戒名ってどんな意味?どうして必要なの?
まず初めに、戒名そのものが持つ意味や歴史、宗派による戒名の考え方の違いについてご説明いたします。
また、戒名が不要な場合についても含め、戒名の必要性についてもあわせて解説しています。
戒名にはどんな意味があるの?
「戒名(かいみょう)」とは、仏様の世界(あの世)における故人様の新しいお名前のことを指します。
「戒」は「戒め(いましめ)」の意味があり、仏教修行の上で守るべき戒律のことを指します。つまり戒名は、仏教の教えを学び、この戒律を守ることを約束した証(仏弟子となった証)として与えられる名前なのです。
また、故人様が生前に果たした功績が戒名に反映されることも多く、死後に与えられる勲章としての意味もあります。
戒名は、もともとは出家した僧侶や信者が生前に与えられる形でしたが、現在では出家していない一般の人でも授かることができ、また死後に授かる形が一般的になりました。
僧侶から授かった戒名は「位牌(いはい)」と呼ばれる木の札板に記され、葬儀やご自宅のお仏壇でのご供養などの場で末長く用いられます。
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お位牌の購入を検討している方に、その方法や注意点、価格の違いをお仏壇のはせがわが解説します。
生前に戒名をいただく場合は、「生前戒名(せいぜんかいみょう)」と呼ばれます。
※生前戒名について、詳しくは<こちら>の項目をご参照ください。
戒名が日本で広まったのはいつ?
日本で最初に戒名を授かったのは、奈良時代の聖武天皇と言われています。その際授かった戒名は「勝満」で、当時の戒名は全部で2文字と極めてシンプルなものでした。
最終的に死後戒名を授かる形になった背景の1つに、「幼名」「成人名」「襲名」など、人生の節目ごとに改名をおこなう日本独自の名前文化があると言われており、この文化の延長線上で、死後の名前と戒名が結びついたと考えられます。
また、この戒名という慣習が庶民にまで浸透したのは、江戸時代の「寺請制度(てらうけせいど)」によって、檀家である証として死後に戒名を授かることが義務化されたのが理由とされています。
したがって、死後に戒名を授かるこの慣習は、インドや中国といった仏教が主である国の中でも日本にのみ見られるものなのです。
浄土真宗には戒名がない?宗派による考えの違い
仏教におけるほとんどの宗派では「戒名」を授かる形が主流ですが、以下の宗派では呼び方や意味合いが異なります。ご自身の宗派がどの呼び方なのか知っておくと安心です。
・浄土真宗…法名(ほうみょう)
浄土真宗においては戒律が存在しないため、仏弟子の証である戒名は存在せず、仏様の教えを守って生きていく誓いとして代わりに「法名」が授けられます。
また、浄土真宗においては、阿弥陀様を信じれば死後すぐに極楽浄土に至ることができるとの考えから、他の宗派のように死後の冥福を祈る慣習も基本的にありません。
よって位牌を用いた供養は行わず、法名は「法名軸」や「過去帳」といったお仏具に記す形で用いられます。
・日蓮宗…法号(ほうごう)
日蓮宗では、お釈迦様が説かれた教えである「法華経(ほけきょう)」を大切にしていることから、戒名ではなく「法号」または「日号(にちごう)」と呼ばれます。
意味合い自体は戒名と同様で、仏教の戒律を守って生きていく証としての名前です。
戒名がいらない場合はある?戒名の必要性とは
仏教において、故人様はあの世で仏弟子となり修行を行うことで、仏様に導かれ迷いなく極楽浄土に行けると考えられており、この修行を行うに当たって戒名が必須とされています。
上記の考えから、仏教形式で葬儀を行ったり、お寺が運営しているお墓に納骨する際には、戒名がないとお寺から断られてしまうケースも見られます。
よって、菩提寺がある方、もしくは仏教形式でご供養をおこないたい方については基本的に必須であると言えます。
また、戒名は死後の世界における名前であり、生前の名前と切り替えることで、生と死に境界を設けることができます。この行為は、受け入れがたい大切な家族の死を受け入れていく上でも非常に重要な役割を担っています。
■どんな場合なら戒名は不要なの?
逆に言えば、無宗教の場合、または今後は仏教形式での供養は行わないという場合には、基本的に戒名は不要になります。
ただし、もし既にお世話になっている菩提寺がある場合には、後々のトラブルを避けるためにも、ご自身で決める前に必ずお寺にご相談ください。
戒名の付け方とは?基本構成やランクの違いを解説
ここでは、よくご質問をいただくことが多い、戒名の基本構成やランクについて詳しく解説いたします。
ランク別の一覧も掲載しておりますので、ぜひ参考になさってください。
戒名を構成する4つの号・ランクの違い
一般的に「戒名」と言うと、お位牌に書かれている文字全体を戒名と呼ばれる傾向にありますが、本来の戒名は2文字のみで、4つの「号」が組み合わさって最終的に1つの名前(6~10文字程度の漢字)になっています。
戒名にはランクが存在しますが、実際には「院号(いんごう)」・「位号(いごう)」の2つに対してのみランクがあり、それ以外の「道号(どうごう)」・「戒名(かいみょう)」については上下の差はありません。
■戒名を構成する4つの号
1.院号(いんごう)/院殿号(いんでんごう)
院号・院殿号は、戒名の一番上に付く位で、院号は「〇〇院」(3文字)、院殿号は「〇〇院殿」(2文字)の形で表記されます。
元々は身分の高い方にのみ授けられていたもので、現代でも、生前に菩提寺や宗派に対して大きく貢献したり、社会的貢献度が高かった方などの限られた方のみに付けられる号です。
なお、「院殿号」は、元は院号の次に高い位でしたが、江戸時代以降に実質上の権力者が院殿号を用いたことから、現在は院号よりも格上の号とされています。
2.道号(どうごう)
道号は、悟りを開いた僧侶に対して与えられる称号(2文字)とされ、院号や院殿号がない場合は戒名の一番上に付きます。水子や幼児、未成年の方に対しては付けることができません。
現代では故人様の人となりを表す部分として位置づけられており、生前の人柄や趣味、場所や地域名、住居を表す文字などにちなんで付けられる形が一般的です。
■道号によく用いられる文字
- 人柄や趣味を表す文字…「光」「翁」「老」など
- 場所や地域、物を表す文字…「海」「山」「雲」「月」など
- 住居を表す文字…「宅」「殿」など
3.戒名(かいみょう)
戒名は、お浄土の世界における仏弟子としての新しい名前(2文字)を指します。お位牌や墓石に刻まれる文字全体を戒名と呼ぶ場合もありますが、本来の戒名はこの2文字のみを指します。
一般的には、以下のような文字がよく用いられます。
■戒名によく用いられる文字
- 俗名(生前の名前)から取った文字
- 仏様の名前や経典から取った文字
- 先祖代々受け継いでいる特定の文字
- 故人様が尊敬していた方に関連する文字
- 生前就いていた職業を連想させる文字
避けるべき文字・使用しない文字
戒名にはどんな文字でも使っていいという訳ではなく、「三除の法」や「二箇の大事」と呼ばれるルールがあります。
【三除の法】
- 奇怪で難しい文字
- 漢文の置き字や助字として用いられる文字…「也」「於」「乃」など
- 不穏な意味がある文字…「死」「病」「狂」「争」など
【二箇の大事(にかのだいじ)】
-
動物を表す文字…「犬」「猫」「猿」「馬」など
※「亀」「鶴」「龍」「鹿」などの、吉兆とされる動物の場合は使用可能です。 - 各宗派の開祖や、歴代天皇の尊号や年号などの文字…「昭和」「平成」「日蓮」「道元」など
有名人の戒名例をご紹介
ここで、参考までに有名人が授かった戒名の一例をご紹介いたします。
社会的地位が高い方のため院号が授けられていることも多く、また戒名からその人柄や功績を窺い知ることができます。
・美空ひばりさん…慈唱院美空日和清大師(じしょういん びくう にちわ せいだいし)
「慈」と「唱」の文字は彼女の人柄や職業から取っており、「美空」は名前から取っています。
・樹木希林さん…希鏡啓心大姉(ききょう けいしん だいし)
「希」と「啓」の文字は芸名と本名から一文字ずつ取っており、「鏡」の文字は、生前によく話していた「役者は人の心を映す鏡」の言葉から取っています。
・桂歌丸さん…眞藝院釋歌丸(しんげいいん しゃくかがん)
「藝」の文字は芸に対して真剣に取り組んだことから、「眞」の文字は生まれ故郷が横浜市真金町ということが由来しています。
4.位号(いごう)
位号は、戒名の一番下に付く位で、現代で言う敬称を意味する号(2文字~4文字)です。故人様の社会的な貢献度などによって授かる位(ランク)が異なり、そこからさらに性別によって名称が分かれます。
また、年齢によっても異なり、まだ社会的貢献ができない水子や幼児、未成年者には年齢に応じて位が付けられるという特徴があります。
一般的なランク順は、それぞれ以下の通り(上から順に、高位~一般的な位)です。
・子供の場合(4・5歳以下)
【男性】 | 【女性】 |
幼児 (ようじ) |
幼女 (ようにょ) |
嬰児 (えいじ) |
嬰女 (えいにょ) |
孩児 (がいじ) |
孩女 (がいにょ) |
水子 (すいし) |
水子 (すいし) |
・子供の場合(15歳位まで)
【男性】 | 【女性】 |
大童子 (だいどうし) |
大童女 (だいどうにょ) |
禅童子 (ぜんどうし) |
禅童女 (ぜんどうにょ) |
童子 (どうし) |
童女 (どうにょ) |
・成人の場合
【男性】 | 【女性】 |
大居士 (だいこじ) |
清大姉 (せいたいし) |
居士 (こじ) |
大姉 (たいし) |
大禅定門 (だいぜんじょうもん) |
大禅定尼 (だいぜんじょうに) |
禅定門 (ぜんじょうもん) |
禅定尼 (ぜんじょうに) |
清信士 (せいしんじ) |
清信女 (せいしんにょ) |
信士 (しんじ) |
信女 (しんにょ) |
位号をランク別にご紹介
位号のランク別に、それぞれどういった方に対してどんな意味で付けられる位なのか、以下に解説いたします。
■居士(こじ)・大姉(たいし)
「居士(こじ)」は男性、「大姉(たいし)」は女性に対して授けられます。
人々から尊敬されるような信仰心の厚い信者に対して付けられる位です。
上に院殿号が付く場合には、これより一段上位であることを表して、それぞれ「大居士(だいこじ)」・「清大姉(せいだいし)」とすることもあります。
■禅定門(ぜんじょうもん)・禅定尼(ぜんじょうに)
「禅定門(ぜんじょうもん)」は男性、「禅定尼(ぜんじょうに)」は女性に対して授けられます。
仏門に入って剃髪(ていはつ)した男女の呼び名が由来しており、位号においては戒律を守って修行に励む男女のことを指します。
■信士(しんじ)・信女(しんにょ)
「信士(しんじ)」は男性、「信女(しんにょ)」は女性に対して授けられます。
インドにおける、出家していない仏教信者の呼称(男性はウバソク、女性はウバイ)を訳したもので、仏様の教えを信じて清らかな生活をした人に対して付けられます。
【戒名に「ランク」がある理由】
諸説ありますが、一説には、後世に残っていく戒名の中に故人様の功績(生前の社会貢献度など)が分かる高い位号を含めることで、後々お墓を守っていく子孫たちにご先祖様の存在価値を示すためとも言われています。
戒名のランクについてよくあるご質問
以下に、よくお寄せいただくことの多い戒名のランクに関するご質問を2つピックアップしてご紹介いたします。
Q1.戒名のランクは、高ければ高い方がご先祖様にとっての供養になるのですか?
A.ランクの上下は、供養の度合いには全く影響しませんので、どのランクでも変わりはありません。
戒名のランクは「院号が付くかどうか」「どのランクの位号が付くか」によって上下が発生しますが、これはあくまでも故人様の社会的・仏教的貢献度合いや、社会的地位の高さを示す敬称としてのランクです。
よって供養に関しては、残されたご家族がいかに心を込めて日々のお参りやお供えをしているかどうかが主軸になります。
Q2.夫婦で戒名のランクは揃えるべきですか?
A.一般的には夫婦で揃えた方がいいとされる傾向にありますが、絶対的な決まりはありませんので、必ずしも揃えなくても問題はございません。
ただし、のちのちトラブルに発展する可能性もありますので、もし夫婦でランクを揃えずに戒名をいただく予定があるのであれば、早い段階で家族や親族に相談して周りからの了承を得ておくことが大切です。
【宗派別一覧】使用文字のルールを解説
戒名は、基本構成は同じであっても、宗派によって使用する文字や文字数などのルールに違いがあります。
また、宗派によっては「梵字(ぼんじ)」と呼ばれる宗派特有の文字が用いられる場合もあります。
ここからは、宗派別に戒名の基本ルールを解説いたします。
「梵字(ぼんじ)」・「冠字(かんむりじ)」とは?
戒名をお位牌に刻む際には、戒名の一番上に「梵字(ぼんじ)」や「冠字(かんむりじ)」と呼ばれる各宗派のご本尊(信仰の対象)や菩薩を表す文字を入れることがあります。
※墓石に戒名を刻む際には省略する形が一般的です。
以下は一般的な梵字の例ですが、地域の慣習やお寺の考えによっては入れない場合があったり、書体にも決まりがあったりする場合もあります。
宗派別の戒名ルール一覧
以下に、宗派別の基本ルールを一覧形式でご紹介いたします。
浄土宗
【院号+誉号+戒名+位号】
浄土宗では、道号の代わりに「誉号(よごう)」と呼ばれる「誉」の一文字が男女ともに用いられます。
お位牌に刻む際には、阿弥陀仏を表す「キリーク」と呼ばれる梵字を一番上に入れることがあります。
お寺によっては「誉」の漢字が特殊文字となる場合もございます。
時宗
【院号+阿号+戒名+位号】
時宗では、道号の代わりに、阿弥陀仏号の略称である「阿号(あごう)」が用いられます。
男性の場合は「阿」の一文字、女性の場合は「弌(いち)」の文字が付きます。
時宗も同様に、阿弥陀仏を表す「キリーク」の梵字が一番上に入る場合があります。
天台宗
【院号+道号+戒名+位号】
天台宗では、阿弥陀仏を表す「キリーク」の梵字が一番上に入る場合があります。
そのほかは特段の決まりはなく、「院号+道号+戒名+位号」の基本的な形で構成されています。
真言宗
【院号+道号+戒名+位号】
真言宗では、皆が等しく大日如来の弟子であることを表す「ア号」の梵字が一番上に入る場合があります。
なお、故人様が未成年の場合は、子供の守り神である地蔵菩薩を表す「カ号」を使用します。
禅宗(臨済宗・曹洞宗)
【院号+道号+戒名+位号】
禅宗では、「世の中の全ての物事はみな因縁によって起こる仮のもので、実態がない」ということを意味する「空」の冠字を入れる場合があります。
白木位牌の一番上に「新帰元(しんきげん)」と記されていることがありますが、これは「新たに亡くなった」という意味の置き字にあたりますので、本位牌や墓石に刻む際には省略します。
日蓮宗
【院号+道号+法号(日号)+位号】
日蓮宗では、信徒に対して授ける名前を「法号(ほうごう)」と呼びます。法号の中には「日号(にちごう)」と呼ばれる「日」の一文字が用いられます。
男性の場合は「日」の一文字、女性の場合は「妙」の文字が付きます。
また、日蓮宗の題目である「南無妙法蓮華経」のうちの2文字を指す、「妙法(みょうほう)」の梵字が一番上に付く場合があります。
※法号について、詳しくは<こちら>の項目をご参照ください。
真宗大谷派(東)・浄土真宗本願寺派(西)
【院号+釋号】
浄土真宗の二派では、他の宗派とは異なり道号や位号は用いず、院号に加えて「釋号(しゃくごう)」と呼ばれる「釋」の一文字が用いられます。
男性は「釋〇〇」の3文字、女性は「釋尼〇〇」の4文字が基本で、この釋の文字は、お寺によっては「釈」など異なる表記の漢字を使用する場合もございます。
また、女性にのみ付く「尼」の一文字は、お寺によっては小さくしたり右寄せにしたりして入れる場合があります。
※真宗・浄土真宗ではお位牌自体を作らない場合が多いため、お位牌の作成をご希望の場合はまずお寺にご相談ください。
戒名授与の値段相場はいくら?
実際にお寺から戒名をいただく際には、「戒名料(かいみょうりょう)」とも呼ばれる、僧侶へのお礼(お布施)が必要になります。
この項目では、戒名授与の際に必要なお布施の相場をランク別にご紹介いたします。
なお、こちらでご紹介している金額はあくまでも目安になりますので、もし決めかねる場合は最終的にお寺へ直接ご確認いただくことをおすすめします。
戒名料の値段相場をランク別にご紹介
戒名授与の値段相場は、お寺によっても大きく異なり、定額制の場合もあれば、中には戒名料不要とする場合もありません。
よって絶対的なものはありませんが、平均すると約30万~50万円程度が相場と言われています。
なお、戒名のお布施は、付けていただくランクが高くなるにつれて金額も高額になる形が一般的です。
お布施の目安相場は以下の通りです。
費用を抑えたい場合はどうする?
様々な都合から、予算が厳しく戒名料を抑えたいという場合もあるかもしれません。
その際は、以下のような対処法をご検討いただくとよいでしょう。
1.戒名を付けていただくお寺に、費用を抑えたい旨を事前相談する
菩提寺から戒名をいただく予定なのであれば、失礼なことではありませんので、まずは素直に経済状況をお伝えすることが一番です。
その場合、お寺側もお気持ちを汲んでくださる流れが一般的です。
2.インターネット上の戒名授与サービスを活用する
ネット上には、2万円からなどの低価格で戒名を授けてくださるサービスもありますので、こちらを活用することもできます。
ただし、もしも菩提寺がある場合にはトラブルが発生する可能性が高いため、利用前に必ず事前相談するようにしましょう。
※お寺の敷地内にお墓を建てている場合などには、最悪の場合、納骨を拒否されてしまうケースや、戒名の付けなおしが発生してしまうケースもあるので、確認が必須です。
3.自分で戒名を付ける
場合によっては、戒名の基本ルールに基づいて自分で戒名を付ける方もいらっしゃるようです。
しかし、この場合もネットの戒名授与サービス利用と同様に、菩提寺がある場合には難しいケースがほとんどです。まずはお寺にご相談いただくとよいでしょう。
※自分で戒名を付ける場合について、詳しくは<こちら>の項目をご参照ください。
正しい戒名料の渡し方とは?表書きはどうする?
戒名料を僧侶にお渡しする際には、いくつか守るべきマナーがありますので、以下にご紹介します。
失礼のないよう、事前に把握しておくと安心です。
不祝儀袋(封筒)の選び方
戒名料(お布施)を渡す際に使用する入れる袋は、大きく分けて以下の2種類があります。
・奉書紙(ほうしょがみ)
奉書紙は、昔から公文書などでも用いられてきた和紙のことで、現在では、主にお布施を渡す際に使用されます。現金を半紙などで包んで中袋を作り、その上から奉書紙で包んでお渡しするのが最も丁寧な形です。
・無地の白封筒
奉書紙の入手が難しい場合には、水引(飾りひも)がついていないタイプのシンプルな封筒を使用してお渡ししても構いません。
その際は、不幸の重なりを連想させる二重封筒は使わない形がマナーです。
地域やお寺の考えによっては、白黒または双銀の水引が付いた不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)を使用する場合もありますので、不安な場合はお寺に事前確認をすると安心です。
表書きの仕方
戒名料を包んだ袋の表書きは、「お布施」または「御布施」と書き、その下に渡す側(喪主)のフルネームを記入する形が一般的です。
「戒名料」や「御戒名料」(浄土真宗の場合は「法名料」、日蓮宗の場合は「法号料」)という表書きを使用することもできますが、基本的にはお布施という名目でお渡しいただく形が無難とされています。
「四十九日前は薄墨で書く」というマナーは香典に対するものですので、お布施の表書きに対しては、薄墨ではなく濃い墨の筆(または筆ペン)を使って書きましょう。
金額・連絡先の書き方
金額や住所氏名などの詳細情報は、香典袋の中袋(内袋)に記載する形が基本です。
金額は中袋の表面に縦書きで記入し、住所や氏名などの連絡先は中袋の裏面左下に記入しましょう。
ただし、中袋がついていないタイプの袋の場合は、外包みの裏側に金額と連絡先を直接記入します。
戒名料を渡すタイミング
戒名料を渡すタイミングはいくつかありますが、一般的には以下のどちらかです。
なお、どちらの場合も喪主から僧侶に直接お渡しするのが基本です。
- お通夜や葬儀をお願いをする際
- 葬儀当日、僧侶にお礼の挨拶をする際(この場合は、葬儀の読経のお布施とまとめて一つの袋でお渡しする)
もしも忙しくて時間が取れないなどの場合には、葬儀が終わった後にお渡ししてもいいでしょう。
戒名料の渡し方マナー
僧侶にお布施をお渡しする場合には、素手で袋を手渡しするのではなく、「袱紗(ふくさ)」と呼ばれる、ご祝儀袋や不祝儀袋などの贈り物を包むための布を用いる形がマナーです。
お布施はふくさに入れて持ち運び、僧侶にお渡しする際は、目の前でふくさから袋を取り出します。
その後、「切手盆(きってぼん)」と呼ばれる黒塗りのお盆に乗せて、僧侶側から文字が読める向きでお渡ししましょう。
なお、ふくさの種類によってはお盆もセットになったタイプのものがあり便利です。
袱紗(ふくさ)
戒名授与の流れとは?自分で付けてもいいの?
ここまでは、戒名の意味や基本ルールなど、戒名とは何かについて詳しく解説して参りましたが、ここからは、戒名を授かるに当たっての一般的な流れについて解説いたします。
また、よく疑問に上がることが多い、戒名を自分でつけてもいいのかどうかについても触れています。
基本的な戒名授与の流れ・依頼先
戒名は、基本的にはお通夜、遅くとも葬儀までには授けていただく形が基本です。
■一般的にな戒名授与までの流れ
- 逝去後、早いタイミングで菩提寺へご連絡を入れる
-
枕経をしていただく際に、戒名をいただきたい旨をお伝えする
※その際、故人様のお人柄やこれまでの功績などもお話されると、故人様に合った戒名を検討していただけます。 - 戒名が決定したら、戒名を書き入れた白木位牌を授けていただく
戒名の依頼先は、基本的は菩提寺になりますが、もし菩提寺がない場合は、お世話になる葬儀社に依頼してご紹介いただくか、同じ宗派のお寺様へご相談いただくのが一般的です。
近年は、インターネット上でも戒名授与サービスが展開されているようですが、安心して任せられるところかよく調べてから依頼するようにしましょう。
生前に授かる「生前戒名(せいぜんかいみょう)」とは?
現代では、逝去されてから戒名をいただく形が主流になっていますが、生前に戒名をいただく「生前戒名(せいぜんかいみょう)」も可能です。
中には、「生前に戒名を貰うのは死を待っているようで不吉なのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本来は生前に授かる形が一般的でしたので、仏教上では全く問題ありません。
また、生前戒名は、基本的に自分が将来亡くなった時に供えて依頼する形が主ですので、自分が納得のいく戒名を付けていただけるというメリットもあります。
■トラブル対策のポイント
- 菩提寺がある場合には、まずお寺に相談する
- 生前戒名を授かる場合には必ず家族や親族にご相談し、了承を得ておく
生前戒名をいただく場合は、お位牌も事前に作成しておく場合があります。これは「生前位牌」や「逆修位牌(ぎゃくしゅういはい)」と呼ばれ、仏教上では非常に功徳のある行為とされています。
作成に当たっては、戒名の2文字を朱色で入れるなどの決まったルールがありますので、詳細は以下をご参照ください。
戒名は自分で付けても問題ない?
基本的には僧侶からいただく形が主流ですが、絶対的な決まりはございません。(菩提寺がある場合には、必ず事前にご相談ください)
その場合も、完全に自由に付けていいという訳ではなく、戒名の基本ルール(使用する文字や宗派別の梵字など)を守って検討いただくことが大切です。
また、生前戒名と同様に、後々のトラブルを防ぐためにも、家族や親族には事前にご相談するようにしましょう。
※戒名の基本ルールについて、詳しくは<こちら>の項目をご参照ください。
戒名を後から変更することは可能なの?
変更可能かどうかは、戒名を付けてくださったお寺のお考えによって異なりますので、戒名を授けてくださったお寺に直接ご相談されるのが安心です。
ただし、一般的には末尾の敬称部分(位号・ランクの変更)についてのみ変更可能な場合が多く、故人様のお名前(戒名)・お人柄を表す部分(道号)の2つについては基本的に変更不可という事例が多いようです。
なお、もし戒名変更を依頼する際は、最初に戒名をいただいた時と同様にお布施が必要になります。
さらに四十九日以降の場合は、お位牌の作り直しや墓石彫刻のやり直しが派生するケースもございますのでご注意ください。
戒名はいつ使う?3つの活用シーンをご紹介
最後に、いただいた戒名を使用する際の主な3つの用途(お位牌・過去帳・墓石)ご紹介いたします。
戒名はただ貰って終わりというものではなく、故人様のご供養のために末長く使われていくお名前になりますので、戒名をいただいた後のことも事前に把握しておかれると安心です。
1.お位牌-お仏壇でのご供養
- 白木位牌(しらきいはい)…ご臨終後すぐに用意し、枕飾り(まくらかざり)および葬儀で用いられる白木製の板位牌のこと。故人様の魂が宿る仮の依代。
- 本位牌(ほんいはい)…四十九日法要以降にご自宅のお仏壇でお祀りするお位牌のこと。正式な魂の依り代。<
戒名は、没年月日・俗名・没年齢と一緒にお位牌へ刻み、お仏壇の中でお祀りするのがメインです。
ただし、その際にお祀りするのは、お通夜や葬儀などの場で用いた「白木位牌」ではなく、新たに作り替えた「本位牌(ほんいはい)」になりますので注意が必要です。
■本位牌の作成について
本位牌の作成は、白木位牌(もしくは戒名が分かるもの)を持参の上で、仏壇仏具店に依頼する形が一般的です。
その後、四十九日法要に白木位牌と本位牌を持参し、「魂入れ」と呼ばれるお経上げをしていただく必要があります。
本位牌の作成には通常2週間程度はかかりますので、戒名をいただいたら早めに準備に取り掛かると安心です。
2.過去帳-家系図としての役割
- 過去帳(かこちょう)…亡くなられた方の法名(戒名)・没年月日・俗名・没年齢を記載するための帳面タイプのお仏具のこと。
戒名は、「過去帳」と呼ばれる冊子に記入して使用する場合もあります。
過去帳は主に浄土真宗で用いられますが、他の宗派でも、ご先祖様の歴史が分かる家系図のような役割として、お位牌と一緒に使用するケースもあります。
一般的に、浄土真宗の場合は過去帳見台(けんだい)と呼ばれる台に乗せてお仏壇にお祀りし、その他の宗派ではお仏壇の引き出しに保管しておく場合が多くみられます。
■過去帳の記入について
過去帳への記入に特段の決まりはありませんので、ご家族の方が筆ペンなどで記入いただいても構いません。自分で書くのが難しい場合には、仏事店や僧侶に記入を依頼してもいいでしょう。
3.お墓(墓石)-お墓でのご供養
ご自宅での供養に用いるほかにも、お墓(墓石)にも戒名を刻む形で使用します。
墓石の側面、または墓石のそばに建てた石板を「墓誌(ぼし)」と呼び、この墓誌に戒名・没年月日・俗名・没年齢を彫刻する形が基本です。
■墓石の戒名彫刻について
墓石(墓誌)に戒名彫刻をするタイミングは決まっていませんが、一般的には四十九日法要と一緒に「納骨法要」を行うことが多いため、四十九日までに用意しておく場合が一般的です。
墓石の彫刻は、お墓を作った時の担当石材店や、施設の管理事務所に依頼する必要がありますが、注文から3~4週間程度かかる場合が多いため(弊社で承った場合)、余裕を持ってご準備いただくと安心です。
はせがわの各種サービスについて
はせがわでは、お位牌の作成(戒名入れ)、過去帳の記入、墓石への彫刻の各種サービスを承っております。お悩みがある方は、最寄りのはせがわ店舗、またはオンラインショップまでごお気軽にご相談ください。
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お位牌とは、故人様の霊魂が宿る場所であり、故人様を象徴するお仏具です。このページでは、お位牌の種類や価格の違いなど基本を解説します。はせがわにおける注文手順も詳しくご紹介しています。
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