神棚ってなに?正月飾りとは?
お正月には玄関や床の間のほか、神棚へも特別な飾りを施します。年末にお掃除をして清浄を保ち、お祀りしている神様やお正月にやってくる神様と一緒に新年を迎えましょう。
以下では、そもそも神棚とはなにか、正月飾りの意味について解説します。
そもそも神棚ってどんなもの?
神棚とは家の中の小さな「神社」ともいわれ、家庭内で神道の神様をお祀りするための場、家内安全や商売繁盛を祈願する場のことです。「神宮大麻(じんぐうたいま)」と呼ばれる伊勢神宮のお札が全国に頒布された江戸時代頃に、お札を納める場所として神棚が生まれたと伝えられています。
神棚にはお札や神鏡を祀り、お米やお酒などをお供えして日々生かされていることへの感謝を伝えます。
■神棚に祀るお札(お神札)って?
お札とは、神社で祈祷を受けた神様が宿る札のことです。神宮⼤⿇を神棚の祭祀の中心として、各地の氏神神社のお札、崇敬する神社のお札の3枚をお祀りするのが基本です。
お札は年に1度、神様へ感謝を込めて新しいお札に交換します。年末年始のタイミングを目安に、お札をいただいた神社に納めてお焚き上げいただいてから、新しいお札を受けとりましょう。
■お札について詳しくはこちら
神棚のお札の並べ方を図解付きで解説しているページです。あわせてお札の交換タイミング、処分方法、入手方法などお札の基礎知識も紹介しています。
正月飾りとは?なぜ飾るの?
正月飾りとは、お正月にやってくる歳神様(年神様)を迎えるために準備するお供え物や飾りのことです。歳神様とは、その年の「福」をもたらし家族を1年間お守りいただく神様のことを指します。
お正月の飾り物には、松や竹を用いた門松や、しめ縄に紙垂や橙などの縁起物を付けたしめ飾りなど、様々なものがあります。歳神様が玄関から入ってこられるよう玄関先の軒下やドアに飾るのが一般的で、そのほか年神様に滞在していただきたいと考える神棚などの場所に飾ります。
いつからいつまで?正月飾りの期間
お正月飾りやお供えの準備は、年越し前に余裕をもって行いましょう。以下では、飾るタイミングについて解説します。
いつから飾る?
門松や鏡餅、しめ縄や玄関に設置するしめ飾りなどのお正月飾りは、「正月事始め・すす払い」の日とされる12月13日以降であればいつから飾り始めてもよいとされます。昨今では、クリスマスの12月25日が過ぎた頃から飾り始めることが多いようです。直前に焦らないよう、28日までには飾りつけを済ませておくことがおすすめです。
正月事始め・すす払い…お正月に家にやってくる年神様を迎えるため、家の中を綺麗にする大掃除の日です。昨今の多くの家庭では、年末の大掃除として大晦日近くに行われていますが、一般的には12月13日が正式な日とされます。
いつまで飾る?
正月飾りは7日の「松の内(お正月にやってくる年神様の滞在期間)」まで飾ることが一般的です。地域によっては15日の「小正月」や20日の「二十日正月」まで飾る場合があるため、神職や地域に詳しい方へ確認しておきましょう。
鏡餅は、関東では1月11日、関西では1月20日とされる「鏡開き」で下げて食べます。また、神棚に取り付けたしめ縄は、12月13日の正月事始めのタイミングで交換した後、外さずに1年間そのまま飾るのが一般的です。
飾ってはいけない日とは
必ずという決まりはありませんが、29日と31日は可能であれば避けるようにしましょう。28日には飾り付けを済ませるのが理想ですが、直前になった場合は29日と31日を避けて30日に飾り付けをしましょう。
- 29日…発音が「二重苦(にじゅうく)」を連想され、縁起が悪いと考えられる。
- 31日…大晦日に飾り始めることを「一日飾り(一夜飾り)」と呼び、前日に急遽取り換えることは神様の失礼に当たると考えられる。また、葬儀の準備を連想させるため不吉という考え方もある。
お正月に神棚へ飾るもの
正月飾りの中でも神棚へ飾る正月飾りは、お迎えする歳神様に気持ちよく過ごしていただくための特別な飾りです。以下では、神棚に飾るしめ縄と鏡餅について詳しく解説します。
しめ縄
しめ縄(注連縄)とは、縄に「紙垂(しで)」と呼ばれる白い紙飾りを付けた、神道における神祭具のことです。神域である「常世(とこよ)」と、私たちの住む世界である「現世(うつしよ)」を分ける印として、また神様が宿るご神体をお守りする役割として神棚に取り付けます。
しめ縄は年末の大掃除のタイミングで新しいものと交換し、そのまま1年間飾るのが一般的です。
しめ縄は神棚の前(屋根の前や幕板の表側)に取り付ける形が基本です。先の太い方(綯い始め)を神棚に向かって右側にすることが多いですが、地域によって異なる場合があります。神棚に用いるしめ縄は、縄が左方向にねじられたタイプの「左綯い(ひだりない)」が基本です。形は主に以下の2種類あり、どちらもお選びいただけます。
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大根しめ縄
元が太く先が細い
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牛蒡しめ縄(ごぼう〆)
大根しめより細く、元から先まであまり太さが変わらない
■しめ縄について詳しくはこちら
しめ縄の取り付け方や飾る期間、種類、交換・処分方法などを解説しているページです。また、しめ縄に付ける紙垂やしめ飾りについても触れています。
鏡餅
餅は古来より、特別な日に神様へお供えする食べ物とされ、鏡餅は穀物神である歳神様をお迎えするための正月飾りの定番とされてきました。名前は、餅の形が神様の宿る鏡(銅鏡)と似ていることから「鏡餅」と呼ばれるようになったとされます。
丸い餅を重ねていることには諸説ありますが、「福や徳、年齢が重なるように」という願いを込めているためとも伝えられています。一般的には大小の2段ですが、3段で用意される地域もあります。
玄関や床の間などに飾ることのある鏡餅は、神棚へお供えする場合お米のかわりとして供えます。神棚にスペースがある場合は、お供え物より手前側の中央あたりにお供えするとよいでしょう。また、餅に重ねる形で、黒豆や串柿、するめ、伊勢海老などの縁起物を飾る場合もあります。
小さいサイズの鏡餅は神棚かお仏壇、大きいサイズの鏡餅は玄関か床の間に置くことが多いです。
鏡餅を神棚へ飾る際は三宝(さんぽう・お供えの台)に半紙または奉書紙を敷いた上にのせます。
神棚のお供え物と並べ方を徹底解説
神棚の神様へのお供え物は「神饌(しんせん)」と呼ばれ、神様のお食事を意味します。神様へ、日頃から見守っていただいてることへの感謝と、これからも見守ってくださいという気持ちを込めてお供えをしましょう。
神饌はお供えするタイミングに決まりがあります。お米、お塩、お水は毎日お供えし、榊とお酒(御神酒)は毎月1日と15日に新しく取り替えましょう。
以下では、神棚にお供えするものと飾り方について詳しく解説します。
神棚にお供えするもの
神道の基本的なお供えは以下のものです。
②お酒(御神酒)…お酒を対の「平次」へ注ぎます。
③お水…朝に最初の水を「水玉」へ注ぎます。
④お米…生米や洗米を「洗米皿」へ盛ります。
⑤お塩…あら塩を円錐状か八角錐状に「洗米皿」へ盛ります。
神鏡は、神様の依り代(よりしろ)になるとして神棚の正面に置きます。
お米・お塩・お水・お酒は三宝にのせたり、火立(ローソク)や真榊(まさかき・五色の布がついた対の飾り)を用意するとより丁寧なお飾りとなります。
榊(さかき)
榊は「神の木」という意味を持ち、神様の力を宿しているとされる植物です。古来から日本では、神域に榊を飾って神事が行われてきました。緑の葉が茂ることから、尽きることのない神様の恩恵を表しているといわれ、神棚へお供えするのはその恩恵に感謝するためとも考えられています。
榊立に飾って神棚へ飾る際は、対で用意することが一般的です。また榊を取り替えるタイミングは毎月1日と15日ですが、水は毎日交換することをおすすめします。夏場など植物が傷みやすい時期や、日々のお手入れが困難である場合には、造花榊や榊のプリザーブドフラワーを飾るとよいでしょう。
■榊について詳しくはこちら
御神酒(おみき)
御神酒とは、神様に捧げる日本酒のことで、神棚にお供えするお酒や神社などでいただくお酒を指しています。
正月の初詣など、神社で行われる神事の際にお供えとして用いられ、神事が終わった後に参拝者へ配られます。神社でいただいた御神酒は神様にお供えが済んだものされ、基本的に家の神棚にはお供えせず、神様の力が加わりご利益があるとして、いただいた後に飲むことが一般的です。
■お正月の特別なお供え物
お正月は特別な日として日々の基本的なお供え物と合わせて、鏡餅、旬の野菜や果物、尾頭付きの魚、お酒などを神棚へお供えします。鏡餅や季節の食べ物は、三宝へのせてお供えするとよいでしょう。
お供えの並べ方
正式な神饌の並べ方は、横2列にする場合と横1列にする場合の主に2通りあります。神棚のサイズや形によっても並べ方を変える場合があります。
お供えは重要度の高い順番に置いていきます。お米はお供え物の中で最も重要なものとして、一番最初に神様と近い中心へお供えし、続いてお酒、お塩、お水の順にお供えしていきます。榊のタイミングに決まりはないため、最初か最後にお供えするとよいでしょう。
鏡餅の配置は、神棚にスペースがある場合、お供え物より手前の中央あたり(もしくは左右どちらか)にお供えしましょう。また、鏡餅はお米のかわりとして供える場合もあります。
■神道のお供え物について詳しくはこちら
よくある質問
最後に「神棚の正月飾り」についてよくお寄せいただく質問をご紹介します。
Q1.忌中と被る場合、しめ縄はいつ交換する?
A.しめ縄の交換時期である年末と忌中が重なる場合には、事前に購入して準備だけ済ませ、忌明けに交換しましょう。
神道の忌中は、約50日間とされており、神様との接触を避けるため神社や神棚へのお参りを控えます。期間中は神棚へ白い半紙を貼りつけて封印する「神棚封じ」を行いましょう。
■神棚封じについて詳しくはこちら
Q2.お供え物は下げた後に食べてもいい?
A.神棚にお供えする神饌のお米、お塩、お水、お酒は下げた後いただいても問題ありません。
お供え物を食べたり飲んだりことは、神様からのお恵みを分けていただくとして良いこととされます。基本は毎日取り換えるお米・お塩・お水ですが、毎日新しいものに変えていない場合は傷んでいる可能性があるため、米や塩は白い紙に包むなどで処分しましょう。
Q3.しめ縄などの正月飾りの処分方法は?
A.神社に依頼する、自治体のルールに従って処分する方法があります。
神社で行われるお焚き上げや、どんど焼き・賽の神(さいのかみ)へ持ち込む方法があります。どんど焼きとは毎年1月15日ごろ(小正月)に神社で行われる、縁起物を燃やして家内安全や五穀豊穣、商売繁盛、無病息災などを祈る祭事のことです。神社によって受付方法やお焚き上げの範囲は異なるため、事前に確認してから持ち込みましょう。
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