榊を神棚にお供えする理由は？造花や榊以外でもいいの？
神棚には榊をお供えするのが基本ですが、その理由や背景をご存じでしょうか。
この項目では、榊が神棚にお供えされる理由や、榊の種類について解説します。また、造花や榊以外の植物をお供えする場合についても触れています。
榊(さかき)とは？
榊とは、サカキ科(ツバキ科)の常緑小高木です。梅雨の時期には白い花が咲き、秋になると黒い実がなります。
榊は、その字が表すように「神の木」という意味があります。その語源は、神様の住む世界と私たちの住む世界との境を示す「境木（さかいき）」や、栄える木という意味の「栄木（さかき）」から転じたともいわれています。
榊を神棚にお供えする意味
古来から日本では、神域に榊を飾って神事を行ってきました。神道では、葉先の尖った植物が「神様の依り代になる(神様の力が宿る)」と考えられてきたためです。また、四季を通じて豊かな緑の葉が茂ることから、尽きることのない神様の恩恵を表しているともいわれています。
現代において神棚に榊をお供えするのも、神様の力を宿し、その恩恵に感謝するためと考えられています。
榊の種類
榊にはいくつかの種類があります。神棚によくお供えされるのは、「本榊（ほんさかき）」と「ヒサカキ」の2種類です。
また、近年では安価な海外産輸入榊が流通しており、手軽に入手できるようになっています。
- 本榊（ほんさかき）…本榊は西日本を中心とした暖かい地域に自生しており、神棚の榊として一般的に使用されます。
- ヒサカキ…寒冷地では本榊が自生しないため、本榊に似た「ヒサカキ(非榊・姫榊)」が代用されます。ヒサカキは葉が小ぶりで、葉先がギザギザしているのが特徴です。
榊以外の植物をお供えする場合もある
神棚へのお供えは榊が基本とされていますが、地域によっては、椿、松、杉、樫(かし)、山茶花(さざんか)、楠(くすのき)など、榊以外の植物が代用される場合もあります。
造花の榊を使用してもいいの？
神棚へのお供えは、生の榊が望ましいとされていますが、夏場など植物が傷みやすい時期や、日々のお手入れが困難である場合には、造花の榊やプリザーブドフラワーの榊をお供えしても問題はありません。
はせがわでは、本物そっくりのシルクフラワーの造花榊をお取り扱いしています。季節を問わず気軽にお供えでき、造花のため榊立には水は不要です。
【サイズ(cm)】巾21×高さ35 ※寸法は若干異なることがございます。
どこに置く？榊の基本的な飾り方
榊の購入場所から基本的な飾り方(置き方)まで、わかりやすく解説します。
榊の購入場所
榊は生花店、スーパーマーケットの生花売り場、ホームセンター、インターネット通販などで購入することが可能です。
造花榊の場合は、通販のほか、神棚・神具を取り扱う仏壇仏具店でも購入できます。
造花榊は、お仏壇のはせがわの各店舗・オンラインショップでもお取り扱いしております。
榊を飾るために必要な道具(神具)
榊を神棚にお供えする際には、専用の神具である「榊立（さかきたて）」を使用します。榊立は榊専用の花瓶です。
榊立のサイズは、神棚の大きさや設置スペースに合わせて選ぶと良いでしょう。サイズ表記は榊立の高さが基準になっており、一般的に「cm（センチ）」ではなく「尺寸（しゃくすん）」で表されるため、選ぶ際には注意が必要です。
※1尺は約30cm、1寸は約3cmです。
榊立はオンラインショップ（通販）でも購入可能ですが、神棚・神具を取り扱う専門店を利用することで、実物を見て大きさを確認したり、販売員に相談しながら選ぶことができます。
また、専門店では、神棚と神具一式がセットになった商品も販売されています。
はせがわオンラインショップでは、神棚や神具セットなど各種商品を取り揃えております。また、実店舗でも神棚や神具に関するご相談を承っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
榊を飾る位置と本数
水を入れた榊立に榊を挿し、神棚の両端に1対になるようにお供えします。榊立に挿す榊の本数に厳密な決まりはありません。基本的には1本ずつで問題ありませんが、地域によっては2本以上使う場合もあります。事前に地域の神社や身近な人に確認しておくと安心です。榊が紐で束ねられている場合は、見た目がきれいになるよう整えられているため、ほどかずにそのまま飾ると見栄え良く飾れます。
■神棚のお供え物について詳しくはこちら
神棚のお供えに必要なものや具体的な飾り方（配置）、交換タイミングや処分方法などの基礎知識を、画像付きで解説します。神棚の簡易的なお飾り方法についても触れています。
榊の交換方法と長持ちのコツ
榊の交換・処分は、扱い方に不安を感じて悩む方が多いポイントです。気になる交換のタイミング、交換方法、処分方法を詳しく解説します。榊を長持ちさせるためのお手入れ方法もあわせてご紹介します。
榊の交換時期
神棚の榊は、毎月1日と15日の月2回、新しいものに交換する形が一般的です。この風習は、国の平安と繁栄を祈る神事である「月次祭(つきなみさい)」に由来しています。
ただし、1日や15日を待たずに榊が傷んだり枯れたりした場合は、そのままにせず早めに交換するようにしましょう。
榊が片方だけ枯れるのはどうして？
時折、「榊が右側だけ枯れるのには何か理由があるの？」といったご質問をいただくことがあります。
榊が片側だけ枯れる現象については、多くの場合、個体差や設置環境による物理的な要因であると考えられますが、右側の榊だけが枯れるのは吉兆だとする説も存在します。
神棚の右側には氏神神社のお札をお祀りする習慣があるため、右側の榊には氏神様が宿ると考えられています。このため、氏神様が榊の力を使って家の中の穢れを取り払う役割を果たし、結果的に右側の榊が早く枯れるといわれています。
一方で、左側の榊だけ枯れる場合については、ご先祖様とのつながりが弱くなっていることを示しているという説もあります。
いずれの説も科学的な根拠があるわけではありませんが、榊が枯れた際には新しい榊に交換し、神棚を清潔に保つことが大切です。
榊の交換方法
榊立から榊を外し、水を替え、新しい榊に取り替えます。
交換時に作法は必要ありませんが、気になる場合は二礼ニ拍手一礼のお参りをしてから作業するとよいでしょう。
雑菌の繁殖により枯れやすくなるため、水は毎日交換することをおすすめします。榊の茎に付くぬめり汚れや、榊立の中の汚れは、水の交換時にこまめに洗いましょう。
交換後の榊の処分方法
神社でお焚き上げ、海や川に流す、土に埋めて自然に還すなどといった方法がありますが、現在は環境に配慮し、可燃ごみとして処分する方法が一般的です。交換した榊は水をふき取り、塩でお清めをしたら、感謝の心を込めて白紙に包んで処分します。
榊を長持ちさせるためのお手入れ方法
榊を長持ちさせるため、日々のお手入れ方法をご紹介します。
- 榊立に微量(～1滴)の漂白剤を入れる。または、十円玉を一枚入れておく。 茎や水の殺菌効果が期待できます。
- 榊の茎(根に近い部分)を、よく切れるハサミで斜めに切る。 水を吸い上げやすくなるため、長持ちしやすくなります。
- エアコンの風が直接当たらない場所に飾る。 榊は乾燥に弱いため、エアコンの風が当たる場所は避けましょう。
また、新芽の時期はすぐに葉が落ちたり、変色したりしやすくなります。
(本榊は6月～7月ごろ、ヒサカキは4月～5月ごろ)
そのような時期は、水を交換する際、榊全体を水で濡らすと持ちが良くなります。
※神棚に水が落ちないよう、お供えの際は軽く拭きとりましょう。
榊に関してよくある4つの質問
榊に関する作法・タブーなど、よくある質問を4つにまとめました。
Q1. 榊は神棚に絶対に置かないといけませんか。置かなくてもいいですか。
A. 神棚に榊をお供えするのは絶対の決まりではありません。
ですが、榊には「神様の力が宿る」と言われるほど古来から神事と深い関わりがあるため、可能な限りお飾りされてはいかがでしょうか。場所等の関係で、1対で飾れない場合には榊立を1つのみ飾ることもございます。
Q2. 女性は神棚に触れてはいけないと聞きました。榊の交換は男性でなければなりませんか。
A. 榊の交換は性別に関係なくおこなっていただいて問題ありません。
神道では、死や血を「穢れ(けがれ)」と考え忌避しています。女性は、月経や出産など「血(穢れ)」との関連性が深いことから、神聖な場所に立ち入ることや触れることはタブーと考えられてきました。しかし、現代では女人禁制の考えは廃止され、女性が神聖な場所に立ち入ることや触れることは全く問題がないと考えられています。
■神棚のタブーについて詳しくはこちら
神棚の設置場所とお参りに関するタブーや基本マナーについて解説しているページです。女性が神棚に触れることについても詳しく解説しています。
Q3. 喪中やお正月には榊に特別な扱いが必要ですか。
A. 喪中は普段とは異なる扱いをします。
喪中の場合、忌明けまでの50日間は神棚のお供えを全て下げ、お参りを避けます。そのため、榊も忌明けまで飾りません。
お正月は、松竹梅や南天などが入ったお正月用の榊をお供えします。(通常の榊でも問題はございません。)
■神棚封じについて詳しくはこちら(喪中の神棚の扱い方)
神棚封じの必要性や実施期間、封じ方・解き方の手順など、神棚封じの基本を解説します。喪中・忌中期間でもしめ縄は交換してもいいのか、神棚封じを忘れてしまった時の対応についても触れています。
Q4. お仏壇に飾る樒(しきみ)とは何が違いますか。
A. 榊は神式、樒は仏式でそれぞれ用いられる植物です。
榊と見た目はよく似ていますが、用いられる場面や意味合いは異なります。樒は仏式で用いられる有毒な植物で、かつては土葬の際、邪気や動物を寄せ付けないために使われていたといわれています。
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