神棚掃除はいつしたらいい?
神棚は、ご自宅や会社で神様にお参りするための「小さな神社」です。
神社が日々の掃除によって清らかに保たれているように、神棚にも掃除が必要です。また、神棚を掃除すると気分が晴れ、運気が上がるともいわれています。
では、神棚の掃除はいつおこなうべきでしょうか。タイミング、頻度、時間帯、避けるべき日について解説します。
おすすめのタイミング
神棚の掃除に、決められた時期やタイミングはありません。
12月に年末の大掃除(すす払い)をする際、あわせて実施される方が多いようです。
その場合、「正月事始め」(新年を迎えるための準備や掃除を始める日)の12月13日から12月28日を目途に行うと良いでしょう。
榊を交換する1日・15日もおすすめです。
また、神棚をきれいに保つために、半年に1回(年2回)以上の頻度で、神棚・神具を一通り掃除することがおすすめです。
6月と12月には神社で「大祓(おおはらえ)」(穢れを清める儀式)が催されるため、タイミングをあわせて掃除を実施してもよいでしょう。
毎日掃除することが理想ですが、日常のお手入れは、軽くハタキをかける程度でも問題はありません。
掃除の時間帯にも決まりはありません。日中に掃除の時間が確保できない場合は、夜に掃除をしても問題ないとされています。
神棚掃除を避けるべき日
神棚掃除の時期に決まりはありませんが、掃除を避けたほうがいいといわれる日があります。それはいつなのか、理由とあわせて解説いたします。
9が付く日
9が付く日は「9=苦(苦しむ)」を連想させるため、掃除をするのは控えたほうがいいといわれています。特に、29日は「二重」「苦」(二重に苦しむ)となるため、避けましょう。
また、12月29日に神棚を掃除し、門松を飾ると「九松=苦待つ」を連想させ縁起が悪いといわれているため、掃除のタイミングには不向きです。
大晦日
大晦日は新年を迎えるための準備であわただしい日です。そのため、滑り込みで掃除をすることや、大晦日に正月飾りをすること(一夜飾り)は、神様に失礼だと考えられています。また、あわてて掃除をする様子が急な不幸を連想させるともいわれています。12月に神棚の掃除をする場合は、28日までに終わらせることが理想です。
喪中
神道にとって「死」は「穢れ(けがれ)」であるため、忌明けまでの50日間は神棚のお供えを全て下げ、お参りを避けます。神域に穢れを持ち込まないために、神棚の掃除も忌明けまでは行いません。
■神棚封じについて詳しくはこちら(喪中の神棚の扱い方)
喪中の神棚の扱い方、神棚封じについて詳しく解説しているページです。なぜ必要か、いつどのように行うか、具体的な方法を解説しています。
女性はNG?誰が神棚掃除をするべき?
「女性が神棚掃除をしてはいけない」と聞いたことはありませんか?
それは本当なのでしょうか。
神棚は誰が掃除するべきなのか、詳しく解説します。
女性が神棚掃除をしてはいけないのは本当?
女性が神棚を掃除することは、現代では問題ないとされています。一方で、「女性は(神棚掃除をはじめとした)神事全般をするべきではない」といわれていた時代もあります。それはなぜでしょうか。
神道では、死や血を「穢れ(けがれ)」と考え、忌避しています。女性は月経や出産など「血(穢れ)」との関連が深いとされ、神聖な場所に立ち入ることや触れることはタブーと考えられてきました。しかし、現代では女人禁制の考えは廃止されているため、女性が神棚を掃除しても問題ありません。それでも気になる場合は、清めの塩や邪気を払うための鏡を身に着けて作業すると良いでしょう。
◆神道が忌避する「穢れ(けがれ)」とは?
神道の「穢れ(けがれ)」とは「気枯れ」とも表され、神域に持ち込まれると神様の力が弱くなると考えられています。
かつて、女性だけでなくけが人や病人も神事から遠ざけられてきました。医療の発展が不十分だった時代では、けがや病気は「死(穢れ)」を連想させるからです。医療が発展した現代では、けが人や病人が神棚に触れたり、掃除したりすることは問題ないと考えられています。
■神棚のタブーについて詳しくはこちら
神棚の設置場所とお参りに関するタブーや基本マナーについて解説しているページです。女性が神棚に触れることについても詳しく解説しています。
神棚掃除をするべき人
「神棚掃除は一家の当主(家長)がすべき」といった慣習もありますが、決まりではないため、誰がおこなっても問題ございません。
神棚をきれいに保とうとする心掛けが最も大切ですので、慣習にとらわれすぎず、柔軟に対応しましょう。
神棚掃除に必要な道具とは
神棚の掃除にはどのような道具が必要でしょうか。特別な道具は必要ありませんが、普段の掃除には使用しないものもあります。具体的に解説します。
どんな道具が必要?どこに売ってるの?
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白い布
机の上に敷き、移動させた神棚や神具を置く際に使います。 -
掃除用のきれいな布数枚
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ハタキやブラシ
神棚の掃除道具は、他の場所を掃除するものとは別に、新しいものを揃えることが望ましいです。ブラシは、PC用のエアーブラシ(エアーダスター)も使用可能です。 -
白い和紙
お札を取り扱う際、口にくわえて使います。 -
新しいお供え物(お米、清酒、水、塩、榊など)
掃除の仕上げに、新しい供物をお供えします。 -
新しいしめ縄、紙垂、雲(掃除後に交換する場合のみ)
年末など、お飾りを交換する場合は準備しておきます。
必要な道具は主にホームセンターなどで揃えられます。
掃除道具の一部や神具は、はせがわの各店舗・オンラインショップでも取り扱っております。
神棚・神具の掃除手順とやり方
神棚掃除の基本は、ハタキ・ブラシでほこりを払うこと、きれいな布で乾拭き掃除をすることの2点です。
神棚は白木で作られているものが多く、カビが発生しやすいため、水拭きは控えましょう。また、神棚に洗剤や薬剤は使用しないようにしましょう。神棚は表面に塗装が施されていないものが多いため、変色や変形の恐れがあります。
それでは具体的な手順を見ていきましょう。
神棚掃除の9つの手順
1. 神棚の写真を撮っておく
掃除のために神棚や神具を動かすと、配置が分からなくなってしまうことがあります。そのようなことを防ぐため、掃除前の状態を写真に撮るか、メモをしておくと便利です。
2. 手や口を水で清め、神棚にお参りする
神棚の掃除前には手を洗い、口をすすぎます。これは、神社でのお参り前に手や口をきれいな水でお清めすることと同義です。その後、神棚に日々の感謝の気持ちをこめてお参り(2礼2拍手1礼)し、掃除の開始を神様へお知らせします。
3. 机に白い布を敷き、その上に神棚と神具を移動させる
白い布を敷いた机の上に、神棚と神具を慎重に下ろします。
神棚の「勾欄(こうらん・手すりのような部分)」や「千木(ちぎ・屋根の両端にある木の部品)」が固定されていない場合があります。(お手入れのために取り外しが可能になっていることがあります。)高所から落下・破損しないよう、よく確認しましょう。
4. 棚板の掃除
棚板がしっかり固定されていることを確認します。固定が緩んでいる場合は、必要に応じて補修します。
ほこりはハタキやブラシで掃除し、仕上げに乾拭きしましょう。
5. 神棚の掃除
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和紙を口にくわえ、神棚の扉からお札を取り出します。
お札は白い布の上に置きます。 - ハタキやブラシで神棚のほこりを払い、きれいな布で乾拭き掃除をします。
- 和紙を再度口にくわえ、お札を神棚にしまいます。
正月を迎える前など、新しいお札がある場合は古いお札と交換します。古いお札の処分方法については「掃除後の注意点」で解説しています。)
◆お札を取り扱う際の注意点
お札を取り出す時・しまう時は、神様に息を吹きかけないよう、和紙を口にくわえながら作業します。
詳しくは「掃除中の注意点」でも解説しています。
6. 神具の掃除
神具は素材によって扱い方が異なるため、種類ごとに掃除方法を解説します。汚れが落ちない場合は、これを機に神具の買い替えを検討してもよいでしょう。
ご神鏡
ご神鏡(しんきょう)は木製の台から取り外し、中性洗剤を使って素手で泡立てて洗います。すすいだ後は柔らかい布でやさしく拭きます。表面が傷付く恐れがありますので、強くこすらないよう注意しましょう。
折敷、三宝などの木製品
折敷(おしき)、三宝(さんぽう)などの木製品は、基本的にハタキやブラシでほこりを払います。
水玉、平次、洗米皿、榊立、ローソク立てなどの陶器
水玉(みずたま)、平次(へいじ)、洗米皿(せんまいざら)、榊立(さかきたて)など、陶器の神具は水洗いができます。
汚れがひどい場合は、食器用洗剤を使いブラシなどで洗います。榊立の内部など、しつこい汚れには漂白剤を使用するときれいになります。
火立(ひたて・ローソク立て)は、燃え残ったロウや汚れを取り除きます。固まってうまく取れない場合は、熱湯をかけてロウを柔らかくすると掃除しやすくなります。
7. 神棚を棚板に戻し、お供え物を飾る
神棚を棚板に戻し、新しく準備したお供え物(お米、清酒、水、塩、榊など)を神具にのせ、お供えします。
8. しめ縄、紙垂(しで)、雲などの装飾をする
神棚の周囲に装飾を施します。年末の掃除で、新しいしめ縄や紙垂に交換する場合はこのタイミングがおすすめです。
■神棚のしめ縄・紙垂について詳しくはこちら
しめ縄の取り付け方や飾る期間、種類、交換・処分方法など、基本を解説しているページです。また、紙垂(しで)や、お正月のしめ飾りについても触れています。
9. 神棚にお参りし、掃除完了
掃除の開始時と同様に、終了時にも再度お参りをします。掃除が終わったことを神様へお知らせし、完了です。
気を付けて!神棚掃除のタブー
神棚掃除の際、気を付けたい注意点がいくつか存在します。
作法とあわせて確認していきましょう。
掃除前の注意点
- 掃除前のお清めとお参りを欠かさずに。
- 汚れた掃除道具を使わない。
神域には穢れを持ち込まないよう、手や口をお清めし、挨拶のお参りをしてから掃除に取り掛かりましょう。また掃除道具も、他の場所を掃除したものを使いまわさず、神棚専用の新しいものを用意することがベストです。
掃除中の注意点
- 神棚を床に置かない。
- お札(神様)に息を吹きかけない。
神棚は神聖なものであるため、敬意をもって取り扱うことが大切です。足元に直置きすることは、神様に対して失礼にあたりますのでやめましょう。
また、人の吐息は穢れの象徴と考えられているため、お札を扱う際は和紙を口にくわえるなどして息がかからないようにします。
和紙が準備できない場合は、マスクを着用することで代用する場合もあります。
掃除後の注意点
- 交換したお札(古札)をゴミとして捨てない。
お札には神様が宿っているという考えがあるため、ゴミに出すのはやめましょう。神社の納札所(古札返納所)やどんど焼きに持ち込むことで、処分(返納)できます。
■神棚・お札の処分について詳しくはこちら
神棚の処分・交換タイミングと方法、費用相場などを具体的に解説しているページです。また、神具やお供え(お米や塩)、お札の処分方法についても触れています。
よくある4つの質問
神棚掃除にまつわる4つのよくある質問に回答します。
Q1. 神棚がほったらかしの状態です。神棚掃除をしていないとバチがあたるでしょうか。
A. 神棚を掃除しないとバチがあたるという根拠はございません。
ですが、神棚を敬う気持ちは大切です。思い立ったタイミングで神棚の掃除を検討されてはいかがでしょうか。
Q2. 掃除の日に六曜は気にするべきですか。
A. 六曜は気にせずに掃除して問題ありません。
六曜は、14世紀ごろに中国から日本に伝わったとされています。神社のお参りは仏滅を避けたり、大安に祭礼が催されたりする風習はありますが、神道と六曜には関係性はないといわれています。
気になる場合は、仏滅を避けて掃除すると良いでしょう。
Q3. 神棚掃除に掃除機を使ってもよいのでしょうか。
A. 使用する掃除道具に決まりはないため、問題ありません。
しかし、神棚や神具に直接掃除機をあてると、傷が付いたり部品を誤って吸引したりする恐れがあります。そのため、ハタキやブラシで床に落としたほこりを掃除機で吸引するなど、掃除の仕上げに使うことがおすすめです。
Q4. 自分で神棚掃除をするのは不安です。専門家に依頼はできるのでしょうか。
A. 神棚掃除は業者依頼が可能です。
ハウスクリーニング、家事代行業者、便利屋などに依頼できるようです。相場は3,000円~5,000円程度といわれていますが、詳しくは見積依頼をおすすめします。
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おしゃれな神棚、札立て、おすすめの神棚セットを掲載し、動画でも紹介しています。神棚を設置する方角、神具の飾り方などの基礎知識も解説しています。
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