「神棚封じ」とは?する意味と理由
「神棚封じ」は、家族が亡くなったときに家の神棚を閉じて、神様に目隠しをするように白い半紙を神棚の前へ貼り付けて封じることです。故人様と同居していた家族以外が行い、忌中(きちゅう)は神棚を封じたままにしておきます。この神棚封じはなぜ行う必要があるのでしょうか。以下では行う意味と理由について解説します。
神棚封じは神様が「死の穢れ」に触れないために行うこと
神棚封じは神道の「死」に対する考え方にのっとった神式の儀式です。神道では古くから、神様が「穢れ(けがれ)」に触れると神力が失われると考えられてきました。この「穢れ」とは、家族を亡くした人が纏っている、死に触れた気配のことです。
人が亡くなった時に神棚を封じるのは、「穢れ」によって死の気配が濃くなる期間に家の神様を守るため、故人様の家族と神様の繋がりを断つ大切な行いなのです。
「穢れ」は「気」が枯れている状態
「穢れ」は不浄を表す言葉ですが、故人様が汚れているという意味ではありません。
「穢れ」とは「気枯れ」とも言います。「気」には様々な意味がありますが、ここでは人の生きる力・心のエネルギーを意味します。気は身近な人の死に触れることで、活力を失い枯れ切ってしまいます。この気が枯れている時が「穢れ」の状態です。
家族が亡くなったら、家の中に満ちた「穢れ」から神様を遠ざけるために神棚封じを行い、期間を経て心の活力が元に戻ったら神棚を解きましょう。
神棚封じの手順(封じ方・解き方)
神棚封じの方法は地域による違いはほとんどなく、決まった手順があります。神様と対面することになるため丁寧に行いましょう。以下では神棚の封じ方、忌明け後の解き方について解説します。
封じ方
以下が神棚を封じる手順です。高いところに神棚がある場合は、頭上や足元に十分気を付けましょう。
1. 神棚に向かい神様へ挨拶、家族の誰が亡くなったかを報告する
2. 神棚に供えてあるお供え物(米、お酒、塩、水、お菓子など)と榊を下げる
3. 神棚に扉があれば閉じる
4. 白い半紙を神棚の正面に貼る
神棚の前にしめ縄をつけている場合は、しめ縄の中央あたりに半紙を貼り付けます。
半紙を貼る際は、セロハンテープを使うと神棚が傷つかずおすすめです。半紙を貼ってから暫くすると剥がれることがありますが、その場合は自身を塩で清めてから半紙を神棚に貼り直せば問題ありません。
■神棚封じで貼る半紙について
神棚に貼る白い紙は、書道で使用する半紙が一般的ですが、半紙を用意することが難しければ印刷用のコピー用紙でも代用できます。神棚のサイズが小さくても、半紙を小さく切る必要はありませんので、そのままの大きさで貼りましょう。
解き方
以下が神棚を解く手順です。神式の忌明け後に行いましょう。
1. 正面に貼り付けた白い半紙を剥がす
2. 神棚に扉があれば開ける
3. お供え物や榊を元の状態へ戻す
神棚を解いた後は普段通りに拝礼していただけます。
いつまで必要?「神棚封じ」をする時期と期間
神棚封じをいつからいつまで続けるか、期間中のお参りはどうすべきかについてしっかりと把握することが大切です。以下では神棚封じが必要なタイミング、期間について解説します。
必要なタイミング
神棚封じは、家族のどなたかが亡くなったタイミングで行います。
「穢れ」を家の神様へ触れさせないために、家族が亡くなってからすぐ行うのが望ましいです。よく、お葬式より前にやるか後にやるかと悩まれる方がいらっしゃいますが、可能であれば前に行います。具体的なタイミングについては、故人様が家に帰って枕飾りなどをした後などが、帰宅時の流れで行いやすいです。
様々な作業や手続きが重なりますが、忘れてしまわないように注意しましょう。
いつまで続くの?
家族が亡くなってから50日後の、神式の忌中が明ける(忌明け)までと言われています。
「忌中」とは故人様を思って喪に服す期間のことで、神式では約50日間、仏式では49日間とされています。「喪中」も忌中と同じ意味になりますが、1年程の期間を指すため忌中より長期間です。神棚封じの期間としては、喪中ではなく忌中の50日を区切りとします。
※地域によっては故人様が父母の場合、祖父母の場合、とそれぞれ期間が異なる場合がありますので、気になる方はお住いの地域に詳しい専門家へお聞きください。
■期間中の神様へのお参りについて
忌中は神様と対面することがないように、神棚への拝礼や神社の参拝は控えます。また神棚封じの期間がお正月と重なった場合も、初詣は控えて忌明けに行うようにしましょう。
誰がする?対象の神棚はどれ?
神棚封じは「穢れ」の及んでいない第三者が行う必要があるとされています。以下では誰が行うか、どの神棚を封じるかについて解説します。
誰がするべき?
一般的に、喪中でない家族以外の第三者が行います。
第三者というと葬儀社やご近所の方、縁戚などにお願いする形です。しかし昨今では葬儀が小規模になりつつあり、作業を遺族にしか頼めないといった状況も増えています。どうしても身近で頼める人がいない場合は、家族のどなたかが神棚封じをすることになります。
※地域によっては、喪主や遺族が行うことを良しといないところもあるため、事前に神社や地域の方に相談しておくと安心です。
どの神棚を封じる?
封じる神棚は、故人様の住んでいた家の神棚が対象です。喪主(施主)や遺族の家にある神棚は、故人様と別居していた場合封じる必要はありません。
また古くからある家では、家の中で部屋ごとに神棚を祀っている場合がありますが、それぞれが神様と繋がる場所となるため神棚が複数あればすべて封じます。家の隅々まで確認し、封じ忘れがないように注意しましょう。
「神棚封じ」に関してよくいただく質問
最後に、「神棚封じ」に関してよくお寄せいただく質問をご紹介します。仏式と神式で考え方や方法が異なることがあるので確認しておきましょう。
Q1.忌中の途中で忘れていたことに気づいたら?
A.神棚封じを忘れていた場合、気づいたタイミングが忌中であればすぐに神棚封じを行います。
忌中に神棚を封じないままでは、神様に「穢れ」が及んでしまいます。神棚封じを行う前には、神様へ封じることが遅れたことを報告してから行うようにしましょう。また、始まりが遅れてしまってもその分期間を延ばす必要はなく、故人様の忌明けまで続けることができれば問題ありません。
Q2.神棚封じの時、お仏壇や祖霊舎(それいしゃ・神式の祖先を祀るもの)はどうする?
A.普段と同じようにお参りをしていただいて問題ありません。
仏教では、神道とは異なり「死は穢れ」という考え方を持たないためお仏壇は閉じません。神道の祖霊舎に関しても、先祖の魂を祀るものということでお仏壇と意味合いが似ているため封じる必要はありません。
Q3.仏教の宗派ごとで神棚封じに違いはある?
A.神棚封じは神道の考え方にのっとるため、仏教の信仰する宗派ごとで方法が異なることはありません。
浄土真宗の場合、人は亡くなってすぐに極楽浄土へ行くことができる(仏様になる)という考えを持つ宗派のため、忌中や喪中といった考え方はありませんが、神道の考えにのっとり忌中は神棚を封じる場合が多いです。
まとめ
神棚封じは、日々私たちをお守りいただいている神様を守るための大切な儀式です。封じるときは丁寧に行い、解いた後は忌中にお参りができなかった分の祈りも込めて拝礼しましょう。
このページでは基本的な神棚封じについて解説しましたが、地域によっては神棚封じに対する考え方や方法が異なる場合があります。気になる方は、葬儀社や仏壇仏具店、普段お参りされている神社など地域の供養に詳しい専門家へご相談ください。
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