火袋の土台を作る「張り」について
「張り」とは、張師と呼ばれる職人が火袋の張り型を組み、その上に細いヒゴをらせん状に巻き、和紙を張っていく工程です。
ヒゴの種類は竹ヒゴとワイヤーがあり、伝統的な技法では竹ヒゴを用います。
長くても4m弱しかない竹ヒゴは繋いでいく必要がありますが、継ぎ目を目立たないように繋ぐのが職人技の見せどころです。 火袋は和紙を張った後、張り型を抜き取れば完成です。
火袋とは?
絹、紙などでできた電球を覆う袋状のものです。季節の花などの絵柄が手書きや印刷で描かれています。供養の中で大切とされる「仏の三大供養」のうち「火(仏様の知恵)」と「花(仏様の慈悲)」の2つが表現されています。
火袋の絵柄を彩色について
火袋の絵柄を彩色するには2つの技法があります。 ひとつめは、摺込師が70〜100ほどの型紙を使い、絵柄にあわせて色を摺り込んでいく「摺込絵」と呼ばれる技法です。
使える絵の具はわずか10色で、原色で使うのは白と黄色のみ、その他の色は摺込師自ら、作り合わせていきます。 「同じ色でも濃淡を表現することがあるため、何十種類もの色を作ります。しかもしばらく経ってから同じ絵柄を摺り込む場合、一年先でもまったく同じ色を出さなくてはならない。熟練の技が必要になります。」と尾関さんは語ります。
「描き絵」という技法について
火袋の絵柄を彩色する技法のふたつめが、完成した後に火袋に張られる「摺込絵」に対して、張師が作った無地の火袋に後から絵付けしていくのが「描き絵」という技法です。 原画に従い、絵を描く位置を計算しながら、職人が均一性を保ち描いていきます。
淡い印象の摺込絵と比べると、よりはっきりと絵柄が出るのが特徴です。
職人の手仕事による完成度の高さと美しさ、深みを感じさせる伝統的な提灯。
実物を見る際には「摺込絵」と「描き絵」の違いなどに注目してみるのもおすすめです。
取材協力:株式会社 オゼキ
今も昔と変わらない技法で作られている岐阜提灯の老舗メーカー
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