お彼岸の食べ物っていつもと違うの?
「せっかく親族が集まるんだからとにかくみんなが好きなものをお腹一杯食べる」という選択肢もあるかと思いますが、ここではお彼岸の意味をお伝えすることで、なぜ普段と少し違うものを食べるのかをお伝えします。
お彼岸の食事は修行の1つ
お彼岸の語源は、サンスクリット語の「paramita(パーラミタ)」です。「彼岸に至る」という意味です。
仏教伝来より、日本では現世を「此岸(しがん)=こちらの岸、欲や煩悩にまみれた世界」、悟りの世界を「彼岸(ひがん)=向こう岸、仏の住むお浄土の世界」と考えます。教えに従って精進する(修行を行う)ことで、煩悩や生老病死に満ちた世界を脱して悟りの境地に至ることができるとされました。
お寺で僧侶がよく食べる物を食することも、実は精進(修行)の1つなのです。
3月の春分の日、9月の秋分の日は「あの世」と「この世」がもっとも近くなる日なので仏教的に重要!
なぜお彼岸は3月と9月にあるの?
仏教では、西方の遥か彼方にお浄土の世界があるとする「西方浄土(さいほうじょうど)」の考えがあります。
お彼岸は太陽が真東から出て真西に沈む期間であり、西方にあるお浄土への道しるべができると考えられていました。昼夜がほぼ同じ長さになる期間であり、1年の中でお浄土との距離が最も近くなるため想いが通じやすくなる時ともされています。
■お彼岸について詳しくはこちら
お彼岸とは、春(3月)と秋(9月)の年2回に行われる仏教行事です。このページでは、お彼岸の意味や具体的なお彼岸日程、4つのやるべきことなど、お彼岸の基本を解説しています。
お彼岸には、どんな食べ物を食べればいいの?
お彼岸は、お供えした「おはぎ」を食べるイメージかと思いますが、おはぎばかりを食べるわけにもいきません。それ以外におすすめの食べ物をご紹介します。
精進料理
お寺様が召し上がる食べ物として真っ先に思いつくのが精進料理であり、お彼岸でも代表的な食べ物になります。
仏教では殺生を禁じています。肉や魚などの殺生を避け、煩悩を刺激しない料理のことを指します。 お彼岸ではお仏壇にも「御霊供膳」と呼ばれるお膳に精進料理をのせてお供えします。
■御霊供膳について詳しくはこちら
仏様やご先祖様に精進料理をお供えする際に使用する「御霊供膳」について、宗派別の並べ方や使うタイミング、メニュー例など基礎知識を解説します。
そば・うどん
「彼岸そば」「彼岸うどん」といった呼ばれ方でおそばやうどんを食べる地域があります。
「年越しそば」や「運ドン」など「そば」や「うどん」は縁起が良いとされたり、弱った胃腸を整え、内臓をきれいにする食べ物とも言われています。
お赤飯
小豆の赤い色が魔除けの色であることから、節分の豆まきの豆は小豆が使われていました。小豆を使ったお赤飯も魔よけの食べ物として未だにお彼岸で食されることが多いです。
還暦祝いや七五三などといった慶事で赤飯を食べるのも同様の理由です。
天ぷら
魚や肉、卵の天ぷらを避け、野菜やキノコをあげたものを「精進揚げ」と言います。春彼岸にはタラの芽やたけのこ、秋彼岸にはきのこやナスなど季節に合った食材を使うことがおすすめです。
関西では「つけ揚げ」「衣揚げ」とも言います。忌中となる 四十九日までにもよく食されます。
いなり寿司・五目寿司
いなり寿司や五目寿司もお彼岸の代表的な食べ物の1つです。肉や魚を使わず、山菜やレンコンの酢漬けなどを使用して作ります。
酢飯に細かく刻んだショウガ、梅などを混ぜると日持ちが増すようです。
煮物(煮しめ)
お彼岸期間中に毎回違う精進料理を作るのは大変なため、日持ちする野菜を使って煮物を作っておくと便利です。
定番の煮物としては、鶏肉の代わりに車麩や豆腐を使った煮物のほか、春彼岸ならタケノコ、秋彼岸なら里芋など季節の素材を使った煮物が定番です。
煮物を作る際は、殺生を避けるため、かつお節や煮干しなどは使わず、昆布や干ししいたけなど植物性の食材で取っただしを使うと良いとされています。
汁物
精進料理や和食では、「一汁三菜」や「一汁一菜」と言うように汁物を重要視します。
こちらも肉や魚を使わないけんちん汁・きのこ汁、だいこんの味噌汁などが代表的です。
【おすすめ】故人様の好きだったもの
家族や親族と故人様の好きだったものを召し上がることで、自然と思い出話などで会話も盛り上がります。作る過程でも故人様の事を思い出すいい機会にもなります。
故人様のことを想うことは立派なご供養となるため、おすすめです。
上記の食べ物の他にも、季節の食べ物(かぼちゃなど)を使用した料理を食べる場合もあります。絶対的な決まりはありませんので、地域やご家庭のお考えに応じてご用意いただくと良いでしょう。
お彼岸に食べてはいけないものはある?
地域やお寺によっても異なりますが、一般的に仏教では殺生を禁じているため、「三厭(さんえん)」と呼ばれる獣・魚・鳥などの食べ物は食べない方が良いという考えがあります。
また、香りが強い食べ物もNGとされているため、「五葷(ごくん)」と呼ばれる、ニンニク・タマネギ・ネギ・ニラ・ラッキョウなども避けるべきとされています。もし不安な場合は、お世話になっているお寺などにご相談していただくと安心です。
お彼岸の中日に食べるべきものはある?
お彼岸の中日は、それぞれ春彼岸は「春分の日」、秋彼岸は「秋分の日」と定められています。地域によっては、「入りぼたもち(おはぎ)に明け団子、中(なか)の中日(ちゅうにち)小豆飯(あずきめし)」という言葉が伝わっており、お彼岸の入り(初日)と明け(最終日)にはお彼岸団子をお供えし、中日にはお赤飯を用意する風習が見られます。
お彼岸には、お仏壇にどんな食べ物をお供えする?
お彼岸は仏教的に大切な期間ですので、お墓参りに行ってお墓のお掃除をしたり、お寺様を呼んで読経していただく以外にも、お仏壇へのお供えも特別にされる方が多くみられます。
お供えとしてお花や線香を持っていくこともあるかと思いますが、ここではお彼岸の食べ物のお供えについてご説明します。自宅のお仏壇のお供えや、ご親族のご自宅へ伺う際の手土産にご参考下さい。
おはぎ・ぼたもち
お彼岸のお供えとして最も有名なのは、おはぎとぼたもちです。一般的に、3月のお彼岸には「ぼた餅」、9月のお彼岸には「おはぎ」をお供えするのが基本です。
お彼岸におはぎやぼたもちを食べるのはなぜ?
お彼岸におはぎやぼたもちといった小豆を使ったお菓子を食べるのには理由があります。一説には、小豆の赤い色は魔除けの効果があり邪気を払うとされていることや、昔は貴重品だった砂糖を使用した食べ物をお供えすることで、ご先祖様への敬意や感謝の気持ちを伝えるためとされています。
また、自宅までお参りに来てくださった親族や知人へのおもてなしとして、ご親族へ疲れを取っていただくためのお茶菓子にもおすすめです。
「おはぎ」と「ぼたもち」の違いって?
どちらももち米と餡子を使用した和菓子で、違いは諸説あります。彼岸の季節によって違いがあり、3月のお彼岸は春に咲く牡丹の花にちなんで「ぼたもち」、9月のお彼岸は秋に咲く萩の花にちなんで「おはぎ」と呼ばれるという説が一般的です。
牡丹の花は萩の花より大きいためこしあんを使用して大きいものを「ぼたもち」といい、「おはぎ」は粒あんを使用して萩の花のように小振りに作ることもあります。最近では両方とも「おはぎ」という名称でスーパー等でも年中販売されていることが増えています。
お彼岸団子
地域によっては、お彼岸をはじめ、仏事の際にはお団子をお供えする風習があります。
お彼岸においては「お彼岸団子」と呼ばれ、白く丸めたお団子を積み重ねてお供えします。
一般的には、お彼岸の初日(彼岸入り)に供える団子を「入り団子」、最終日(彼岸明け)に供える団子を「明け団子」と呼びます。
地域によって形や積み方に違いが見られるのが特徴とされ、お団子を積み重ねる数にも絶対的な決まりはありませんが、基本的には6個お供えする形が多いとされています。
これは、死後の行き先は「地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上」の6つがあり、亡くなるたびに生まれ変わりを繰り返すという「六道(ろくどう・りくどう)」の考えに由来すると言われています。
果物
お仏壇を華やかに彩る果物もお供えに持参する食べ物に向いています。
出来るだけ日持ちがする旬な果物(りんご・みかん・メロンなど)を選びましょう。
菓子折り
日持ちがするお菓子もお供えする食べ物に向いています。
地域の銘菓などを持参すれば、会話も自然と膨らみます。
■お彼岸のお供えについて詳しくはこちら
お彼岸で定番のお供え物の紹介、お供え(手土産)の金額相場、郵送方法など、お彼岸のお供えを解説します。掛け紙(のし)の表書きマナーやお返しについても触れています。
故人様の好きだったもの
故人様が好きだったものは手土産にも向いています。ただし、もらった親族の方が困らないよう出来るだけ日持ちがするものや、好き嫌いの少ない食べ物のほうがいいでしょう。
お彼岸の食べ物で困ったら
「お彼岸の準備はしっかりしたいけど時間がない」、「迷ってしまってどうすればいいかわからない」といったご質問を受けます。ここでは、ご親族にもご先祖様にも喜んでいただける品物をいくつかご紹介いたします。
フリーズドライの精進料理のお供え
「精進料理を準備するのはかなり大変。でもご先祖様にしっかりとお供えをしたい」という方向けに、精進料理をフリーズドライにした商品があります。
動物性の物は避け、昆布だしを使用するなど、伝統に基づいたお霊具をお供えしていただけます。お湯をかけるだけ・レンジや鍋で加熱するだけで簡単に出来上がります。※白飯は別途ご用意が必要です。
御霊具膳・精進料理セット
近年は、水を加えて電子レンジで温めるだけで手軽に作れる、フリーズドライタイプの精進料理セットも人気です。汁物・漬物・煮物・和え物が入っており、ご飯以外はこれ一つでまかなえます。
また、お供えの際使用する「御霊供膳」は5つの器と箸がセットになっており、お仏壇や葬儀後の後飾り祭壇、盆棚などに飾って使用します。
御霊供膳の並べ方について詳しくはこちら>>
故人様の好物に似せたろうそくのお供え
「食品は管理が大変」といった方向けに、お酒やお団子など故人様の好物に色・形を似せたろうそくがあります。お彼岸の定番の食べ物「おはぎ」を似せた商品もあります。
故人の好物ローソクシリーズ
お湯をかけるだけで完成!お麩のお吸い物
「お麩(おふ)」は、仏教の伝来と共に中国から日本に伝えられたとされます。 原料の小麦は当時大変高価なため宮中や寺院など特別な身分の人のみが食べられ、庶民は口に出来なかったようです。
また、肉食が禁じられている人にはお麩は肉や魚の代わりとなる貴重なタンパク源でした。 仏教との密接な関わり、そして古来の貴重な献上品という点において、まさにお麩はお彼岸の食べ物として相応しいと言えるでしょう。急な来客にお出しする食べ物としてもおすすめです。
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お彼岸とは、春(3月)と秋(9月)の年2回に行われる仏教行事です。このページでは、お彼岸の意味や具体的なお彼岸日程、4つのやるべきことなど、お彼岸の基本を解説しています。
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