般的に三十三回忌もしくは五十回忌で弔い上げ(最後の法要)とされています。
浄土真宗は法要に対する考え方が違う
浄土真宗でも他の宗派と同様に法要は行います。しかし「人は亡くなったらすぐに極楽浄土(ごくらくじょうど)へいくことができる(仏様になる)」という「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」の考えが中心になります。
そのため節目の法要や日々のご供養は、故人様が極楽浄土にいけるよう祈るのではなく、「故人様への感謝を伝える」「仏教の大切さを再認識する」ことを目的とされています。
3つの喪服の種類を解説|正喪服・準喪服・略喪服
法要での服装は、黒い服であればなんでもOKという訳ではなく「喪服」を着用するのが通例です。「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3種類があります。よく目にする喪服は「準喪服」が多いかもしれません。
正喪服(せいもふく)
「正式喪服」ともよばれる、喪服の中で最も格式が高い服装です。施主または三親等くらいまでの親族が着用されます。和装と洋装では、和装の方が格上とされます。近年では、正喪服を持ってない場合に準喪服を着用する方も増えています。
男性の正喪服
・和装…紋付羽織袴、黒の羽二枝、五つ紋(※)が入った羽織
・洋装…黒のモーニングコート、黒で統一したネクタイ・ベスト・靴・靴下
女性の正喪服
・和装…染め抜き五つ紋(※)が入った黒無地の着物
・洋装…ブラックフォーマル(黒のワンピースやツーピースなど)、黒色のストッキング(30デニール程度)、黒無地のパンプス(ヒールは高すぎない3~5㎝程度)
(※) 五つ紋…背中、両袖、両胸元の五か所に入った紋のこと。
準喪服(じゅんもふく)
一般的に認識されている喪服になります。主に施主以外の遺族が着用しますが、近年は施主でも準喪服を着用するケースが増えています。
男性の準喪服
ブラックスーツ(シングルまたはダブル)、黒で統一したネクタイ・靴・靴下
女性の準喪服
ブラックフォーマル(ワンピース・アンサンブル・スーツ)、黒色のストッキング(30デニール程度)、黒無地のパンプス(ヒールは高すぎない3~5㎝程度)
略喪服(りゃくもふく)
「略式喪服」ともよばれる、最も格式が低い喪服のことです。色やデザインの自由度が高く、ブラックフォーマル以外の黒や紺、グレーなどの地味な色味の服装を指します。平服を指定された場合でも着用可能です。
男性の略喪服
ダークスーツ、黒の靴下、地味な色の靴
女性の略喪服
落ち着いた色のワンピースやアンサンブル、スーツ(パンツスーツも可)、黒色のストッキング(30デニール程度)、黒無地のパンプス(ヒールは高すぎない3~5㎝程度)
法事ごとに着用する喪服が違う
法事の種類によって、着用する喪服の種類も変わるとされています。地域性や家族の考えによっても違うことがありますので、事前に相談をするとよろしいでしょう。
施主側、参列者側での喪服の種類を紹介します。また参列者側は、施主側より各上の服にならないようにしましょう。
初七日(しょなのか)
故人様が亡くなってから7日目に実施されます。故人様が三途の川(さんずのかわ)に到着するころとされます。近年では葬儀から日数もない関係で、葬儀とあわせて実施をされることもあります。
・親族…正喪服または準喪服
・参列者…準喪服
■初七日について詳しくはこちら
初七日について、すること、するタイミング、香典やお布施などを解説。
四十九日(しじゅうくにち)
故人様が亡くなってから49日目に実施されます。この日を「忌明け(きあけ)」といい、冥福を祈って喪に服していた期間を終えます。
・親族…正喪服または準喪服
・参列者…準喪服
■四十九日について詳しくはこちら
四十九日について、意味、すること、準備などの基本を解説。
百箇日(ひゃっかにち)
故人様が亡くなってから100日目に実施されます。「卒哭忌(そっこくき)」ともいい、泣くことをやめて悲しい気持ちに区切りをつける時期とされています。近年では四十九日とあわせて実施されることもあります。
・親族…正喪服または準喪服
・参列者…準喪服
一周忌(いっしゅうき)
故人様が亡くなってから1年目に実施されます。
・親族…正喪服または準喪服
・参列者…準喪服
※略喪服(平服)での参加と連絡があった場合はそれに従います。
■一周忌について詳しくはこちら
一周忌について、お布施や香典の書き方や金額、気をつけるべきマナーなどを解説。
三回忌(さんかいき)
故人様が亡くなってから2年目に実施されます。
・親族…準喪服
・参列者…略喪服
※略喪服(平服)での参加と案内があった場合はそれに従います。
三回忌以降は数え年になります。そのため【亡くなった年数+1】の数字を使用した法要名となっています。
七周忌(ななかいき)以降
七回忌(6年目)、十三回忌(12年目)、十七回忌(16年目)、二十三回忌(22年目)、二十七回忌(26年目)、三十三回忌(32年目)と続きます。回を重ねるごとに厳格な雰囲気は薄くなり、服装も黒から落ち着いた色味のものへと変わっていきます。
・親族…略喪服
・参列者…略喪服
カジュアルでもいい?家族だけの法事
家族葬が増えるなど葬儀が縮小化しています。そういった傾向から、その後の法事も身内で済ますことが増えました。
家族のみで実施する際も、故人様のために祈ることに変わりはありませんので、カジュアルな服装にならないようにしましょう。
基本的に<各法要での喪服目安>と一緒ですが、正喪服を着用しないなどマナーが緩和される場合もあります。どのグレードの喪服を着用するかなどは都度、ご家族で相談されてもよろしいでしょう。
身だしなみマナー|男性・女性・子ども(赤ちゃん・学生)
男性、女性、子ども(赤ちゃん・学生)別に喪服以外にも注意したいマナーを紹介します。
男性の場合
身だしなみ
清潔感を意識しましょう。
夏場でもジャケットの着用がマナーです。猛暑日などの場合、半袖のシャツを着用しても問題ありませんが、法要開始時にはジャケットを着用します。
髪の毛が長い場合はワックスなどでまとめます。ヒゲを剃らなければいけない決まりはありませんが、きちんと手入れをしましょう。
靴・ベルト・ネクタイ・カバン
光沢のない落ち着いた黒で華美な装飾のないものを着用します。
ネクタイを結ぶ際はくぼみ(ディンブル)をつくらないようにします。
カバンは持たないことが一般的なようですが、持つ場合には黒いものにします。
アクセサリー類
結婚指輪を除いてアクセサリー類は身につけません。時計をつける場合には、シンプルなものにしましょう。
女性の場合
身だしなみ
清潔感を意識しましょう。
夏場でも上着がマナーです。猛暑日などの場合、半袖を着用しても問題ありませんが、法要開始時にはジャケットまたは黒いカーディガンを着用します。
襟元など過度な露出は控え、スカート丈はひざが隠れるようにすると上品な印象になります。
髪の毛が長い場合は、結ぶ・ピンなどでまとめるようにします。
妊婦向けのお腹をしめつけない喪服も登場しています。利用頻度が低い場合、喪服レンタルの検討もよろしいでしょう。
メイク
ノーメイクは失礼になりますので、自然で控えめなメイクにしましょう。ラメや派手な色はさけます。
派手なネイルは事前に落としましょう。間に合わない場合は黒い手袋をつけることもありますが、お焼香・会食時は外すのがマナーです。
ストッキング
黒色の20~30デニール程度のものを着用します。他の色・厚手(ラフと見なされてしまう)・網タイツ・柄入りは避けます。
しかし冬場の厳しい地域や、妊婦や高齢の方など体を冷やさないようにした方がいい場合は無理にデニールにこだわる必要はないとされています。体調や健康面を大切にしましょう。
靴・カバン
靴やカバンは殺生を連想させる革製品(革や毛皮など)を避けます。袱紗(ふくさ)や数珠がはいるサイズの黒い葬祭用のバックがよろしいでしょう。荷物が多い場合は黒いサブバックを持ちます。
靴はシンプルで光沢のない黒のパンプスを着用します。ヒールの高いもの・つま先がとがりすぎているもの・サンダル・ミュールは避けましょう。ヒールは3~5㎝程度がよろしいでしょう。
アクセサリー類
結婚指輪以外では、パールのネックレス・イヤリング(ピアス)であれば着用可能です。パールは「涙のしずくとして悲しみを表す」と考えられているためです。ネックレスは長いもの・二重のものは避けます。「悲しみが長びく」「不幸が重なる」と連想がされるためです。
時計をつける場合はシンプルなものにしましょう。
赤ちゃん・子ども(学生など)の場合
大人ほど厳格にマナーが決まっているわけではありません。清潔感、控えめを意識しましょう。
赤ちゃん
黒や白、ベージュなどの華やかでないシンプルな服を着用しましょう。気にしすぎて着心地の悪い服では赤ちゃんも落ち着かず、泣いてしまう可能性もありますので注意しましょう。
制服がある場合|子ども(学生など)
中学生・高校生など制服がある場合は着用します。制服は正式な服装にあたりますので、着用が無難でしょう。
制服がない場合|子ども(学生など)
黒・紺・グレーなどのズボンやスカート(ワンピース)、ジャケットを着用しましょう。白いシャツ、黒・紺、白などの靴・靴下を選びます。
キャラクターのプリントがある、音のなる靴は避けます。
Q&A(よくある質問)|持ち物や夏の法事など
法事の服装などについて注意したいことを紹介します。よく確認をして、故人様のために法事へいきましょう。
法事に参列しますが、持っていくものはありますか?
法事の案内(はがき・電話など)がきましたら、出欠席の返答をします。故人様のため呼ばれていますので、基本的に参加をしましょう。
法事に参列する際には、香典・袱紗(ふくさ)・数珠を持参します。香典は家族単位で用意することが一般的ですが、香典辞退の連絡があれば不要です。また数珠は1人につき1つ用意します。
数珠や袱紗などは、一部スーパーや仏壇仏具店でも購入ができます。
はせがわ の店舗で相談・購入する>>
法事で持参したい品
夏は暑いので半袖でも大丈夫ですか?
近年では猛暑日も多くなっています。会場までの往復や会食では半袖でも問題はありません。
法要中はジャケット着用となりますので、忘れずに持っていきましょう。女性は黒いカーディガンでも問題ないとされています。会場は空調があり、長袖でも過ごせるようになっていることが一般的です。
また制服の場合、夏服が半袖であれば着用をしても問題ありません。
「平服でお越しください」とありますが、どうしたらいいですか?
法事の案内では「平服でお越しください」となっていることがあります。この場合、カジュアルな普段着ではありませんので注意しましょう。略喪服の着用が一般的です。
近年では家族のみで法事をすることも増え、平服での法事も増えているようです。
そもそも喪服はどこで買えますか?
喪服は、百貨店・ショッピングモール・スーツ専門店(紳士服店)・ネット通販などで購入ができます。最近では喪服のレンタルをしている所もあります。着用の機会が少ない和装(正喪服)、出産前(マタニティ用の喪服)などは検討をしてみてもよろしいでしょう。
冬は寒いのでコートを着てもいいですか?
冬場はコートを着用しても問題ありません。会場に入る前に脱ぎ、クロークがある場合は預けましょう。光沢のあるもの、明るい色のもの、毛皮やファーなど殺生を連想させるものは避けます。黒・紺・濃いグレーなど落ち着いた色がよろしいでしょう。
冬は寒いのでブーツを履いてもいいですか?
基本的にブーツはマナー違反になります。しかし冬など寒い場合には、替えの黒いパンプスも持参し、会場に着く前には履き替えることもあります。
革製品はタブーと聞きましたが本当ですか?
冠婚葬祭では、殺生を連想させるものはタブーとされています。レザー品(爬虫類やアニマル柄なども含む)、ファーなどの毛皮も該当します。身につけるものに注意しましょう。
女性ですが、パンツスタイルでもいいですか?
NGと考えられるパンツスーツですが、略喪服の際には着用をされているようです。また高齢の方、小さな子どもいる方など身動きのしやすいようにという理由からパンツスタイルをされる方もいらっしゃいます。