お彼岸に花をお供えするのはなぜ?
お彼岸はご先祖様のご供養に最適な時期とされており、多くの人々がお仏壇やお墓に花を供え、お参りをします。ここでは、お彼岸に花を供える意味・理由について解説します。
そもそも、お彼岸とは?
お彼岸とは、ご先祖様を偲び、供養を行う日本特有の仏教行事です。年に2回、春分の日と秋分の日を中心に、その前後3日間を含む7日間がお彼岸の期間と定められています。この期間は、悟りの境地を目指し仏修行を行うためのものでもあります。
仏教の教えによると、私たちが生活するこの世界(此岸)は東にあり、ご先祖様が安らぐお浄土(彼岸)は西にあるとされます。春分の日と秋分の日には太陽が真東から昇り、真西へと沈むため、この二つの世界が最も近付くと考えられ、ご先祖様への想いが伝わりやすくなるといわれています。
このように、お彼岸はご先祖様の供養に適した時期であることから、日常的なお仏壇へのお参りだけでなく家族でお墓参りに出かけ、華やかな花をお供えすることが慣習となっています。
■お彼岸について詳しくはこちら
お彼岸とは何か知りたい方に向けて、意味やお彼岸の期間、やるべきことなどお彼岸の基本をはせがわが徹底解説します。
お仏壇やお墓に花をお供えする理由
日々のご供養やお彼岸・お盆において、花は仏様へのお供え物の基本です。仏教において、仏様へのお供え物は「五供(ごく)」と呼ばれる考えに基づいており、「香(お線香)・灯明(ろうそく)・花・飲食(ご飯などの食べ物)・浄水(水・お茶)」の5つが重要とされています。
お仏壇やお墓にお花をお供えする具体的な理由は、主に以下の通りです。
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ご先祖様や仏様への感謝の気持ちを表すため
お仏壇やお墓に美しい花を飾ることで、ご先祖様や仏様への感謝と敬いの気持ちを形で表すことができます。 -
花は「仏様の慈愛と忍耐」を象徴しているため
寒い冬を耐え、蕾から花を咲かせて散っていく姿を人生に例え、仏様が命の儚さと尊さを私たちに向けて教えてくださるとされています。 -
ご先祖様や仏様に花の香りを楽しんでいただくため
花の良い香りは、ご先祖様や仏様にとってごちそうになるともいわれています。(これを「香喰(こうじき)」といいます。) -
お供えする人の心を豊かにするため
お供えをする行為は、ご先祖様や仏様を敬うだけでなく、供養を行う人自身の心も優しく豊かにしてくれます。
タブーはある?お彼岸の花の選び方
お供えの花にお彼岸独自の決まりはございませんが、ご先祖様の供養のために、旬の花でいつもよりお仏壇やお墓を華やかにされるとよいでしょう。基本的にはお好きな花をお供えして問題ありませんが、ここではお彼岸のお供えとして定番・おすすめな花と避けたほうがいい花の種類について解説します。
定番の仏花
1年を通して入手でき、仏花として定番である3種類の花をご紹介します。
菊・マム
仏花として代表的な花の一つです。日持ちがよく、邪気を払う象徴として仏事に広く用いられています。
◆花言葉
- 高貴
- 高尚
- 高潔
- 信頼 など
ユリ
仏花として人気があり、お仏壇やお墓を上品に彩ってくれます。花粉が多い場合は取り除いてからお供えすることをおすすめします。
◆花言葉
- 純潔
- 無垢
- 威厳
- 高貴
- 無邪気
- 栄華 など
胡蝶蘭(コチョウラン)
日持ちがよく、香りが少ないことやお手入れが簡単なことから仏花として人気があります。見た目が華やかなのでギフトとしても好まれる花です。
◆花言葉
- 幸運が飛んでくる
- 純粋な愛
- 尊敬 など
秋彼岸におすすめな季節の花
- ケイトウ
- コスモス
- ソリダコ
- デンファレ
- ハギ
- リンドウ など
春彼岸におすすめな季節の花
- アイリス
- カーネーション
- キンセンカ
- スターチス
- ストック
- トルコキキョウ
- フリージア
- 牡丹
- マーガレット など
また、お彼岸にお供えする食べ物として代表的な「ぼたもち」と「おはぎ」は、春に咲く「牡丹」と、秋に咲く「ハギ」にちなんで名前が付けられたといわれています。
■お彼岸の食べ物について詳しくはこちら
お彼岸の会食におすすめのお料理や、定番となっているお供えの「おはぎ」「ぼたもち」などについても解説しています。また、お供えやご親族にもおすすめな食べ物もご紹介します。
お供えに避けたほうがいい花
美しい見た目でも、お仏壇やお墓へのお供えに不向きとされる花があります。ギフトとして花を選ぶ際には特に注意が必要です。ここでは、お供えに避けたい花を具体的にご紹介します。
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不吉な事象を連想させる花
椿、サザンカ、むくげ など
花が落ちる、日持ちがしないなどの特徴が「死」を連想させるといわれています。 -
毒がある花
彼岸花、アジサイ、芍薬(シャクヤク)、スイセン、スズラン、チューリップ、ポピー など
毒性のある花は、「毒を盛る」と捉えられるため、お供えには不向きとされています。 -
香りが強い花
オミナエシ、カサブランカ、金木犀(キンモクセイ) など
お線香の香りの妨げとなるため、お供えには香りが控えめな花がおすすめです。 -
トゲがある花
バラ、アザミ など
トゲが、血や殺生を連想させます。トゲを取り除いてお供えすることは可能です。 -
ツルがある花
アサガオ、クレマチス など
故人様に蔓が絡まり、成仏の妨げになるといわれています。また、お墓にお供えした場合、周囲のお墓に蔓が巻き付く恐れもあります。 -
食べられる植物
稲穂、麦、粟 など
お墓にお供えした場合、動物や虫に周囲を荒らされる恐れがあります。
また、花粉が多い花は周囲を汚す恐れがあるため、花粉を取り除いてからお供えすることがおすすめです。
上記の花は避けるのが望ましいとされていますが、絶対的なルールではありません。慣習にとらわれすぎず、故人様が生前お好きだった花をお供えするなど、状況に応じて柔軟に対応されるとよいでしょう。
花の色に決まりはある?
お彼岸にお供えする花の色に決まりはありませんが、白色、黄色、ピンク色、紫色、青色など淡い色の花がよく用いられています。故人様が生前好まれていた色を基調として花を選んでもよいでしょう。
地域によっては黒色の花は縁起が悪いとされる場合もあるため、注意が必要です。
お供え花の購入場所
お供え用の花は、生花店、スーパーマーケット、ホームセンターなどで販売されています。
◆はせがわ 仏花の定期便
はせがわでは、お忙しい方やお花選びでお困りの方におすすめの「はせがわ 仏花の定期便」を提供しております。
お花のプロがコーディネートした新鮮な生花を定期的にお届けします。(週1回、隔週、月1回コースからお選びいただけます。)
はせがわの仏花の定期便
お彼岸の花の贈り方とマナー
お彼岸には、故人様が亡くなって初めてのお彼岸(初彼岸)を迎えられる方や、日ごろお世話になっている方へ向けて、花の贈り物をするケースが多く見られます。ここでは、花のギフトをいつまでに送るべきか、適切なタイミングやスタイルの選び方・相場など、花の贈り方とマナーを解説します。
いつ?お彼岸の花を贈るタイミング
花は、お彼岸の前日からお彼岸初日の午前中までに贈るとよいでしょう。遅くとも、お彼岸の中日までには配送または手渡ししていることが理想的です。
生花店はお彼岸の時期に混雑するため、事前に準備・注文しておくことをおすすめします。
用途に適した花の選び方
花を置かれる場所や使用場面を考慮し、適切なスタイルの花を選ばれることをおすすめします。
花束
お墓または、お仏壇の花立にお供えする花を贈る場合は、花束になっているものが使いやすく便利です。左右一対で飾れるよう、同じ組み合わせのものが2つセットになっている種類の花束もあります。
アレンジメントフラワー
お彼岸の法要などで、お仏壇の周囲やご自宅に花を飾られる場合は、鉢植えやバスケットなどに飾られたアレンジメントフラワーが飾りやすく見栄えも華やかです。大きすぎるとスペースが足りない場合もあるため、場所に応じた適切な大きさを選びましょう。
プリザーブドフラワー
生花に特殊加工を施し、長期間保存可能にしたものです。お仏壇の中に飾ることができるコンパクトな大きさのものも多く、お供え物として近年注目されています。
紫外線に弱いため、お墓など屋外のお供えには向きませんので注意が必要です。
フラワーギフト
花のギフトの相場
ギフトの予算は【3千円~5千円程度】が相場です。
花の代わりに、お花を購入するためのお金(「御花代」)をお包みして渡す場合もあります。
御花代を包むのし袋のマナーについては「よくある質問」でも解説しています。
■お彼岸のお供えについて詳しくはこちら
お彼岸で定番のお供え物の紹介、お供え(手土産)の金額相場、郵送方法など、お彼岸のお供えを解説します。掛け紙(のし)の表書きマナーやお返しについても触れています。
お仏壇・お墓への花の供え方
お彼岸の中日(春分の日・秋分の日)にはお墓参りへ行き、花をお供えしましょう。また、お仏壇にも普段より華やかに花をお供えして差し上げるとよいでしょう。
ここでは、お仏壇やお墓への花の供え方や作法、お供えに造花を用いることができるかどうか詳しく解説します。また、花を長持ちさせるコツについても説明しています。
花の飾り方・位置
◆お墓の場合
基本的に、お供えの花は左右一対で花立に飾ります。
◆お仏壇の場合
左右一対で花立(花瓶)に飾る形がより丁寧ですが、お仏壇が小さい場合は、お仏壇最下段(薄引き出し)の左側に1つのみお供えする形でも問題はありません。
お仏壇の内部に花を飾り切れない場合は、お仏壇の周囲に花瓶を置くと華やかに飾ることができます。
花はお参りする人(ご自身)の方へ向けてお供えします。仏様の慈愛の心を私たちへ向けるという意味合いがあります。
■花立(花瓶)について詳しくはこちら
花立(花瓶)は「仏の三大供養」の一つで、お仏壇に欠かせない仏具です。このページでは、花立をお供えする意味、選び方と購入場所、浄土真宗など宗派による違い、お供えの決まりについて解説しています。
花瓶
花の本数
1つの花立(花瓶)につき、3本、5本、7本などの奇数がよいといわれています。奇数は割り切れないことから「縁が切れない」ことを連想させ、ご先祖様や故人様とのつながりを大切にする意味合いがあるとされています。
造花をお供えしてもいい?
生花の代わりに造花のお供えをしても問題ありません。
寺院や地域によっては、生花以外のお供えをよく思われない場合もありますので、菩提寺がある場合は事前に確認されると安心です。また、初彼岸法要など法事の際は、白を基調とした香りの強すぎない生花をお供えするのが無難です。
造花・生花
お供えの花を長持ちさせるコツ
お仏壇の花を長持ちさせるためのポイントをご紹介します。
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茎を水に浸けたままカットする
花をお供えする前に、茎を水に浸けたままハサミで斜めにカットする「水切り」をしておくことで、切り口から水を吸い上げやすくなり、花を長持ちさせることができるといわれています。 -
花立の水を清潔に保つ
お仏壇の花立の水は毎日取り換えることがベストです。水が清潔に保たれていると、花が長持ちしやすくなります。また、花立の水に浸かる部分の葉や蕾は取り除き、水替えの際に茎にぬめりがある場合は洗い流しましょう。 -
直射日光やエアコンの風を避ける
花は乾燥に弱いため、直射日光やエアコンの風が直接当たる場所を避けてお供えしましょう。
よくある質問
お彼岸の花に関するよくある2つの質問に回答します。
Q1. お彼岸で知人に花を贈ろうと思っています。直接渡せない場合、マナーやタブーなどありましたら教えてください。
A. 花を贈る際、メッセージカードを添えることをおすすめします。
花を直接渡せない場合は、手紙やメッセージカードを添えることで、心が伝わりやすくなります。決められた書き方はありませんが、「重ね言葉」を使わないよう注意しましょう。
※重ね言葉…重ね重ね、ますます、だんだん など、同じ言葉や意味を繰り返して用いることです。不幸が続くイメージがあるため、ご遺族へ使われることは避けましょう。
また、お彼岸のメッセージカードの文例をご紹介します。
- 生前のご厚情に感謝するとともに、謹んで故人のご冥福をお祈り申し上げます。
- 心ばかりではございますが、お花をお送りいたします。ご仏前にお供えいただけましたら幸いです。
- 故人の面影を偲びつつ、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
- この度はお伺いすることが叶わず、申し訳ございません。故人の在りし日のお姿を偲びつつ、安らかなお眠りをお祈りいたします。
Q2. 花を贈る代わりに花代をお包みする場合、のし袋のマナーを教えてください。
A. お金は掛け紙(不祝儀袋)に入れ、「結び切り」の水引を使用します。表書きは「御花代」または「御花料」とします。
忌明けしている場合、不祝儀袋を用いずに白無地の封筒を使用しても構いません。
水引の下には贈り主の名前をフルネームで記載します。御花代の相場は【3千円~5千円程度】です。
不祝儀袋
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